阪神JFはソウルスターリングが人気に応えられるか否か。
何故なら、ブラックオニキスは栗東入りだしローカル専科で、他は1勝馬で抽選対象。能力的にもどうか?
唯、残念ながら最終追いを目の当たりにすることはなかった。輸送を控える2歳牝馬となれば軽目が定番で坂路での馬なり(4F55秒1)。
しかし、それまでの2週はウッド。決して目立つ時計はないものの、気品溢れる馬体にシャープな身のこなし。並大抵のレベルでないのがダイレクトに伝わってくる。
特に、1週前はハロー明けの3頭併せで古馬2頭を追走する形。結果、最も先行した馬には1馬身追いつかなかったが、痺れるような手応えでセーブしつつ。
現時点では悍性がちょっと強いように映る分、気持ちをかき立てる調教を避けたのは正解で、十分なケアーをともなっての仕上げと結論づけるべき。
これまでの2戦でスローしか経験していない点、マイルが初というビハインドはあってもそれを補って余りあるレベル。
土曜は古馬のGⅢ・チャレンジC。水曜の想定段階で出否未定のディサイファが有力処としてマークされるのは当然。58.5キロでも。
唯、そんな状況で坂路オンリーの馬なら敢えて俎上に載せることもあるまい。
文句なしのデキがマイネルハニー。躍動するという形容がピタリの動きを2週にわたって披露。
取り分け、直前は2度目のハロー明けで猛烈なラッシュの最中。1年を通じて最も忙しいウッドの時間帯でもひと際目を惹いたのだ。
4馬身追走の向正から直線では外ラチ沿いというコース取りでも出色の5F66秒6での余力残し。
問題は福島記念よりメンバーが揃った上での55キロ。確かに、柴田大の消極策で持ち味を生かせなかったが、今回で自分の型に嵌めたとしても阪神外回りで、レース傾向としても差し有利。
充実ぶりを加味してもクリアーすべき点は多いように思える。同じ3歳なら関西馬ブラックスピネルの末脚に一日の長があるのでは。
代わって中山は日曜のカペラSがメイン。展開面が結果を左右するから一筋縄では収まらぬ鞍。それでも、コーリンベリーの能力を買うのが妥当か。
中央場所での馴染みが薄いものの、‘ダートのトレンドは交流重賞にあり’という流れはカテゴリーの如何を問わぬ。
まして、小回り1400という、決してベストの条件ではなかったJBCでも3着。また、6月の案外な結果から立て直している段階が前2走でもあった。
現に、体のハリが目立つようになったこの中間、全体像からしてアクセントが利いているのは、良質な筋肉をまとっているが故。
Dコースの4F過ぎに実にスムーズなギアチェンジ、上がりまで13秒2のラップで先行馬を視界に捉えると、直線では力強くてダイナミックなストライド。
どこまで弾けるのかイメージできぬほどのラスト11秒9は圧巻。少なくとも、既成勢力には負けぬ。
その直前の美浦Sは準OPのハンデ戦。2着続きのマローブルーが好調キープ。
3頭併せの最内で1馬身遅れたが、相手の質が高かったし(特にルフォール、今回の休養で成長は明らか。が、土曜の最終Rで優先順位として17番目で出走できるかは微妙)馬なりでのラストが12秒台なら及第点。
唯、前走で仕上がっていた分、上積みはさほどでない。また、勝ち味に遅いことからも人気には逆らってみたい。
ここは、同じ叩き2走目のパリカラノテガミ。5歳も終わりを迎える段階でも確実に地力強化。勿論、稽古は目立たぬタイプだけに時計は平凡だったが、ラストの脚捌きは実に軽快で伸びやかなフォーム。
元々、使える脚が限られていたが、守備範囲外の距離を使うことによって幅を広げてきた経緯があるから、今からが旬。研ぎ澄まされた馬体、気配が大幅にUPしての1800は格好。
日曜の最終Rは平場戦にするには勿体ないメンバー。レベルUPに貢献しているグレイトチャーターには一目置くが、初の1200となるワンスインナムーンがステップUPしそう。
サウスポーのイメージが強いが、それは巡り合わせの問題で当コースでの着外1回はマイルのアネモネS。しかも、直線で行き場を失ったのだから参考外でもあった。
とはいえ、1400での持ち時計が示す通りの能力。加えて、馬場の荒れた時間帯のウッドで追走先着、実に中身の濃い追い切りを消化と好材料が揃った。
2歳戦ではまず日曜・黒松賞。しまい重点ながら2週連続で併せ馬を消化したドゥモワゼルは身のこなしが実にシャープ。ギスギスしたシルエットだった前走を叩いて本来の姿に。
唯、ナリノメジャーの中間を見ると◎はこちらか。1週前には古馬OPに対して先行したとはいえ、‘おいでおいで’の直線。弾むようなフットワークで身体能力の高さを感じさせるには十分であったし、最終追いも数字以上のスピード感。
そもそも、広い府中では制御が利かなくても不思議なかったから、前走は選択ミス。トモが発達してきた印象もあるから今回の中山で直線一気が決まりそう。
あとは平場戦。土曜2Rは初ダートになるレッドエレノア。デビュー前から稽古の動きは目立っていたが、体を持て余し気味。少々捌きが硬いこともあって高速ターフの新潟では出番なし。反面、パワフルなかき込みと大飛びで豪快なアクションが売り。
追い切りは先行したとはいえ、余裕のラストが12秒4という速さ。1馬身負かした馬が同世代ながら格上といった点でも能力に疑いを挟む余地はない。
新馬戦からは日曜5Rのソルオリーヴァ。しまい重点の3頭併せで4F54秒2は特筆すべき時計ではない。しかし、外2頭の出方を窺いながら追い出した結果、ゴールでは測ったような先着。
加えて、首から肩にかけての筋肉が発達して、それが力強いフォームを生む所以。少々太くても直線坂のある中距離に対する適性が高いといった造りも特徴として挙げることができる
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柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。