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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2015年07月22日(水)更新

3歳のラインUPが充実している最終週

サマーマイルシリーズの口開けとなる中京記念にはスマートオリオンが参戦。実績のない1400だった前走で復活したが今回は更に1F延びる。確かに、鹿戸流とはほど遠い中身の濃いハードなメニューを課したのがここ2週。最終追いでも追走して内という態勢から5F67秒0。鍛錬の成果で鋼のような筋肉を纏って絶好調。が、力で捻じ伏せたというより、流れを引き込んでの辛勝と見做すべきパラダイスSから、上がりの速い競馬が必須と考えられる。最終週を迎える中京の芝で57キロのハンデなら見送りが妥当。

むしろ、西下組で買いたいのは知多特別のショウナンワダチ。ここ2走で凄味さえ感じさせるスナッチMが人気だが、直線の短い阪神内回りでも若さを見せたのが前走。中京なら隙が生じて不思議ない。対して、こちらはOP落ち。向正で矯めてラストで弾けさせる稽古を繰り返している点に好感が持てる。中京での直一気をイメージさせる調教だし、余裕綽々で内から1馬身先んじた直前には力感溢れる全体像。文字通り1000万下の動きではない。

同じOPがメインといっても福島は特別戦だけに低調。一応、単騎逃げが見込めるミナレットには一目置かねばならぬ。ウッドのトリを務めたは前走も同様でしまい重点も相変わらず。今回は単走だったが、いよいよ馬体を大きく見せてのアクションで四肢も伸びやか。唯、ゴール前では尾を振る仕草。あくまでもノープレッシャーで行けた時のみ、という条件を再確認させられたのも事実。全幅の信頼とまではいかぬ。

それならばインパルスヒーロー。こちらも追い切りはしまい重点。が、中間には併せ3本と十分過ぎる運動量を誇っているし、流線形のなだらかな造りの中にもパワーが伝わってくる感じ。半マイルからピッチを上げて大きく前を行く他厩の馬を目標にフィニッシュ。リフレッシュ効果が伝わる滑らかな動きで前走は度外視して良い。1800への適性がある関西馬に譲りそうではあるが…。

固いところでは土曜メインの1000万下。ここはゴールドペガサスで決まり。開幕週の2着も出し抜けを食った感で、その後も順調そのもの。中2週だが麗しいシルエットは相変わらずという上に、先行態勢の併せ馬とはいえ、ウッドでの3F37秒7を楽々マークだから凄い。昨秋を含め福島では瑕疵がないのだから、準OP入りに向けて待ったなし。

それとは対照的に土曜で軸決めが難しいのがいわき特別。一応、1600万下での実績と小回り向きの切れがあるフジマサEは有力処。5F68秒6という時計以上の活気さえ感じたからだ。唯、敢えて3歳勢を取り上げる。6F81秒7と破格のタイムをマークしたマルターズアポジーは、GⅢ3着で勢いづいた形。コースとの相性◎。しかし、ルナプロスペクターを上位に。

全体的に華奢な印象だった休養前でも全身を使ったフォームで高い水準を保っていた。が、首から肩にかけての筋肉が充実しての帰厩だったし。追走しながらも外を選んだ追い切りでは前肢を叩きつけるような捌きでパワーUPが明らか。勿論、脚を使い切る形で進められるローカルは合う筈で、本領発揮の場となろう。

日曜は9Rの栗子特別が面白い。現級勝ちが昨夏の当コースだったアートフェスタは、Dコースで5F67秒7と攻め強化、同じく降級のディアデルレイも軽やかな動きで態勢整う。しかし、ここも3歳を挙げる。1番気があるのは5F66秒7とハードに追われたボルゲーゼ。が、8節だと出走できるか微妙なところ。確実にゲートに辿り着ける馬ではナイアガラモンロー。中1週で4F56秒7だが3頭併せ消化と濃厚なメニューで充実期突入。1F短縮も良い。

あとはシリーシンフォニー。前走はキャリア不足を露呈したが、1週前には格上を追走しての好時計、直前も単走ながら最後までビッシリ追って力強い捌きを披露とポテンシャルの高さは折り紙つき。当然ながら、完成を待つ時期だが現状での平坦への適性が補ってくれるに違いない。

日曜は午前中から動き出したい。まずは4Rのアメリカンストーム。元々、身体能力の高い馬だが気性が災い。唯、ブリンカー着用で最後まで気を抜かずに走っての6F83秒9。現時点での想定を見て回ってくる馬多数だろうが、何が来ても逃げる手に出れば他は追いつけない。

6Rのスプリント戦はダイメイゴン。全体的に緩い印象を残していたのがこれまで。唯、バランスの良い馬体が素質の表れ。使いながらシャキッとしてきた結果が函館での好走で中2週ながらウッドでの併せ馬消化とパンとしてきた。決して洋芝が合うタイプでもないから軽い福島なら更に前進。

最後に土曜12R。降級2戦目になるマリカが人気。コース実績はあるし、右回りであれば1000万下でも上位のレベル。それでも中間にはコズミ気味で最終追いのポリで漸く間に合わせた印象。それならば、半マイルから急加速して好時計マークのイアぺトス。西下した前走は馬体減が応えた。その上、放牧帰りのわりにリフレッシュしたという雰囲気はなく稽古も満足に積めずじまい。そもそも、ダート馬とはいえスタート地点の芝で勢いをつけるパターンが不可欠だけに関西圏は条件が合わないのだ。調教の質をUPさせてもそれを楽々クリアーできたように、過去に遡って比べても今は段違い。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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