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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2017年07月29日(土)更新

どこまで柔らかい馬場かある種、注目?【今週の馬場傾向予測】

今週末、天気が怪しいのは新潟。曇りがちで小雨がパラつく可能性もある。異常気象が当たり前になっている昨今、短時間の集中豪雨もないとは言いきれない。一方で札幌と小倉はほぼ晴れで競馬できそう。


【新潟芝】


■軟らかめのセッティングだが、それでも前が止まらない、内有利、やや先行有利


《Aコース1週目》

北海道を除く日本の競馬場の芝コースはいずれも野芝が主要芝種になっているが、その中でも新潟は1年を通じてイタリアンライグラスのオーバーシードをしていない唯一の芝コースである。


野芝100%で育てた野芝は、洋芝と共存する期間がないため地下茎の張りが強く、また夏の新潟は野芝の最盛期に行われる。そのためきわめて丈夫で、レースで傷んでもウィークディの間にある程度再生する。また芝コースに内外があることもあって、新潟の芝コースはそう簡単に傷んだりしない。

同時に今の新潟は競走馬の安全性への配慮により、農業機械を使って路盤を積極的に軟らかくしている。それにより以前の新潟と比べてクッション性がだいぶよくなっている。


また新潟は7月に集中豪雨に近い雨がたびたび降っている。今週火曜日(26日)以降は降っていないが、週末は曇りで小雨もパラつくと考えられる。他場とは比べ物にならないくらい野芝が張り詰めているので、多少の降水なら今の新潟の芝はびくともしないハズだが、芝が軟らかくなる条件が揃っていることも確か。土日とも0.3秒前後速い時計を想定する。内有利、やや先行有利。



【新潟ダート】


■含水の割には時計がかかり気味のダート。やや外有利、先行差し互角


今週は日~火曜にかけて連日50ミリ超の大雨が降り、その後3日間晴れた。週末は曇りで、小雨がパラつくこともありそう。やや含水ある稍重~良を想定する。

春新潟は強風の日が多く、同時に砂も厚めだった(あるいは粗めだった)ようで、ダートの時計はかかり気味だった。今週の新潟はそれほど強い風は吹きそうもないが、時計がかかり気味な傾向は多少持続すると考えて0.5秒前後遅い時計を想定する。やや外有利、先行差し互角。



【小倉芝】


■開幕週でも入念に軟らかくした芝でそんなに速くない。やや先行有利。やや内有利


《Aコース1週目》

夏の小倉の芝も新潟同様に野芝100%だが、新潟と違って小倉は秋~冬にかけてオーバーシードするので、夏に野芝100%で競馬するためには大規模な張り替えやイタリアンライグラスを除去する作業が必要になる。

そこで、同じ野芝100%でも、夏の小倉の野芝100%は夏の新潟の野芝100%ほどは丈夫でない、と考えていたこともあったが、実際には夏の小倉の芝も相当丈夫な様子である。


考えてみると4カ月のインターバルの間に行われる張り替え作業で相当部分が野芝に置き換わっているのだろうし、温暖化した現在なら4カ月という期間は野芝が定着する上で十分な長さなのかもしれない。

ただし新潟同様に小倉も農業機械を積極的に使って芝を軟らかくしている。また新潟と違って小倉はゴール前直線が短く、しかも直線に坂がない。そのためテンが速いことが前提で、逆に前崩れが起こりやすいことも承知しておかねばならない。


今年の小倉はここ10日間くらいほとんど雨が降ってない。また土日もほぼ晴れが見込める。これは一昨年・昨年の夏の開幕週と同様だが、インターバルの間に入念に下を軟らかくしているらしく、過去2年はそんなに速くなかった。今年も0.5秒前後速い時計を想定する。やや先行有利。やや内有利。




【小倉ダート】


■乾き気味で力の要るダート。内外互角、やや先行有利


一昨年の夏の小倉ダートはやたら速かったが、昨年の夏の小倉ダートはそれほど速くなかった。ローカルのダートコースは狭いので、砂入れのさじ加減次第で1秒くらいの時計は簡単に上下してしまうようだ。而して今年はどうなるか、というのはやっぱり1週やってみないとわからない。

ここまで10日以上も雨が降ってない。週末もほぼ晴れが見込める。これはほぼ昨年の開幕週同様の経過なので、とりあえず昨年同様にタイム差なし前後の時計を想定する。やや先行有利、やや外有利。



【札幌芝】


■かっちりした開幕週の洋芝。先行有利、やや内有利


《Bコース2週目。夏の函館は今週まで》

先週は11日間雨が降ってない状態で週末を迎えた。土曜の時点ではある程度芝は乾き気味で、0.5秒前後速かった。

日曜は朝から小雨模様だったが、12~3時という時間帯にまとまって雨が降り、11R以降は雨が止んでいた。そのため日曜の1~6Rは良でタイム差なし、9Rからいきなり重になって、降りが激しかった9Rは3秒前後遅く、雨が止んで以降の11・12Rは1秒前後遅かったと評価する。先週の芝はもともと乾き気味で排水もよかったので、日曜の雨によるダメ―ジは、28ミリという降水量にしては大きくなかったはず。

土曜の早朝に80ミリ程度の雨が降った。雨自体はこれで打ち止めになりそうだが、数時間で80ミリという雨量は豪雨に近い。この先2日間かけて水はけしていく過程の馬場になる。土曜は1日中重で2~3秒遅い時計を想定する。日曜は雨は降らないものと想定するが、稍重、はたまた良まで回復したとしても緩んだ状態はある程度持続するはずで、1~2秒遅い時計になると想定する。

今週も芝のいいところを求めて馬群が外に展開すること必至だが、内側の芝は見た目ほど傷んでいるわけではなく、むしろ外に振られない分、内を通れる馬が有利になりそう。切れ味や位置取りよりスタミナ優先。やや内有利、先行差し互角。
《Aコース1週目》

札幌の芝はここ10年以上不良になったことはなく、昨年8月20日に重になったのも8年ぶりだった。それくらい夏の札幌は雨に当たりづらい。もっともここ最近は異常気象が当たり前だから、今年もそうなるとは限らないが…。

最近は洋芝の競馬場でも積極的に農業機械を使っているが、洋芝の競馬場における新兵器の導入効果は野芝の場合ほど劇的ではない。要するに芝の軟らかさは導入以前とあまり変わっていない。最近は野芝コースのほうが洋芝のコースの軟らかさに近づいていることもあり、"洋芝血統"みたいな判断基準が依然として有効かどうかは疑問だ。

ここまでほぼ1週間雨がなく、週末も晴れが見込める。開幕週の洋芝はむしろがっちりしていて、良ならそれなりに速い。0.7秒前後速い時計を想定する。札幌はゴール前直線が短いだけでなく最初の直線も短いので極端なハイペースになりづらい。したがって本質的に逃げ・先行有利。出走頭数が少ないため外枠でもそれほどロスがなさそうに見えるが、やはり先行しやすい内有利といえる。




【札幌ダート】


■多少力の要る乾き気味なダート。先行有利、内有利


札幌は開催期間が夏の1カ月半に限定されていて、しかも期間中に雨が少ない、そのため札幌ダートの時計はかなり安定していて大幅な変動はない。

今年はここまでほぼ1週間雨がなく、土日とも晴れが見込める。良でタイム差なし前後の時計を想定する。先行有利、内有利。



プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。


城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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