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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2016年05月05日(木)更新

NHKマイルの◎は別路線から

水曜は調教開始とともに台風のような悪天候でウッドなどの右回りであれば強烈な向い風に晒される時間帯すらあった。その中でもNHKマイル組には調整に余念なし。口火を切ったのが単走のエクラミレネール。感触を確かめる程度のしまい重点だったがラスト12秒1と糸を引くような伸び。唯、底力を感じさせぬ馬体だけに府中のGⅠとなると荷が重いか。

しかし、3歳牝馬のレベルを証明したのが同馬のニュージーランドT3着。ということなら、俄然クローズUPされるのはメジャーエンブレム。2月には当条件での1分32秒5があるし、桜花賞は内の窮屈な位置で力を出し切れなかっただけ。デキの面では申し分なかった。

それは今回も持続。スケールの違いを示す稽古で最終追いは3F地点でも先頭との差が2秒以上、とても追いつけない態勢からラストは凄い勢い。結果、最外に2馬身遅れでも上がり36秒1は馬場を考えれば破格で、豪快なアクションは牝馬という範疇を遥かに超えている

◎候補は当然で、同じように別線からの参戦となるロードクエストとであれば甲乙つけ難し。そのもう一方は2度目のハロー明け3組目の3頭併せ。古馬OPを含めた他2頭は4Fスタートでこの馬だけ5Fだから中身は段違い。

確かに、ゴールでは1馬身及ばなかったものの、師がセーブしつつのラストでバネの利いた走りが印象的。土曜の長目追いの効果か、一段と引き締まって筋が浮き上がって見える凛々しさ。皐月賞時でも上昇の手応えを感じたがそれ以上。新潟2歳Sがベストパフォーマンスだったのだから、漸く恰好の舞台に辿り着いたということ。

最終追いを左回りのポリに切り替えたトウショウドラフタは‘唸っている’という形容がピタリ。ハロー明け一発目に抜群のスピード感で向正を進む。柔らかみがあるからこその大きなストライドで直線に向くと首を上手く使って沈み込むような見事なフォーム。1週前にはハードに追われての6F78秒9の快時計マークと本番に向けて目論見通りの過程。マックスになるのが1400という課題はあっても絶好のデキでカバーできるのでは

同じファルコンS組のブレイブスマッシュは木曜追い。1度目のハロー明けに横山典が跨って正面からウッド入り。直前軽目との予測を裏切る長目追いで6F82秒4~5F67秒0。直前とすればオーバーワークが懸念されるほどのメニューなのだから、それだけ充実しているということ。唯、トモがもう少し発達して欲しい段階という点は変わらない。中京でつけられたトウショウDとの差は埋め難いように思える。

完成は後に譲りそうだが、1戦ごとの進境著しいアーバンキッドも侮れぬ。6Fで3馬身追走のスタートからリズム良く進むと力強い捌きでの併入で余力満点。体の厚みが身体能力の証しで馬体重以上にパワフル。現状では息の入る流れが必須ではあるがマーク不可欠

3歳を迎えて安定味抜群の競馬が続くティソーナの追い切りは1度目のハロー明け3頭併せ。最近の藤沢厩舎では珍しくゴールで馬体が合っての5F70秒5。時計は平凡だが強い稽古が不要なほどの張りつめた体でセンス溢れる走り。反面、現状ではパンチ不足の憾みも。

土曜メインはダービーTRのプリンシパルS。大一番に直結するとは言い難いが、将来に繋がる鞍であるのは確か。スプリングSで巻き返したプランスシャルマンが関東の一番手と目されている。立て直した前回同様、直前はしまい重点の1F12秒7で軽快な捌き。相手が復調途上とはいえ、古馬1600万下を圧するような貫禄さえ示したのだから上積みも期待できる。唯、綺麗すぎるフットワークがアピール度の低さにも繋がる。

ここは新興勢力に期待。骨折明けの中山で好時計勝ちだったエフティスパークルは鹿戸流の軽目で5F71秒2の併せ馬。が、バランスの取れた好馬体で自らハミを取って躍進する様が追っての味に直結。大きな変り身こそないが好調キープと2000での開眼があれば即通用。しかし、距離を延ばしてのポテンシャル発揮ということならアシュワガンダ

こちらには、前走からのブリンカーというアイテムも。ホームコースのDで併せ馬消化、5F71秒0も目立たぬが抜群の推進力でセーブしなければどこまでも弾けそうな勢い。ゴールに近づくにつれ、回転の速くなるフットワークで本格化の気配漂う今こそ買い

その直前、土曜10Rは実績でサムソンズPが優る。ポリ3F36秒6は追い風参考といった面もあるが、激しい追い比べを制しての2馬身先着なら上々。高いレベルをキープ。

しかし、態勢を整えたアルターを指名。3頭併せの真ん中で併入だが、最内を除いて切り取ればOP相手に2馬身追走だから中身はこちらが上。しかも、サンドされても怯むことなく安定したフォームでシャープさを失わなかった点で精神面の充実も確か

ライバルは昇級初戦のブライトバローズ。堀厩舎の直前で定番の4Fスタートだったが、手を緩めぬ直線では鞍上のアクションに応えての12秒3と力強い伸び。前2週はオコレマルーナに遅れたが、タイプの違いで速さ負けといった風情。むしろ、張り切れんばかりの体を誇って充実期に突入。追い切りにしても馬場が荒れに荒れた遅い時間帯で1秒以上速いと見做すべきだし、小細工無用の中央場所で更に良さが出る筈。

2週目を迎える新潟メインは日曜・新潟大賞典。ここはマイネルミラノ。ピッチの上がらなかった前走を叩いて気配が本物に。先週のハードな5F65秒9で目が覚めたような体の切れで前捌きも実にパワフル。元々、別定58キロだった福島が布石で自在味が生まれる新潟外回りで昨夏と同じ56キロなら勝機を迎えて当然

土曜の準OPは直線競馬。久々の当条件になるカシノワルツが面白い。直前のポリこそ息を整える程度だったが、1週前には半マイルから12秒6を刻むハイラップでのラストまで一糸乱れぬフォーム。以前の芝1000とは馬が違うのなら今回をきっかけと捉えて良い。

最後にダート1800の特別2鞍から。日曜10Rは2週にわたって6F追い敢行のアートラヴァ―。現状ではバランス的に前が勝ち過ぎているから平坦は大歓迎だし、全体に厚みを増したからこその負荷UP。年明けより粘りが数段増す筈

日曜最終のショウリノウタゲを忘れてはならぬ。昨秋の当コース2着以降は同じ左回りでも距離不適。前走辺りから全体に活気を呈している上に中山での見処のある最後の伸び。復調を実感させたのが中間の猛烈な3頭併せ。今回にしか活路がないのは厩舎も承知で並々ならぬ意欲がダイレクトに伝わってきた。 。 

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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