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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2015年10月22日(木)更新

ビッシリ追って背水の陣 ロゴタイプが復活

菊花賞の追い切りでは関東馬も含めて栗東が大いに賑わう。結果、美浦に取り残された形が2頭。いずれも1度目のハロー明けという慌ただしさ。唯、1000万下という身分でもジュンツバサには魅力を感じる。確かに、同じTRでもセントライト記念は質が落ちる。が、スローに嵌って脚を余したのは確か。中山もネックであったろう。

それでも、春からの成長を実感できた馬体の造りだったのが前哨戦。それに磨きがかかった。ここ2週の併せ馬では5F70秒を超える時計だったが、向正出しでは加速に時間を要するのだから、最後の伸びに注目すれば良い。また、ひ弱さが残っていた春はポリとの併用で体質と相談しながら。鋼のような筋肉を纏ったこの中間はオールウッドと中身が雲泥の差。ステイヤーとしての資質も見受けられる点でも魅力十分。どうにかして印を回したくなる。 逆に、前走が水も漏らさぬ仕上げだったミュゼエイリアンはアピール度が低い。12秒9と力強い伸び脚だったラストは認めるにしても黒岩厩舎のルーティンワークである4Fからのしまい重点。流れを味方につけたのが中山2200で一気の距離延長で大幅な上積みが見込める体型でもないだけに軽視したい。

面白いのは、むしろ府中メインの富士S。新旧が入り混じる混戦となったからだ。ポイントは3歳の順位づけ。特に、GⅠ馬ダノンプラチナの取捨になろう。

本数が示す通り入念。が、関係者が目論むような進み具合でなかった点も否定できぬ。この馬本来の沈み込むようなフォームが蘇ってこなかったからだ。最終追いは古馬OPのヒラボクDを5Fで2秒3追走してゴールでは1馬身先んじた。が、自身の時計は70秒1だったし、フォームの優雅さを取り戻しても柔軟性は今一つ。

叩き2走目のグランシルクは単走。ラスト1Fを切ってキビキビした捌き。5Fから14秒0を刻んだのだから、追い出してからフォームが定まるまでタイムラグがあった点には目を瞑れるしメリハリのある体の造りで着実に成長。中山に比べると府中でのパワーダウンは否めぬが…。同じようにヤングマンパワーも単走。1週前の6F追いがあったから感触を確かめる程度の5F71秒2で当然ながら馬なり。グランS同様、長い直線がベストと言えない点、良い意味での平行線という状態では連下に届くか、といった程度。

当欄では幾度となく取り上げているシャニープリンスは快調教。というより、悪く見せることが少ないほど稽古では目立つ。今回も脚色優勢での5F67秒8で活気が溢れていたし、前年2着の実績。上位を窺えるポジションなのは間違いない

しかし、古馬勢で凄い動きを披露したというならロゴタイプ。前走から1キロ増しになる別定58は楽ではない。中距離ではひと押し足りないレース続き。しかし、相手はほぼ一線級なのだから、マイルというアイテムが加われば復活があって良い。そもそも、前走の直前は坂路でそれが祟った太目残り。

対して、今回は2週続けてのウッドで追い切りでは1600万下を5Fで1秒追走する態勢から直線ではパートナーを圧倒しての2馬身先着。前肢を叩きつける力感満点のフットワークで威風堂々という形容がピタリ。昨年のマイルCSでは案外だったものの、2歳時にレコード勝ちのある府中なら違った姿を見せつけられるデキに達した。

今週は土曜に集中砲火を浴びせたい。まずは府中、10Rは3歳アルタイルが巻き返しを期す1戦と見做されているが、まだ完成途上の感。準OPでは少しのアクシデントで崩れそう。57キロのハンデでもクライスマイルが中心。最終追いこそ坂路56秒2だったが、先週までのウッドで再三の併せ馬。大和田厩舎だけに時計は目立たぬが身のこなしが洗練された上に追い出されて迫力が違う。ハンデ抽選を潜り抜けるかのみが課題

1000万下では8Rのルミナスウォリア―。確かに、5F70秒8での1馬身遅れと調教は地味。しかし、中身としては追走もあったし5Fからいきなり14秒台を刻む。以前はしまい重点でしか仕上げられなかった馬だし体裁が整ったのが3歳暮れと奥手。ハードに追えたこと自体が大きな進歩だし、一本芯が通った雰囲気を醸し出している。通過点。

同じ長距離戦ということで新潟に目を移せば萬代橋特別のプレストウィックがいる。中山では距離不足の上に重目が残っての臨戦で5着なら上々。1週前には短距離馬相手の併せ馬でも鋭さで負けていなかったし、直前ではパートナーを窺いつつの1馬身先着で叩いた効果がダイレクトに伝わる動き。直線の短いコースでの早目スパートなら他の追随を許さない。

最後に2歳戦。先々に繋がるアイビーSは東上組が強力。アドマイヤVやエイシンGのスケールは大きいからだ。関東ではまずヒプノティストであろう。良質な筋肉が躍動する様には惚れ惚れするしセンス抜群。新潟は道悪に脚を取られたこととキャリア不足が敗因。1E12秒4とシャープな伸びで巻き返し必至。唯、先の新潟2歳Sのレベルを鑑みると◎まではどうか?となると、デビュー戦の当欄でも推奨したアメリカンヘブン。勿論、新馬の時計は平凡。が、勝てば事足れり、という競馬でおぼろげだったシルエットからも8分がやっと。1度使った効果は絶大で、馬体は締まったし脚の回転も格段に速くなった。相手のレベルUPに難なく対応できる奥深さも感じるだけに無傷で進んでもらいたいところ

最後に今週デビューの大物に触れておきたい。日曜3Rのストロングバローズだ。1週前がウッド5Fで定石通りに直前の木曜がしまい重点で54秒5。タイムは水準だが、力強いストライドで豪快なアクション。モノが違うといった強烈なアピールで世代をリードするであろう器。勝ち方のみがテーマ。粒揃いのダート馬がいる関西から臨むハルクが相手本線になろうが、薄目で面白いのがパワフルなモリトフラッシュ。

土曜5Rの芝2000は2頭。追って味のあるリスペクトアート。2週連続でパートナーを引き離した伸びは秀逸。唯、ここでの主役はゴールドエーカー。バランスの取れた好馬体を駆使した動きが秀逸で古馬との追い比べを制した最終追いからも実戦向き。和田道厩舎にも関わらず、シッカリと直前まで馬を追い込むメニュー、意気込みが伝わってくる。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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