早くもラス前となる夏競馬のメインは新潟2歳S。前2年に関しては上位馬のレベルが高く、その後も息の長い活躍があることから、完成度の高い早熟型に飛びつけなくなった。
まずは、コース経験ということで一日の長があるダリア賞組から。若駒とは思えぬ勝負根性があるペルソナリテはウッドでの単走。とはいえ、5F67秒6でシャープな捌きを見せていたし、1週前には併せた古馬OPを上回る内容と好調キープ。唯、良い意味で平行線ということ。また、脚を温存して抜け出しを図る点から外回りはどうか?
前走は間隔が開いた分、結果的には余裕残しの仕上げとなったのがファド。詰めが甘くなった影響はそれに尽きる。ホームコースのポリでしまい重点ながら弾むようなフットワークで確実に良化。しかし、本質はスプリンターと見做している点から印は回せそうにない。
これに新馬戦で先着を許したウインファビラスをピックUP。確かに、能力的な問題はあるが、古馬1000万下を並ぶ間もなく抜き去った1週前、直前も余裕でラスト12秒9と洗練された動き。調教だけを問えば最大の惑星と言えるのだが…。
実戦での裏づけがあって稽古も文句なしというなら、やはりロードクエスト。最終調整は4F57秒0と感触を確かめる程度だが、デビュー前から強い調教で仕上げるタイプではなかったし、現状ではしまい重点が理に適っている。キビキビとした身のこなしで瞬発力にも納得の動き。勿論、フラットなコースで持ち味をより生かせそう。下馬評には逆らえぬか。
それでも一番に取り上げたいのがヒプノティスト。内目とはいえ、1秒近く追走しながら余裕綽々での併入。半マイルから一気に加速して13秒7のラップを踏んでも上がり37秒台でまとめられるのは性能のなせる業。それも含め中間の5F追いでも唸るような気配。デビュー戦では締まりが足りない造りでも抜群の切れ。当時が8分に満たない段階だったから2割増しと考える。
タニセンビクトリーも1戦ごとにパワーUP。稽古駆けする4歳を5Fで1秒3も追いかける態勢から馬体を併せにいった直線でもしぶとさ満点。脚色こそ劣ったが、2歳としてはハードなメニューを課せられても難なくクリアーというのだから奥深い。
今週はOP特別が2鞍もある充実の番組。メインでもおかしくないのが日曜10Rの1400戦。唯、今回で変り身を見せそうなロサGやニシノRが坂路というのが残念。となると、コース追いからの推奨でまずはミナレット。いつも通り馬場が閑散とした時間帯に登場。先着して当然の相手2頭だったが併せ馬を消化したこと自体に意欲を感じるし、外目で1F12秒2と抜群の伸び。福島ではコーナー4回で半端な逃げになってしまったが、小細工無用の条件だけにスピードをフルに生かせる状況。同型のマークをどう凌ぐかが鍵。
ミナレットが苦しくなる流れで急浮上しそうなのがベステゲシェンク。前走でも乗り込み入念だったが、スッキリし過ぎた感じでブランクの影響はあった。同馬の良さは重厚感。それが如実に表れた最終追いでは、3頭縦列の最後尾から内にもぐり込んでの5F65秒8。叩いた効果は絶大で、直後に単走で追った僚馬コウヨウアレスよりも魅力を感じる。
土曜メインはダートのハンデ戦。5月以来の実戦となるアジアエクスプレスにとっては大幅に相手弱化。57.5キロは許容範囲で乗り込みも入念。確かに、最終追いでは大きく先行しながら脚色で劣った分、物足りなさは残ったが、相手は同じGⅠゼッケン馬。先週にはそれを問題にしない動きだったのだから、手応えが悪くなったのは気性に依ると受け取りたい。実際、太目感はないしパワフルで完歩の大きいフットワークは健在。
ライバルは同世代のフィールザスマート。シャープな体の線というのなら1週前の段階でその条件はクリアーしていたし、直前の単走でも水準以上の5F67秒8。56キロのハンデを味方にできるだけの仕上がり。以上2頭に3歳ダノンRを絡めれば十分ではないか。
他で取り上げたいレースは土曜の最終。厩舎特有の半マイル調整で好時計をマークしたプルガステルに勢いを感じる。遠目にも目立つスピード感だった向正、しかも1F11秒8でのフィニッシュだったからひと皮剥けた印象。1200で開眼した印象で輸送さえクリアーできればトントン拍子まである。あとは2月の府中でそれを負かしているサザナミも挙げなればなるまい。直前は軽目だったが、先週までに十分な負荷をかけているし、丸味帯びた体から久々こそマックスになる。
唯、ここで面白いのがシェードカーテン。豪州産の遅生まれで3歳の中央在籍時は成長途上。再入厩しての追い切りでは成長を感じさせる身のこなし。必要部位にしっかりと筋肉がついてパワーさえ感じるのだ。流れるようなフットワークで芝向きは明らか。
最後に同じ500万下でもダート戦からの推奨を2頭。日曜12Rはマンドレイク。中1週でも手を緩めぬ調教で波に乗った印象が強い。ラスト14秒1と要したが5Fから13秒台を刻むラップだったのだから、むしろ中身の濃さに脱帽。この距離の流れに対応できるようになった前走からも今回こそ勝機。
土曜7Rはベルプラージュ。距離に限界があるタイプとはいっても前走のマイルは忙し過ぎた。加えて、今回はウッド中心と調教パターンを切り替えたのだから体力UPに余念なしというメニュー。それに応える動きで漸く復調。元々、夏場に調子を上げる馬だし、当コースでの着外は1000万下。0秒6差で1分52秒1の持ち時計があるのだ。降級の利を生かせる。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。