2週目を迎える福島の土日メインはいずれもハンデ戦。調整の難しい夏場ということも加味すると不確定要素が多くなるのは確か。
七夕賞の注目株はルミナスウォリアーの筈であった。2000という適条件を見出したここ2走で本格化を実感。ジューンS時には昇級初戦にも関わらず当欄で取り上げたほど。が、放牧を経てここに至る過程は直前の1本のみ。併せた相手が3歳ながら稽古では抜群に目立つ馬だから2馬身の遅れは許容範囲。唯、5Fで3馬身のアドバンテージを生かせずに手応えでも劣ったのなら疑いを挟みたくなる。
逆に、丹念に乗り込まれたのがシャイニープリンス。稽古駆けした以前ほど時計は速くないが、しまい重点のパターンに変えて高いレベルに保てるようになった。
つまり、目下のメニューがこの馬に合っているということ。先週の3頭併せでシェイプUP、追い切りのエンジン点火は直線に入ってからというのは目論見通り。しかも、余裕綽々で1F12秒0と鋭く伸びたのだから文句なし。中距離で開眼した春・当コースでのOP特別を信じて良い。
年齢を重ねた馬にはそれなりの実績があるからどうしても斤量面で不利。ならば、底を見せていないバーディーイーグルに望みが出てくる。芝に転じたのが3月・中山の1600万下。今回のサンプルとしてなら4着は物足りぬ。しかし、当時は未体験のゾーン。前走時計から芝の走りを習得したし、一瞬の鋭さを生かせる小回りは合う。直前では重いウッドにも関わらず4Fから一気にペースを上げてその勢いはフィニッシュまで続く。上がり39秒を切って余力があったのだから中身は濃いし身のこなしもシャープ。少し見込まれた54キロでも圏内突入。
土曜の阿武隈Sはコース替りでケイアイチョウサンが有力。夏場の当条件となると前2年ともに2着で今回はより軽くなる56キロ。半マイルからのしまい重点で全身を使って弾むようなフォーム。一時期のスランプは脱した。
しかし、休養してパワーUPを実感できたサクラアンプルールを敢えて上位に。何せ、3週にわたるハードな併せ馬を消化。特に、好調馬相手の前週までの反応は◎だったし、追えば追うだけ伸びた最終追いはダイナミックな動き。体型的にフラットなコースはピタリ、以前より柔らかみが出て洗練された。
見限れないのがノットフォーマル。今回は全て単走だが、丸味帯びた体を駆使したフォームには力強さもある。自らハミを取って推進する様も見られるから精神的に枯れたということもない。前走は虚をつかれてハナを切れなかったことが全て。軽快な逃げ脚はローカルでこそ。
七夕に因んだレース名が続く日曜、まずは12Rを取り上げる。常識的には降級初戦になるレッドマジュール。前走は久々で余裕残しの造りだっただけに、息が保たなかったし平常心を失っていた。直前こそ坂路だったが1週前のウッドでは実に素軽い動き。唯、徐々にペースUPして持ち味を生かすタイプ。落差のある1200で余計な脚を道中で使うと伸びを欠く恐れも。
ここはセルメールでどうか?久々の芝になるが、トモが少々流れるフォームだけにダートでの伸び悩みは仕方ない。加えて、前走は砂を被って集中力を欠く競馬。完調手前という状況が足枷になったわけ。対して、追い切りではパートナーを直線だけで1秒置き去りにする快走。シルエットがシャープになった今回が本来の姿。
10Rの天の川賞は初ダートになるキャプテンペリーを狙う。直前はDコースでの単走で時計は5F72秒を超える時計と平凡。が、元々が先週のラジオNIKKEIに照準を合わせて調整を続けた。従って、脚慣らしがてらの追い切りは織り込み済みだし力強い身のこなし。身体能力に頼った走りという側面があるから芝では決め手不足。平均したラップを刻んだ際に能力が露わになるから路線転換が好結果を呼ぶ。
平場戦はダート1700の2鞍にスポットを当てる。日曜8Rは久々のレザンドゥオール。勿論、1年近いブランクがあるから完璧な仕上げとはとても言えぬ。が、体のバランスは取れているし、脚色劣勢だった最終追いにしても1秒追走してのもの。6Fからの行き出しでラストまで揺るぎないフォームだったから態勢は整った。元々、スピード+持久力といったタイプだから初の1700もOK。500万下なら元値が違う。
相手は3歳。直前はDコースで5F70秒を超える時計だったアオイプリンスは輸送を考慮しての調整で動き、気配ともに瑕疵はない。あとはナンヨーファミユ。体が硬かった冬場からのリセットでリフレッシュ。5F69秒0で一杯だが伸びやかなフォームで同馬として動いた方。ローカルは向く筈。
土曜12Rはスモークフリー。帰厩当時から引き締まった体で皮膚も透けて見えるほど。当然ながら稽古にも反映されて、先行させた僚馬を内から鮮やかに抜き去っての5F67秒5。最終追いで一気に鋭さが増した。大飛びだけに小回りが合うとは言えぬが、持って生まれたダート適性と能力があればアッサリ突破。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。