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競馬コラム

心地好い居酒屋

2021年06月23日(水)更新

心地好い居酒屋:第106話

オリパラ開催のために“緊急事態宣言”を解除したものの、“蔓延防止等重点措置”を決めたカス内閣―。


去年の今頃は「頑鉄」の親爺も「持続化給付金ってやつは俺達を助ける為じゃなく『電通』や『パナソ』を儲けさせる制度だったとはなぁ。同じ平蔵でも竹中と長谷川では大違い。黒川問題にケリがついたと思ったら今度は前代未聞の“中抜き”が暴かれたし、ヤクザの口入れ屋の方が良心的だよ。100万200万で恩着せがましく大口をたたく“アベゾー”を見てると胸糞が悪くなる。ケッてなもんだ」。


さらには「記者会見では“宦官”みたいな奴を侍らせて中身も心もない言葉ばかりを連ねて…。こんなんじゃ“コロナ”より先に国が滅んじゃうよ。史上最悪の内閣で最低の総理大臣だな」。


怒りまくっていたのだが、上には上が居ると言うべきか、それとも下には下が居ると言うべきなのだろうか。引き継いだ“ガースー”は“アベゾー”も真っ青な政策を続行中だ。


遠野が月イチの病院通いで東京に出掛けたのは、たまたま解除明けの21日。もちろん、その足で「頑鉄」に向かった。夏至とあって5時前は真っ昼間だ。縁台で煙草を楽しんでいた親爺は遠野を見るなり隣を指さし腰を下ろさせた後、挨拶もそこそこにぼやいた。


「ほれ、今年初っぱなに会ったとき、とのさんが寛政の改革時の狂歌をもじって<ガースーの腹黒・無能に耐えかねて もともとパーのアベゾー懐かし>と呟き、苦笑いしてたけど、正解だな。かといって“アベゾー”の再登板を願ってる訳じゃないぞ」


「フッ。良く覚えてるな。そんなの分かってるさ。俺達がグジャグジャ言っても仕方ないけど、与野党問わず政治家の劣化はひどい。泣きたくなるよ」「そうだな。居酒屋の親爺が少しは期待していた<党首討論>も聞くに堪えなかったもんな。“ガースー”の語彙不足は織り込み済みとして枝野なんて何様の積もりだ」。今度はぼやきではなく怒っている。


「だから前にも言ったじゃん。『夜郎自大の三百代言』は巧言令色鮮仁(すくなしじん)てな。尤も『無知蒙昧多邪(多しよこしま)』のガンギイよりはましだけど…」。さり気なく言い持参の水を飲んだ。つられて親爺が麦茶を飲み、新しい煙草に火を点け一服した後「ガンギイ?」。チョイ遅れて反応した。


「いつだったか。たまたま『神奈川新聞』を読んでたら『菅の官邸』てコラムがあってな。なんでも菅が衆議院初出馬の準備中に何かの会に来賓として参加し挨拶したらしいんだが、その時司会者から紹介された名前が『カンギイさん』。つまり読めなかったわけだ」


「普通は読めんわな。で、どうした?」「細かい言い回しは覚えてないが、秘書か運転手の所に戻ってくるなり不満気に『いつか絶対ちゃんと読ませてやる』と息巻いたとか」


「な~るほど。そりゃあ悔しかったろう。まぁそれをバネにしてのし上がったんだろうから、それはそれで大したもんだが、考えてみりゃ秋田に居る頃から“ギイちゃん”とか“カンギイ”なんてからかわれてたんじゃねぇの。小さい時の嫌な経験てのは良く覚えてるもんだよ」「へぇ~。親爺は苛められてたんだ」。遠野が茶化すと「そんなこたぁどっちでもいい。それより今朝も築地小学校の前で思ったんだが、いたいけない学童全員がマスクをして歩いている姿を菅に見せてやりたいと」。チョッピリ涙声になっている。


