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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2013年12月13日(金)更新

今週の馬場傾向【芝の時計は掛かり気味、差し脚生きる】


【中山芝】


■絶好芝だが軟らかく力がいる


 開幕3週目でAコース3週目。

 芝は夏にしか成長しないので、芝のデキの良しあし(丈夫さ)は夏にどう育ったかで99%決まる。次に、秋に開催が始まってからどれほど雨で競馬したかで、芝の傷み方がわかる。

 今年の中山の芝のデキはまれに見るくらいいい。また今使っているAコースは5回開催ではじめて使われたコースであり、5回開催が始まって以来、まだ開催が雨に当たったことがない。したがって芝はほとんど傷んでいないはず。

 JRA・HPの「馬場情報」には「3コーナーの内側に若干の傷みが出てきましたが、全体的には良好な状態です」と書いてある。3コーナーは内回りと外回りが合流するところなのでどうしても傷む。問題はどれくらい傷んだかだが、もしレースに影響するほど芝が傷んでいるとしたら「3~4コーナーの内側が傷んだ」と書かれるはず。そう書いてないのは問題になるほどの傷みでないからだ。

 開幕週に引き続いて、先週も1秒前後遅い芝だった。今の芝の状態と照らし合わせて、従来ならあり得ない遅さだ。4回中山終了後にバーチドレンを入れて馬場をほぐした効果がはっきり出ている。

 先週は、土曜日に前傾ラップ(Hペース)のレースが多く、日曜日は後傾ラップ(Sペース)のレースが続いた。その結果土曜日はほとんどのレースが前崩れになり、日曜日には先行馬が盛り返した。土日でペースがはっきり変わったのに時計的に大きく変わってないのは今の時計の遅さが馬場自体の遅さだからだ。また日曜日にスローペースが多かった割に逃げ切りがなかったことも今の芝の軟らかさの証明になっている。

 今週は火曜日に12.5ミリ雨が降り、木曜日に散水している。路盤は先週にもまして軟らかいはず。

 芝が軟らかいため、道中のスタミナの消耗度が高くなり、同じペースならやや前の馬が垂れやすい。ちょっと速くなれば先行崩れもありうる状況だし、展開的な逃げ切りはなかなか望めない。まず確かなのは内有利であること。脚質的には好位馬のちょい差しをモノサシの中心に置いて、ペースがどうなるかで前または後ろのグループを見ていくことになる。




【中山ダート】


■スタンダートなダートで能力重視


 中山は火曜日に12.5ミリ雨が降った。また水曜日に凍結防止剤をまいた。ここ数週気温がぐっと低くなっている上に、凍結防止剤をまいた相乗効果で砂がなかなか乾きづらくなっている。散水すると凍結防止剤が流れてしまうので開催日当日の埃除けの散水が控えめになるが、凍結防止剤が入っているとそもそも埃が立ちづらい。

 先々週、先週ともタイム差なしの馬場だった。今週は凍結防止剤をまいた効果をどれくらい見込むかだが、多少グリップがよくなるはずなので、0.5秒くらい速くなるかもしれない。いずれにせよダートのスタンダート的な速さで能力がそのまま反映されると考えていいはず。逃げ馬に注意。先行・差し互角。内外互角。人気馬軽視不可。




【阪神芝】


■内外の状態に差はなく、差し馬が持ち味を生かせる


 開幕3週目でAコース3週目。

 阪神は4回阪神でAコースを5日使い、Bコースを4日使った。そのうちAコースを使っていた9月15日に台風の直撃を受けている。競馬終了後に土砂降りになったのは不幸中の幸いだったが、それにしても競馬最中にもかなり降っていた。実は阪神は1週目も雨の競馬だった。それで直線の芝が幅広く傷んでしまい、Bコースになってからも上がりがかかる状態が続いていた。

 5回阪神になってから雨は降ってない。だからそれ以降の傷みはほとんどないが、4回阪神でAコースが傷んだのを引きずっている状況。直線は内外差がないか、むしろやや外のほうがいい。阪神のAコースがこういう状態になることはめったにない。

 今週は月曜日に1ミリ、火曜日に21.5ミリ雨が降った。阪神の芝はエクイターフではなく従来型の芝なので、その分中山ほどガンガン軟らかくできないが、それにしても昨年と比べればだいぶ軟らかくなっていそう。先週はタイム差なし~0.5秒速い程度だったが、今週は中間の降水の分も見込んでもう少し時計がかかる馬場になりそう。

 先行馬が楽に残ってしまうような馬場ではなく、差し馬が持ち味を生かせる馬場になっている。内外互角~やや外有利。差し馬有利。内回りは逃げ馬に注意。




【阪神ダート】


■ほぼスタンダードな馬場もやや差し馬有利


 阪神は月曜日に1ミリ、火曜日に21.5ミリ雨が降った。また木曜日に凍結防止剤をまいた。ここ数週気温がぐっと低くなっている上に、凍結防止剤をまいた相乗効果で砂がなかなか乾きづらくなっている。散水すると凍結防止剤が流れてしまうので開催日当日の埃除けの散水が控えめになるが、凍結防止剤が入っているとそもそも埃が立ちづらい。

 先々週、先週ともタイム差なしの馬場だった。今週は凍結防止剤をまいた効果をどれくらい見込むかだが、多少グリップがよくなるはずなので、0.5秒~1秒くらい速くなるかもしれない。ダートのスタンダート的な速さで能力がそのまま反映されると考えていいが、中間の降水の分やや差し馬有利。上位人気馬に注意。




【中京芝】


■芝が傷みはじめ、やや差し有利


 Aコースの3週目。

 中京の芝はほぼエクイターフであり、中山と並んで芝を軟らかく管理している競馬場だが、開催時期の関係で中山と比べるとやや芝の根付きが甘い。そのため芝が中山ほど丈夫でない。

 先々週、先週とも中京はタイム差なしだった。今週は火曜日に15.5ミリ雨が降っている。その影響はあまりないだろうが、芝にやや傷みが出ているため、先週よりやや遅くなり、0.5秒遅い前後の馬場と予想する。

 芝の状態がいいのでスローになればそれなりに速い上りは出るが、芝が軟らかくなったことで道中のスタミナの消耗度が高くなり、同じペースならやや前の馬が垂れやすくなる(レースの上がりが遅くなる)。内がやや傷んでいるため差し有利。




【中京ダート】


■スタンダードなダートで先行差し互角


 中京は7月の開催が極端に速かった。その後クッション砂の洗浄を行ったとはJRA・GPの「馬場情報」欄に書いてないが、砂は足しているはず。先週「ある程度また遅くなっているだろう。

 中京はまだ凍結防止剤を散布していない。また中間の降水も少ない。先週同様に0.5秒遅い前後だろう。先行差し互角。内外互角。



プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰める業界屈指の取材力を持ち、 JRA馬場造園課など独自のコネクションも数多く築いている。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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