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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2015年10月08日(木)更新

恥ずかしい競馬はできぬ仕上り イスラボニータ

天皇賞を目指す上で好発進を遂げたい面々が集まる毎日王冠。昨秋、この路線で大願成就となったスピルバーグが主役なのは間違いないがオール坂路。しかも、別定58キロともなれば他を探したくなる。とはいえ、エプソムCではエイシンHに完敗といった上に、やはり坂路で追い切ったディサイファを殊更強調したくもない。

ウッドで入念に乗り込まれてきたイスラボニータが関東の屋台骨となろう。先月下旬から一気にピッチを上げて1週前には好時計をマーク。太目感どころか、厚みを感じさせながらも引き締まった印象で迎えた最終追いでは、同じOPを5Fで1秒先行させる態勢から虎視眈々。内を突いた直線で鞍上に促されると首を上手く使ったフォームで1馬身先着、ラスト12秒6は額面通りに受け取って良い伸び。

数字面だけではない。前肢が綺麗に伸び切ったフォームが印象的。コズミ気味だった今春とは違う。中山記念時は久々というより、JCまでの激戦が癒えていない状態での見切り発車。その時点でリセットした効果が計り知れないのなら恥ずかしい競馬には断じてならぬ

木曜追いはリアルインパクト。堀厩舎の第一弾に他9頭とともに馬場入りしての併せ馬。勿論、直前だからしまい重点で行き出しは半マイル。3頭併せの最内で4F53秒9~1F12秒2で動きには余裕があったしダイナミック。が、持久力を問われる距離では保たないタイプに変貌と、4年前(2着)のパフォーマンスを望むのは酷。

他の特別戦では土曜に注目馬が集まる。堅いところでは9Rのラインハーディー。馬体がはち切れんばかりでストライドの大きさが好調を物語る。手綱を引き絞ったままのラスト12秒7と見事なフィニッシュで開幕週の馬場でも持ち前の末脚を発揮しよう

直後の本栖湖特別は2400戦。となれば、2走前の2分24秒7が光るポトマックリバーといきたいところ。53キロも有利だからだ。唯、今回は一杯に追って1馬身遅れ。良化途上との疑念が。同じ3歳でもアルターにより大きな魅力を感じる。先行しての併入だったが稽古が目立たぬタイプ。それよりも馬体が洗練された点に成長を感じるのだ。従って、動きが休養前よりスムーズ。その分でストレスを感じないせいか、ハミを確りと取っての走りと精神面の充実も窺える。距離が課題になりそうだが充実ぶりが凄いアルバートとの二者択一か。

ここからは2歳戦。今週の目玉になるのが土曜のサウジアラビアRC。昨年に当て嵌めればいちょうSというのだから好レース必至。中心はアストラエンブレムで仕方ないだろう。唯、強い稽古を必要とする段階でもないから、帰厩後のメニューとしては納得。最終追いこそ坂路だったが、先週の5F追いでは鋭い動きを披露していたからだ。

しかし、前走で0秒7差置き去りにしたブレイブスマッシュとの差は詰まっても良いのではないか。地味な血統ながら使うごとの進境があって完成度は高い。また、追い切りでは古馬1000万下を4馬身追走しながら痺れるような手応えで1馬身交わしてのフィニッシュ。身のこなしが格段に良化して2走前とはレベルが違う。

勝ち馬以外がアピール度の低い新潟2歳S組では、そこで3着のマコトルーメンが俎上に上りそう。確かに、直前は感触を確かめる程度の5F70秒5でも軽快。唯、スケールを感じさせぬ体の造りでローカルがベスト。その組であればトウショウドラフタが面白い。ソエ明けだった前走は馬混みで消耗した形。それを一叩きと見做せば上昇ぶりを買って良い。1週前のポリでは独壇場といった直線の伸びで3F37秒3。柔らかみのある動きを取り戻した。直前は北馬場だったが、ダートで追えたこと自体がパンとした証し。

田村康厩舎のハレルヤボーイはひと皮剥けた。渋り気味の馬場だった前走の時計◎で瞬発力が凄いから府中の馬場も合いそう。この厩舎らしく手を緩めぬ調整ぶりで古馬1000万下と互角だったのが直前。勢いを得た段階だからそれに乗る手もある。

同じ厩舎でもう1頭。日曜12Rのアグスタは仕上がり万全。2週連続の一杯追いでいずれも先着。追われてからの鋭さとパワフルな身のこなしという、アピールポイントを如何なくなく発揮。マイルより脚が矯め易い分、レース運びもスムーズになりそうな1400なら他の追随を許さぬ

あとは新馬戦。新潟で抽選除外の憂き目に遭ったアウアウ(日曜4R)だが、その後も入念でダイナミックな動きを再三再四にわたって披露。先週には新潟2歳Sで人気になった馬とほぼ互角のレベルまで達したのだ。500キロ近い体だがバランスが良く鞍上のゴーサインに即応えられる機敏性がある上にダート向きの捌き。条件が揃った。(編集部注:出走回避の運びとなりました)

古賀慎厩舎の2頭にも注目。土曜5Rのワンブレスアウェイは、入厩直後から質の高い3頭併せを消化。外厩での進み具合が分かろうというものだし、ラストの反応も上々。パワー型のキャニオンロード(月曜5R)は追っての味が魅力。少々の硬さはあるが古馬2頭を先行させて余力十分での併入だから能力は確か。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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