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競馬コラム

心地好い居酒屋

2019年11月10日(日)更新

心地好い居酒屋:第77話

前回予定(10月24日)していた飲み会をドタキャンしただけに「立冬」のこの日8日は絶対に遅刻は許されず、築地に着いたのは6時前。尤も、美女二人が参加する飲み会は、この日に限らず、だいたいが早々と到着してはいるが…。「頑鉄」に入り、親爺を見つけると「この前はお疲れ」。遠野が声をかけた。「いやいや、連れてってくれて有り難う」と頭を下げた。その後は当たり前のようにカウンターに二人して腰を下ろした。「焙じ茶でいい?」「ああ。今日は珍しく割烹着だな。中(板場)に入ったの」「折角4人が揃うんだもん。たまには拵えようとな」。親爺、何か企んでるようだ。

「大臣が二人も辞め、墓穴を掘った形だから“天網恢々疎にして洩らさず”とはチョッピリ違うが、さすがの萩生田も加計学園みたいに『オシリを切って』の強行はできなかったね」。親爺が切り出した。、組閣直後の9月13日の飲み会で遠野が言った「萩生田の文科相はヤバイぞ。まずは英語民間試験実施のために送り込まれた訳だろ」との危惧を受けての話題だ。

「ま、身の丈うんぬん発言は緩みと驕りの極みだな。さすがのマスコミも食いつき、まともな報道もしていたしな。国民からみたら萩生田の自作自演のおかげで“ケガの功名”に与(あずか)ったってとこか」と言い放ち、2杯目のお茶を飲み、茶請けのキンピラを口に放り込むと、「席に行こう」と立ち上がった。

自席に着き壁に腰を持たせ掛けた途端、玄関が開き美女二人が入ってきた。阿部秘書は薄いコートを梶谷はカーディガンを手に掛けている。早い!僥倖である。

席の手前まできたところで遠野は正座。「久し振り」と言い、続けて「先日はドタキャンで申し訳なかった」。真面目に頭を下げた。二人は驚いたように顔と手を振り「とんでもないです。遠野さんこそ親しい方を亡くされ、お寂しい限りで。お気落としないようお願いします」「そう言ってくれると嬉しいね。有り難う。さ、上がって。親爺が腕を揮うか揮ったらしく、今日の酒は旨くなりそうだよ」。喜色満面とはこのことか。

全員が席に着くと「ちゃんと残しておきました」と梶谷が報告する「得月」にグラス、それにお通しが届いた。もちろん親爺も。井尻が遅くなるのはいつものことだし、4人揃えば文句なし。皆んなのグラスが満たされたところで梶谷の「献杯!お疲れさま」で宴会が始まったのだが、親爺「今日の酒肴は俺の趣向で」といきなり駄洒落を。あえず小鉢を取った。白いポテトの中に緑の薄切り胡瓜に細切れの赤いハム。おまけに黄色のコーンまで加えられている。色合いにも気を遣ったようだ。「どうだい?ポテサラ気にいった?」「普通に旨いよ」。遠野が答えると美女二人も怪訝そうに頷く。

親爺ニコニコして席を立つと板場に行き、仲居と一緒に何か持ってきた。「刺し身の盛りは今、吉野がやってるから」と言いながらテーブルに小さく切った筋子、焼きタラコに立派なズワイ蟹を並べた。妙な組み合わせだが「どうぞ」。芝居がかって手を差し出した。

「なるほど。ミソはポテサラと…う~んイクラじゃなく筋子という所だな。親爺!デザートにメロンを用意してるだろ!」。遠野がズバッと指摘した。「ヒェッ~」。親爺、変な声を出し「よくぞ」と。

冷酒を飲み、蟹に手を伸ばしていた美女二人は訳が分からず期せずして、無言で遠野を見詰めた。<どういうこと?>てな顔だ。「いえね。君達が来る前にアホ内閣で辞職した二大臣の話になって…。ホラ、ウグイス嬢への過剰払いで辞めた河井って奴は、ほかにも有権者にジャガイモやとうもろこしを贈っていたらしいし、目の前にある蟹や筋子なんかは菅原お得意の贈答品。了解?」「おじさんの趣向ねぇ」。梶谷が首を傾げ、続けて「じゃあ蟹の後は吉野さんの酒肴で真アジをいただきます」と。

微笑みながらも冷酒を飲んでいた阿部秘書が「遠野さんが懸念されていたほどですから<英語民間試験はおかしい>という気持ちはあったのですが、まさか、こんなにもデタラメだったとは。国語の記述も採点は民間に丸投げなんでしょ。絶対ダメです」と憤慨すれば、梶谷は「ベネッセの進研ゼミで勉強していた友達は何人かいますが、裏でこんなことに絡んでいたなんて」。二人とも怒っている。

「2013年に教育再生実行会議で提案されたのが民間参加の発端だし、当時の文科大臣が塾業界とベッタリで文教族のドン・下村博文。もちろんアベとはいい仲だしな。ま、この手の話はキリがない。“朝までテレビ”になっちゃうからやめよう」と遠野。「いえいえ、加計問題の疑惑も払拭されてないし、こんなゴリ押しが通るようだと、それこそ遠野さんが仰ってた国家試験の民間化だって夢物語じゃなくなるかも。心配です」。阿部秘書がここまでムキになるのも珍しい。

「そうだね。今のマスコミはよほどのことがない限り権力には無力だもんな。いや、むしろ応援団が多いだろ。現に……」と言って口をモゴモゴ。残っていた冷酒を呷り、筋子に箸を付けた。すると梶谷が酌をし「はい。現に…の続きはどうなんですか」と。

「現に…か」遠野は苦笑いしながら続けた。「たまたま観てたある局のワイドショーが酷くて。元か現役か知らんが大手のマスコミ『指事通信』の『川後次郎』(いずれも仮名)ってのが“政治ジャーナリスト”の肩書きで出演。外国語試験と、その延期について能書きコイていたのだが、こいつが『官邸は延期を判断指示してない』『総理も中身を聞かされていなかった』など官邸擁護に終始しててな。こういう連中がテレビ局で重宝されている限り、英語も国語も民間との癒着も国民には真実は隠され続けるんじゃない」。そこまで喋るとふぅ~と溜め息をつき、梶谷が満たしてくれた酒を飲み干した。

「とのさんの感覚は昔からジャーナリストといえば“反権力”が旗印。それが今や、“ジャーナリスト”が権力の犬だもんな。“右手にジャーナル  左手にはマガジン”世代が懐かしいよ」と親爺。「そういえば、そのフレーズ聞いたことがある。遠野さんはどんなだったんですか」。今日の阿部秘書は好奇心を口にする。嫌ではないが…

「俺?うん“右手にペン 左手には…競馬新聞」と。途端に阿部秘書はウフッと微笑み、梶谷は「アハッ」と笑い「明後日のGⅠ買うんですか」「いや。NHKの放送はなしだからお嬢達の参加は無用。天皇皇后・両陛下のパレードをご覧になって下さい」




源田威一郎

GENDA ICHIRO

大学卒業後、専門紙、国会議員秘書を経て夕刊紙に勤務。競馬、麻雀等、ギャンブル面や娯楽部門を担当し、後にそれら担当部門の編集局長を務める。
斬新な取材方法、革新的な紙面造りの陣頭指揮をとり、競馬・娯楽ファン、関係マスコミに多大な影響を与えた。
競馬JAPANの主宰・清水成駿とは35年来の付き合い、馬主、調教師をはじめ懇意にする関係者も数多い。一線を退いた現在も、彼の豊富な人脈、鋭い見識を頼り、アドバイスを求める関係者は後を絶たない。

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