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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2016年03月02日(水)更新

初の1200はむしろ大歓迎 アルビアーノ

弥生賞が2週目を迎える中山のメインだが、関西馬に馬場を貸すだけ。しまい重点ながらシャープな捌きだったイマジンザットの中山替りは好材料だし、追走して外に進路を取りながら力強さを最後まで失わなかったエディクトと、状態面で太鼓判を捺せる馬の存在はある。唯、関西の3強に比べるとスケールで劣る。その溝は埋めがたい。

同じ3歳のTRということなら、阪神・土曜のチューリップ賞に妙味がある。抜群のセンスを持つシンハライト、キャリア2戦目のシンザン記念では牡馬に伍して戦えたジュエラーは本番でも首位争い必至。しかし、ウインファビラスの存在を忘れてはならぬ。何せ、暮れのGⅠでは2着。つまり、格的にもコース適性という点でも抜きん出た存在。

前2週まではラストの反応に物足りなさを覚えたものの、それでシェイプUPが成った最終追いでは、追走して内にもぐり込むと小気味良いフットワーク。持ったままながら一気に相手を置き去りにしての3馬身先着だから、相変わらず稽古は動く。しかも、今回はオールウッドで負荷をかけての臨戦。好発進は約束されている

高松宮記念に向けて負けられないのが、オーシャンSのアルビアーノ。帰厩して間のない段階で6F追いを敢行できたのは、放牧先での調整が青写真通りに進んだ故であろう。実際、厚みが出た馬体で動きもゴムマリのよう。

直前の3頭併せでは縦列の2番手から直線では真ん中に。5F69秒3だから当然ながら余裕綽々。そのこと以上に重心が沈む身のこなしには瞠目させられる。元々、全体からすれば首が短めで筋肉量豊富というスプリント体型。マイル前後では如何に矯めるかがポイントだった馬。一定以上の結果を得ていたのは元値があったからこそ。本番での◎も考えているほどで、前哨戦はアッサリ通過して欲しい

相手の筆頭に挙げるのがゴールドペガサス。2走前で先着を許した馬がここにエントリー、別定の56キロも有利とは言えない。唯、暮れがOP初戦でベストの平坦からのコース替り。レースを経るごとに課題をクリアーしているのだから鮮やかな成長曲線。先週まででも鋭さ満点で目を惹く稽古だったのに、最終追いでも素晴らしいフィニッシュ。しまい重点の目論見だったろうが、半マイルでエンジン点火となると弾むような身のこなしで1F12秒1は抜群。スケールUPが実感できる段階に突入したとなれば同世代の牝馬に迫って良い

その直前、準OPのスピカSにも快調教馬がいる。ウインマーレライだ。暮れは道悪もあったが、ダートを使った直後で反動があった。リフレッシュしたこの中間は6F追い2本に加え、直前の3頭併せでは最後尾からで先頭とは1秒6差。それが直線では見事な推進力で逆に1秒2突き放してのゴール。凄みさえ感じさせる渾身の追い切り。復活に向けてやるべきことは全て消化したといった印象。

同じように馬場に殺されたのがブラックバゴの復帰戦。中2週と間隔が詰まった分、5F70秒を超える時計だが、メリハリのある馬体に変貌した上に余力残しでの2馬身先着と素軽さが増した。なお、力量上のベルキャニオンだが、少し朧げなシルエットで単走だった最終追いの捌きも硬め。今回は様子見が無難か。

他の古馬戦では1000万下の土曜12Rを取り上げる。ここは昇級初戦になるサクラフローラ。3頭併せの最内から鮮やかに抜け出した最終追いを含め、同様のメニューを楽々こなした中間からも一息入れてのパワーUPは歴然。二番が利かない体質の弱さが飛躍を阻んでいたが、巨漢ながら軽やかさと追ってからの反応が際立ってきた。まだ上を狙える器

これに4馬身遅れたブレスアロット(日曜1R)にも注目。感触を確かめる程度で馬なりだったから先週の中身を素直に受け取るべき。むしろ、ハイレベルな相手を選べたこと自体が能力だし、一叩きでの覚醒を窺わせる。勿論、忙しいマイルからの条件替りも大きなプラス。

同じようなパターンが土曜3Rのメジャースターダム。前走は追走するだけで消耗。大きなストライドで加速には時間が不可欠なタイプにとっては明らかに距離不向き。豪快な捌きで実にパワフルだから中山ならひと味違う筈。追い切りの3頭併せでは遅れたが追走して外、コースロスがあっての5F65秒7は並みでない。少なくとも未勝利に長らくとどまる馬でないのは確か。

同じダート1800、新馬戦(日曜3R)も面白い。直前の時計こそ平凡だがダノンアイドルは均整の取れた好馬体でセンス良好。堅く入るならそれだが、追っての味が魅力のタイタンアルム。全体的に緩いが見受けられるものの、素直な気性で身体能力の高さを感じさせる動き。素質だけで通用するのではないか

3歳戦の最後は土曜の黄梅賞。暮れから年明けにかけての中山マイルで連続3着、時計も優秀なショウナンアンセムはラスト12秒4と伸び◎。唯、併せ馬の意思がありながらパートナーとの呼吸が合わずに単走で終わった点は気懸かり。それならばサーブルオール。距離短縮で更に切れが増すようなここ2走だし、2度目のハロー明けに登場しての6F追いが圧巻。持ったままでのフィニッシュで外目を通っての3F37秒8。半ば手探りだったこれまでとは中身が違う。馬体も一層麗しくなった。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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