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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2016年11月10日(木)更新

シュンドルボンの大駆けがあって良いエ女王杯

フルゲートに満たないエリザベス女王杯は4年ぶり。京都の外回りでこそ末脚が冴えそうなミッキークイーンと言いたいところだが、思い通りのローテーションを組めない上に、慣れぬ坂路調整に終始。疑ってかかる要素はある。

となると、マリアライトの連覇が見えてきた。緩めの仕上げだった前哨戦は牡馬に混じってのGⅡ。加えて、前目に有利な流れということにも足を引っ張られての0秒3差であれば及第点。前年度のパターンを踏襲したということ、その時よりタイトルを2つ積み重ねてとなれば首位争いは必至

実際、1週前の併せ馬では追走する形から目論見通りの伸びで1馬身先着。それでスイッチが入ったかのような最終追いがある。勿論、稽古で目立つタイプでないし、輸送を控えているのだから単走でも納得。とはいえ、鞍上がアクションを起こしての直線で外ラチ沿いながら5F70秒を切ったのだ。朧気だったシルエットからの様変わりを確かめられたのだから、定石通りの良化を見込むべき。

唯、それに迫る勢い、というよりピークを迎えたと感じるシュンドルボンに惹かれる。

1度目のハロー明けに向正入りでのしまい重点という、矢野英厩舎の定番。4Fで1秒6あった前2頭との差を覆したから牝馬の直前としてはハード。しかも、ラスト1Fから追い出されると四肢を目一杯伸ばす豪快なアクションを伴ってのラスト12秒3。

府中牝馬S時も鋭かったが、結果的には+14キロと幾分余裕があった。順調さを欠いた春から立ち直るのに時間を要したということ。逆に、今回は叩いての上積みが相当という段階でのGⅠ挑戦。

経験値といった点で大きく劣った昨年でさえ見せ場はあった。外枠で脚をなし崩しに使ったにも関わらず。対して、直線に賭ける形も可能と思わせたのが前走で、思い切った戦法に出れば2200も難なく消化するのではないか。気楽な立場であれば下馬評を覆すことができる筈で、それが叶う程度のGⅠでもある。

府中のメインは土曜・武蔵野S。が、復調したモーニン、当条件で底を見せていない上に斤量利が見込めるゴールドDと関西勢の牙城が高いのであれば当コラムで取り上げることもなかろう。

代わりに福島記念を。秋のローカルで唯一の重賞でハンデ戦だけに妙味十分。まずは人気のゼ―ヴィント。夏・福島のGⅢを制覇と立ち回りの上手さがローカル向き。更に、菊花賞の前哨戦では激しい直線の攻防に加わっての2着。少々長い2200を消化できたことでパワーUPを実感できるのだ。

ここに向けても3頭併せを3本。緩めるどころか調教の質を上げての臨戦で、直前には2頭の間を割っての鋭い伸びを披露。良質な筋肉が躍動する様は圧巻ですらあった。少々見込まれた55キロでも上位争いは約束されている

しかし、ここでは栗田博厩舎の2騎に注目。まずはマイネルハニー。初めて上の世代に混じった前走で2着。そこでも態勢は整っていたが、一段とパワフルになったのがこの中間で5F70秒を超える併せ馬が2本。いずれも外目で数字以上に厳しいメニューを難なくこなしているのが凄い。マルターズAとの兼ね合いが鍵になるが、相手はマイルがベスト。武士沢が距離を意識して弱気になれば一人旅も可能で、その限りにおいては逃げ切りも。

一叩きでの上昇度ということならシャイニープリンス。急仕上げだった上に別定58キロが応えたのが先月の府中。直後から活気を帯びて身のこなしからして別馬。3頭併せの最内からシャープな伸びを見せた先週、追われてからしぶとい脚で併入となった最終追いとパターンを変えての調整に難なく対応できたのは、冬場とは思えぬ皮膚の薄さが示すような新陳代謝の良さ故。春の当コース2000では驚くような強さを発揮した、当時が初距離。この条件では底を見せていないということだし、56.5キロも有利。

土曜の福島11Rは3歳ラテールプロミーズを抜擢。夏の3歳GⅢ以来となるが、格上相手を含め併せ馬4本と仕上げに隙はない。特に、前2頭には追いつけないような差があった道中から内にもぐり込んだ最終追いではゴールに近づくにつれ、アクションが大きくなる見事なフォーム。デビュー当初、少し脚が長く映る全体像だったのは筋肉がつき切っていなかった為。逆に、今は均整が取れている上に加速もスムーズと完成形に近づいたのだ。元々、中央場所ではレース運びに工夫が必要だった馬でローカルに変わるのは大きなプラス。自己条件なら古馬相手(特にメイプルレインボー)でも

府中の特別戦は土日の芝1400戦をピックUP。三鷹特別は叩き2走目のマリオーロ。3ヵ月半ぶりだった国立特別、494キロと太目感こそなかったが、追い切りで遅れたように反応が物足りなかった。対して、今回は3歳とはいえ準OPにランクされる馬を追走した上に、一杯になる外を尻目に余裕の先着。首を上手く使って推進する様は前回時に見られなかった。

グランシルクに逆らう術なしが奥多摩S。逃げ馬のペースで進んだ前走は2着とはいっても脚を余した形。それよりは紛れのない府中で。しかも、痺れるような手応えのまま抜け出した春を見る限り、当距離への適性は高い。ここに向けても順調そのもので、仕上げはウッドでの5F65秒8。切れ味満点の動きに加え、しまい重点でも全体としては好時計と充実を物語る中身

最後に新馬戦。土曜の2鞍は堀厩舎の期待馬がデビュー。サトノヴィクトリー(5R)にも注目が集まるが、併せ馬でそれを難なくあしらったフォギーナイト(6R)は底知れぬ。2歳とは思えぬパワフルな身のこなしで捌きも軽快、追っての味もありそうな安定したフォームと非の打ちどころなし。この世代のダート戦線をリードすることになる素材

日曜は6Rのブランメジェール。ウッドでの併せ馬では直前でも5F71秒3。が、追走しても全く動じることがないし、直線で促されると重心が沈むフォームで追えばいくらでも弾けそうな身のこなし。今週の併せ馬は相手1頭という記事になろうが、実は大きく追走したOPマイネルフロストが追いつこうにも遥かに及ばずの結果、2頭併せとなっただけ。それだけラストの伸びが凄かったといこと。多少立派に映る馬体を気にする必要はない。 。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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