3日開催が追い日の日程に影響を及ぼした上に、水曜には台風が直撃。馬場が開いたのは10時から15時までと変則になって、使えるコースは南Dと北Cのみ。必然、輸送があっても木曜に最終調整となるのが菊花賞組。
6分の1という抽選対象の関しては割愛させてもらう。まずはウッドで追い切った2頭から。1週前に長目追いを消化したケイアイチョウサン、5Fスタートの2馬身追走で直線では内へ。気合いをつける外の馬を尻目に余裕の手応えで併入。70秒1と平凡な時計ではあったが、細身の馬で長距離輸送が控えているのであれば納得の内容。洗練された馬体がアピールポイント。唯、気品を感じさせるものの、必要部位に筋肉がつき切っていないのも事実。それが、使える脚の短さに繋がっているのではないか。つまり、3000を乗り切るだけのスタミナ?
1度目のハロー明けの正面から登場したのがヒラボクディープ。僚馬2頭とともに6F過ぎで加速。縦列の真ん中をキープしながら最後の追い比べに持ち込むと、しぶとく脚を伸ばして1F13秒を切った。内と外が楽だったにしろ、闘争心をかきたてるようなメニューを課した点には好感が持てる。それでも、6F86秒0は特筆すべき数字ではない。テンションを上げない為の過程を踏んで、春より華奢に映るし、頭の高いフォームで推進力も今ひとつ。少なくとも、前哨戦からの大きな変り身はない。
となるとユールシンギングに望みを繋ぐしかない。こちらはホームコースであるポリ。ハロー明けで6F標識は横切ったが、5Fまでのピッチは上がらず、結果的にはしまい重点。5F68秒1~ラスト13秒1で全くの楽走。しかし、胸前の筋肉は充実しているし、捌きも実に軽快。セントライト記念時は菊への権利を取る為、背水の陣で一杯追いを敢行。それに比べると迫力不足ではあるが良い意味で平行線と言えるのでは。後肢を深く踏み込んでこないアクションだから、本来は坂が足枷になる筈。だから、中山を克服できたのは成長の証しだし、直線がフラットな京都替りはプラス。
上記の3歳より西下する馬で最も脈があるのが、土曜・室町Sのスノードラゴン。水曜がポリ閉鎖の為、Dコースで追うというアクシデント。が、2週前の6F追いではしっかりと馬を攻めての79秒5。その時点でいつゴーサインを出されてもOKというレベル達していた。つまり、最終追いの5F64秒5にしても、同馬にとっては感触を確かめる程度。
ゴールに向かうにつれ、重心を沈めるフォームといい、そこから繰り出される四肢の伸びやかさといい、非の打ちどころがない。軽いダートで上がりが速くなるレースで本領発揮というタイプ。馬場コンディションに左右されるタイプではある。それでも目下の充実ぶりがあれば、クリアーできるのではないか。
府中での注目レースは土曜メインの富士S。サンレイレイザー、ダノンシャークが首位争いに加わるのは確実。唯。安田記念以来となるガルボも態勢を整えた。稽古駆けすることでは美浦で一、二を争うほど。ここに照準を合わせた今回もひと追いごとにレベルUP。
先週の併せ馬で5F62秒台突入すると、直前には5Fで1秒2あったビハインドをあっさり覆しての2馬身先着。目一杯ではないのに上がり36秒3を叩き出したので青写真通りの仕上がり。府中では乗り方に注文がつくが、デキに関しては瑕疵がない。
しかし、ここでは是非狙い撃ちしたくなる馬が。左回りに替るインパルスヒーローだ。中山では窮屈な競馬になるから、京成杯で頭打ちと決めつけるのは早計。何より、今回から着用したブリンカーの効果が絶大。中間、唯一のコース追いだった直前では、同じ3歳マンボネフューを子供扱い。先行したとはいえ、全く追いつかれる気配のなく手綱を引き絞ったまま先着。仮に、少しでも追っていれば、ラストも12秒台前半で締めていた筈。持ちタイム1分32秒7にアイテムが加われば鬼に金棒。
最後に実績最右翼・リアルインパクトについて。4F過ぎての加速でしまい重点。体はデキているから、タイムの面で不満はない。それでも、格下相手に先行という態勢で、直線でも体を持て余し気味。以前のアクションに比べて硬い印象は否めない。得意コースでも食指は動かない。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。