「そうだよな。今や園児も全員マスクだぜ。哀れでなぁ。何が何でもオリパラ開催に突き進んでいながら“子供は国の宝”なんてどの口から出てくるんだ」。遠野の怒りも本物だ。


「森の発言は女性軽視だけが取りざたされたが、あの時とのさんが『コロナがどんな形でもオリパラは開催する発言を問題視しないメディアはおかしい』と憤慨してたが、まさにその通りになったなぁ。開催か中止か、が無観客か有観客になり今は上限が1万か2万…。いつの間にか有観客での開催が前提だもんな。感染者は絶対増える」。


「菅はワクチンワクチンで大騒ぎ。自治体や企業に強権発動“俺が接種を早めた”と自慢気だが、何を今さらだ。確かにワクチンが頼みの綱だが、去年はワクチンなんて棚上げ、GoToキャンペーンに血道を上げてたのはどこのどいつだ、と言いたいよ。まずはこれまでの失政を詫びるのが先だろ。な、親爺」。ポンと肩を叩き、<話は打ち切り>とばかりに立ち上がろうした。


今日の親爺はしぶとい。おもむろにピースを一本取り出すと、ポンポンと親指の爪で叩きながら「あのよ~。有観客ってことは全国から東京を中心に3県に人が来るってことだろ。札幌じゃあマラソンがあるし、言い換えれば去年のGoToトラベルみたいなもんで、旅行会社と旅館・ホテル救済の為じゃないのか」と言い、ふぅ~と煙を吹き上げた。


善人、善良な親爺にここまで深読みさせるとは…。罪作りなカンギイではある。


「“佐渡おけさ”は 佐渡へ佐渡へと草木もなびく だが、もはや 江戸へ江戸へとメディアもなびく で、連日、代表内定やら記録のニュースで盛り上げているんだから情けなくもなるよ」と言い、今度こそと遠野が立ち上がった時、「お待たせしました」の声と「いよいよ今週で春競馬も終わり。去年の『宝塚記念』は遠野さんの『道悪ならバゴ産駒のクロノジェネシスが軸。相手はブラストワンピースに配当次第で豊ちゃんのキセキに…』を参考にさせて頂き馬連3410円をゲットしましたが、今年、現時点での狙いを教えて下さい」。親爺同様、息つく間もなく問いかけてきた。「よく覚えてんなぁ」。予習、復習をしてきたんだろうが、ますます礼儀正しさを身につけてきた。


「もちろん天気と馬場が鍵なのは言わずもがなで、釈迦に説法だが」と断わり横山の新聞を取り上げ「クロノは北村からルメールの乗り替わりがなぁ。あ、これは俺の個人的な感情と感覚。ルメールの取捨は横ちゃんの研究には叶わないからお任せで、俺はやはりレイパパレからで相手はアリストテレス、カレン、シロニイにユニコーンってとこかな。ところで、今年は札幌に帰るの?爺ちゃんは82歳だったっけ。もう接種も済んだだろうし、『札幌記念』の頃にはご両親も君達もワクチン打ってるんじゃない?」


聞いた横山は「あ、祖父の歳を覚えてくれていて、心配もしていただけるなんて」と恐縮の態で続けた。「でも、オリンピックの後で世の中どうなることやら。全く予定が立ちません。今は予想と馬券的中に専念しています」


「そうだよな。横ちゃん今週も頼むよ」。親爺は時短の商売より馬券が大事みたい。


源田威一郎

GENDA ICHIRO

大学卒業後、専門紙、国会議員秘書を経て夕刊紙に勤務。競馬、麻雀等、ギャンブル面や娯楽部門を担当し、後にそれら担当部門の編集局長を務める。
斬新な取材方法、革新的な紙面造りの陣頭指揮をとり、競馬・娯楽ファン、関係マスコミに多大な影響を与えた。
競馬JAPANの主宰・清水成駿とは35年来の付き合い、馬主、調教師をはじめ懇意にする関係者も数多い。一線を退いた現在も、彼の豊富な人脈、鋭い見識を頼り、アドバイスを求める関係者は後を絶たない。

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