3場に分かれての変則開催となる週末は3歳の登竜門となるレースが目白押し。まずは、他と路線と異にする中京のファルコンSから。コース実績もフォローになるシュウジには一目置かねばならぬ。唯、トウショウドラフタは尋常でない進境ぶり。
デビュー時はソエに悩まされたが、健康体となった今はキャンターからして滑らかでいて力強い。1週前、古馬を追走しながら直線で突き放した時点でも素晴らしかったが、直前の単走では4Fから抜群のスピード感で51秒9。ひと皮剥けたと思わせる弾け方だったここ2走が納得できる小気味良いフットワーク。勢い重視で◎まである。
10月の府中マイルでは、それを負かしたブレイブスマッシュの中間は凄い。負荷をかけた6F追い2本いずれもが力を要するウッドを蹴散らすかのよう。当欄で指摘してきた通り、ここ2走は身体能力の高さを生かせる距離でなかった。唯、最終追いが単走で感触を確かめる程度だったのは頷けるにしてもラストでフォームが伸び切らない印象。これまでの過程がオーバーワークだったという懸念も。
ブレイブSと同厩のリスペクトアースは阪神・若葉Sへ。安定して力を発揮しているのは立派だし、逃げに拘らぬレースも可能。というのも、稽古で追走の形になっても嫌がる素振りなし。実際。最終追いでも内から鋭く反応してのラスト12秒6で、仮に追ったならもっと脚を伸ばしていたに違いない。スローに乗じたように見えるデビューからの3戦だが、後続に脚を使わせたのであれば自身の個性がもっと生きた筈。従って、タフな阪神は合う。
京成杯では出負けしたマイネルラフレシアは平行線。5F69秒6で脚色優勢といっても調教の質としては今一息で前走のレースレベル自体にも疑問符がつくようでは…。
それならば同じマイネルでも中山・スプリングS予定のマイネルハニーの方に望みはある。こちらは状態面を問うより、如何に持ち味を発揮するかが全て。気性的に追いかけられる形でマックスに達するというのを、前走で漸く分かった模様。とはいえ、460キロ台ながら馬体を大きく見せている点には好感が持てるし、5F70秒を超える時計での単走での外ラチ沿いなら十分な内容。
マウントロブソンに関しては是非触れておきたいと、当コラムの更新を遅らせて木曜の最終追いを待ったほど。何故なら、前走の時計が極めて優秀だし、本物と思わせる強い競馬。
9時近くになってDコースに姿を現してキャンター、ウッドに移動して向正からのスタートという厩舎定番の調整。全体から発するオーラこそないが、バランスの取れた好馬体で少し胴が詰まっているから距離短縮はむしろプラスという見立てもあった。上がり地点で1馬身追走とセーブ気味に進んで直線を迎えると外のパートナーより早い仕掛け。そのわりにモタつく面も見せて結果的には脚色劣勢。4F55秒7での強目は期待外れで、現地で最後まで目一杯追えた前走がピークだったかもしれぬ。現状では滞在がベストといった点も見え隠れ。少々評価を下げたい。
となると、稽古が凄かったハレルヤボーイ。前2頭を追走する道中から敢えて外にコースを取っての抜け出しで、多少なりとも水を含んだウッドでの5F65秒4、3Fに至っての37秒ジャストは破格で目一杯追ったわけでなかったから桁違いの時計。勿論、マイルがベストだろうが、昨9月の好時計勝ちがあれば中山でのパワーUPは必然。距離を誤魔化せるコーナー4回なら同じ1800でも府中と違った姿を見せられる。大駆けがあって良い。
暮れのGⅡでは不覚を取ったロードクエストは始動が1月というぐらいで石橋を叩いて渡るほどの慎重さ。また、池添が2週にわたって跨ったほど。小島茂厩舎らしく角馬場での運動量が豊富で5F70秒1目立たぬ追い切り時計も気にならぬ。前を抜き去った直線では全身バネといった風情が相変わらずであったから。しかし、馬体に幅が出ない点はどうか?早稲の可能性も捨て切れぬ。
中山の特別戦で取り上げたいのが日曜の千葉S。追い切りで1秒1遅れたマキャヴィティだが、相手が走り過ぎただけだし6F追い敢行で最後まで諦めぬ走りなら前回時より上。むしろ、馬体が引き締まったことに加え、フォーム自体もパワフルだけに得意の条件を再び生かせそう。
同じ萩原厩舎の1600万下・テンダリーヴォイス(幕張S)も狙い処。直線は4Fスタートのしまい重点だったが、リズミカルで柔軟性に溢れる動き。少しでも気合いをつければ同格のパートナーを突き放しそうな勢いだったし、馬体増を実感させながらも気品を失っていない。案外だった昨秋でリセットした効果は計り知れない。
最後に平場戦から。1000万下の日曜・最終Rはダイワインパルス。3頭併せの最外で先行先着の5F71秒4は特筆すべき数字ではない。けれども、ダイナミックなアクションではち切れんばかりの馬体が印象的。そもそも、良質の筋肉を多く纏っているパワー型で本質はスプリンター。まだ一本調子だった2歳時には1200の流れに難なく対応できていたのだ。脚を温存する形を覚えた今、距離短縮で破壊力がより凝縮されるのでは。
これを含めた併せ馬はハイレベル。何故なら1馬身食い下がったジョニーハンサムの能力は相当だからだ。デビュー戦は息の入らぬ流れに嫌気が差して失速したが、一叩きでメリハリのあるシルエットに変貌。パワフルな捌きでワンペースでこそ真価発揮なら中山の中距離で他との違いが際立つ筈。
柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。
柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。