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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2015年10月01日(木)更新

2年前とは違うサクラG 大駆けも十分

GⅠシリーズの口火を切るスプリンターズSには美浦から3頭。エントリーの少なさが劣勢を物語っている。が、適性や能力は措くとして好調馬が揃ったとの実感はある。

京成杯AHで波乱の立役者になったフラアンジェリコは、前回時に当コラムで記したように、夏前とは状態が違った。その勢いを保っての最終追い。単走ながら豪快なアクションでの5F67秒6。中2週ながらハードに追えたのだから波に乗ったと考えて良い。しかし、距離経験がない上でのGⅠでは荷が重い。

北海道で2連勝と開眼したのがウキヨノカゼ。1400以上では脚が一瞬だけだったからスプリンターとしての資質ゆえということ。加えて、脚部不安による2年近くのブランクから完全に立ち直ってウッドで負荷をかけられるようになった。体質的に坂路で騙し騙しの調整が以前だったからだ。回転の速い捌きで最後は馬の気に任せただけでの4F52秒6なら上々。それでも坂のある中山となると‘二度あることは三度…’とまではいかないのでは。

最も魅力を感じているのがサクラゴスペル。1週前には馬場悪化のウッドでも安定した走りを見せたし。半マイルから一気に加速した直前では1秒以上先行するパートナーを余裕で交わしてのフィニッシュ。見事としか例えようのない3F38秒1であった。

帰厩しての本数は少ないものの、テンションが上がらぬ仕上げを施すのが必須。2年前の大敗した時には勝負を賭けての初ブリンカーが仇。直前まで馬を追い込む過程でレース前には完結していた感じだけに度外視できる。できる限り脚を温存しての直線一気を図れば食い込みがあって不思議ない

中山の特別戦は準OPが難解。その分、切り口が幾重にもあるから配当面の妙味十分。GⅠ直後のダート戦の注目は昇級3歳。直前こそ脚色劣勢だったアルタイルの将来性は豊か。中間もピッチを落とさずに鍛錬に励んでいるから上積みも当然。唯、当クラスの古馬に伍してのレースが可能かは疑問。同じことがセンチュリオンにも言える。併せ馬での3馬身遅れを気に病む必要はない。実戦で力を発揮するタイプで体のハリも上々だからだ。しかし、前回は余りにもペースに恵まれた。

ハンデが示す通りに実績馬はいずれも態勢が整う。2週前の併せ馬で1秒1遅れたといっても相手がロゴTでは仕方のないノースショアビーチは、それ以降2本追えて馬が目覚めた。内目とはいえ、シャープな脚捌きだった最終追いと、福島で見せた変り身から好勝負必至。が、これより0.5キロ軽いバンズームにアドバンテージがありそう。

格上挑戦だった前走はレコード決着。走り慣れぬ芝からダートに戻って現級勝ちのある中山に照準。それと分かるのは最終追いでの鋭さ。芝の短距離馬に速さ負けせずに四肢を目一杯伸ばしたダイナミックなアクション。春を上回るデキと確信できる。

◎候補がもう1頭。一息入ったが半マイル行き出しの追い切りでは同格を寄せつけずに3馬身切り捨てたキネオイーグル。先週の3頭併せを境に身のこなしが変わってきた。中京ではチグハグな競馬だったし、高速ダートも足枷に。今回から着用したチークPの効果は抜群で潜在部分が更に引き出される筈。

土曜メインも大混戦。ペースを握るのはペイシャフェリスで3歳暮れにマイラーとして覚醒。1週前には6F追いで80秒6と稽古で目立つタイプらしい動き。太目感もないから夏場の調整がスムーズだったのであろう。唯、本質は叩き良化型でその点に一抹の不安が。

それが引っ張る流れならウインマーレライが虎視眈々。折り合いスムーズに追走できるからだ。5F70秒超えの併せ馬だったが西下後の中2週なら十分だし、ゴールに向けて重心が沈んでいく様は圧巻。前走時も凄い動きだったが脚が限定されるだけに阪神外回りでは辛い。コース替りならその心配は無用。これに並ぶ◎候補がマーブルカテドラル。こちらの前走は直線で壁になってほぼ馬なりという不完全燃焼。一旦リセットしての再仕上げになるが直前の併せ馬は実戦を想定したハードな追い比べ。骨折明けを叩きつつ一本芯が通ったと思える体つきで復調を実感できる。

古馬のレースでは平場戦の土曜8R。3頭併せの最外で先着したアルマエルモは、夏場の充電を経てパワーUP。良質の筋肉をまとって身のこなしも軽い。一見、芝向きに映るがワンペースで体に似合わぬ力強さがあるから我慢比べに秀でる。飛躍のきっかけになりそうな条件替りが今回

あとは2歳戦。カンナSはエピックマジック。ダートでのデビューから芝に転じて個性が生かされたタイプ。軽やかなフットワークを窺えば、ここにきての良化ぶりが伝わってくるし、完成度も高そう。確かに、単走での5F71秒8は目立たぬが、馬場の荒れた時間帯に加え、坂路を1本消化してからの追い切りで中身は濃厚。坂がネックになることもなかろう。

今週デビューの新馬戦では日曜6Rのシンボリラパス。垢ぬけた好馬体に加え乗り込み入念。直前こそ単走だったが、それまでの2週は追走する形から余裕綽々のラストと能力とセンスがピカイチ。同じように素質を感じさせるドーノデルソーレだが、こちらは気性面が不安。先々はともかく、初物尽くしでは不安が先立つ。ライバルは実戦向きの勝負強さと追っての味に魅力を感じるミヤビエンブレム

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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