3日開催直後で全休がずれ込む変則日程。オールカマーに向けての調整もそれぞれでまずは水曜に追い切りを終えた組から。新潟記念で外回りを克服したマイネルミラノの今夏はハードスケジュール。が、中2週となっても元気一杯で6F追いを敢行。道中のスピード感も抜群でダイナミックなフォームを最後までキープ。唯、実績のない2200が鍵。
海外遠征を経験してそれ以来となるマイネルフロストは、朝の早い時間帯の単走。1週前に同格との併せ馬で負荷をかけたから直前は気合いをつける程度。1F12秒6だからマズマズの反応と受け取れる。しかし、見た目には推進力に欠けるし、今月上旬の稽古ではバタバタになって大差遅れと印象が悪い。体を持て余し気味で叩いての良化待ちか。
それならば牝馬のマリアライトの方が上。こちらも最終追いは感触を確かめる程度のラスト13秒1。とはいえ、3頭併せで行き出しが6Fだったから直前の牝馬としては濃厚なメニュー。丸味帯びた体つきでアクションも力強い。混合のGⅡとなると荷が重いが自身の成長が著しいのも確か。
唯、同世代の牝馬ということならヌーヴォレコルトが遥かに上を行く。以前は華奢な面が残っていたし、実際にヴィクトリアM→宝塚に至る過程では全体に力が漲っていないと当欄で指摘もした。つまり、案外だった春後半にはレースの条件以外にも理由があったわけ。
筋肉量が増して均整の取れた馬体。1週前には早くも岩田が跨っての稽古で3F37秒1の好時計をマーク。結果的には単走扱いだったが、とても追いつけないほど離れていた前2頭に迫る直線の迫力には目を剥いた。加えて、再び岩田が手綱を取った木曜の最終追いでも柔らかな身のこなしで5F68秒4。今回を使った後が心配になるほどの仕上りで好発進は確定事項。
ヌーヴォRを主力とするならロゴタイプにも同等の評価が必要な筈。今季でいえば中山記念での叩き合いがあるからだ。1週前のウッドでは能力十分の準OPを直線だけで1秒1突き放す瞬発力を見せつけた。唯、直前は木曜の坂路で4F55秒0を馬なり。確かに、春も同様のパターンで好走したが、スランプ脱出を図って懸命の調整を続けていた時にはウッドでのハードな稽古を繰り返していた。しかも、手応えほど弾けなくなったのが近走。外回り2200となると連下で良いのではないか。
結論としては4歳牝馬2騎の首位争いに他の関西馬が食い込むという構図。
日曜の阪神メインは先週のセントライト記念より重要度が増す神戸新聞杯。勿論、骨折明け2頭の搭載エンジンには違いを感じる。唯、関東から勇躍西下するマッサビエルも捨て切れない。春後半から急激に力をつけた。元々あった身体能力をスムーズに引き出せる走りに変わったからだ。しかも、夏を超えての帰厩でひと回り成長したのを実感させる姿。輸送を控えた直前でも重いウッドで楽々と5F67秒0をマークと天井知らず。菊の候補として名乗りを挙げそう。
そこで中心を担うリアルスティールの下が中山・芙蓉Sに出走。まだ、馬を追い込む調教は積んでいないプロディガルサンだが、センス溢れる走りに鋭い反応と将来性豊か。追い切りでの行き出しが半マイルとしまい重点だったが、古馬OPを子供扱い。が、軽く通過できると言えないのはプランスシャルマンの存在があるから。5F70秒超えもゴール前の伸びは尋常ではない。前走を境に馬が覚醒した印象。完成度の高さで国枝厩舎の一番馬に土をつける可能性も。
それを含め2歳戦は比較的堅く収まりそう。日曜4Rの新馬はデピュティプライムが中心。目立つ時計は出ていないし、先週までの併せ馬では遅れているが相手のレベルが恐ろしく高い。それらに見劣らぬ動きというだけでもここでは一枚上。ライバルがハードに追われながらそれに応える動きを示すコパノチャンス。典型的な砂馬という走り。
日曜5Rはアメリカンヘヴン。最終追いこそ5F71秒3と平凡だったが、追えばどこまでも弾けそうな勢い。実際、ポリでは岩田のアクションに応えてパートナー2頭を置き去りにした。馬格に恵まれたダイワリアクション(鹿戸厩舎)も有力。唯、こちらは加速するまでにタイムラグがありそう。
日曜は勝負したい馬が目白押し。7Rのサクラベルカントは追走して外に合わせながら余裕の動きで仕上り上々、というより、洗練された馬体と走りは500万下を遥かに凌駕する。水曜の想定段階では出走確率3分の2だがゲートまで辿り着けば直線で前をひと呑みしよう。
10Rの外房特別はレインボーラヴラヴ。フラットなコースの高速決着という限定された条件の馬ではなくなった。馬体に厚みが出た上に持ち前の軽やかさや柔らかみがある。3頭併せでは前2頭の外に回って圧する動き。以前とは漲るパワーが違う。
そして最終12Rにはプロファウンドに再び登場して貰う。前走時、当コラムで取り上げたように、稽古の質が格段にUP。軌道にのった今なら直前は15~15程度で十分。それよりも中1週ながら併せ馬を消化できたこと、良質の筋肉をまとった体。鮮やかな上昇曲線を描いている今なら昇級の壁などなきに等しい。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。