【中山芝】
■Cコース替わりで芝は一新するが、差しも効く
今週からCコース替わりで開幕1週目。
昨年秋の競馬で中山が雨に当たったのは9月15日だけで、このときはかなりの雨量だったが、Bコースの開催だった。Cコースはその翌週から2週5日間競馬に使われたが、雨には当たっていない。その後Aコースに移ったが、Aコースの芝の状態がずっとよかったのでCコースはほとんど馬が走っていない。今期の中山は非常に芝の生育がよかったので、まだ5日間しか使われていないCコースの芝の状態がいいことはほぼ間違いない。
JRA・HPの「馬場情報」の記述は「前開催(Aコース使用)からのコース変更に伴い内側の傷んだ箇所がカバーされ、全体的に良好な状態です」だった。これを額面通りに受け取っていいということだ。
ただし芝がよくなったから速くなる、というわけではない。今期の中山は路盤を意識的に軟らかく管理しているため、夏前と比べて時計が1秒前後遅くなっている。たとえばAコース初披露の4回中山でさえ開幕週から1秒前後遅かった。1回中山はそれよりはもう少し速くなると考えて、タイム差なし~0.5秒前後遅い芝と予想する。
コース替わりで内の芝がよくなるため先行有利でもあるが、少し外に持ち出せばまっさらに近い外の芝に届く。したがって内外互角。一瞬の脚がある馬が強く、極端な脚質の馬に対して普段以上のマークが必要。
【中山ダート】
■凍結防止剤入りだが乾燥したダート
中山は有馬記念の前の週日に雨が降って以来、ほとんど雨が降っていない。4日に凍結防止剤をまいたことで見かけは多少水気を含んでいるように見えるが、それはあくまでも見かけ上で、本質的には乾燥したダートである。この時期は水をまくと凍結するリスクがあるので、水がまけない。凍結防止剤をまくのは、凍結防止以外にも、乾燥しがちな冬場のダートの埃よけの意味もある。
力の要るダートと考えていい。0.5秒くらい遅くなると考える。速い脚が使えない分先行有利。内有利。
【京都芝】
■Aコース戻しの開幕週でややグリーンベルト傾向
Aコースに戻して開幕1週目。
京都のAコースは4回京都で8日間みっちり使われた。京都の芝はエクイターフでなく従来型の芝なので、8日間使われればそれなりに傷む。その後Bコース4日間、Cコースを4日間使ってAコースに戻したが、まっさらの芝に戻ったわけではない。
ただし4回京都終了後一足先にイタリアンライグラスの種をまいて養生しているはずなので、そのぶん内のほうがイタリアンライグラスの伸びがよいはず。またBコースはともかく、Cコースはかなり傷んでいた感じなので、さらにその外に持ち出さないと芝がよくならない。その分も含めて多少グリーンベルト傾向があると考えていい。
約1週間雨が降ってない。その分29日、31日、2日に散水している。これは保温シートをかけて育てている洋芝に水やりする必要があるからだが、路盤を軟らかく維持する効果もあるはず。
4回京都のAコース最終日は土曜日に雨が降って0.5秒程度遅くなったが、それまではタイム差なし~0.5秒速い程度で推移していた。今週はその状態に戻ると考える。内外の芝の状態にやや差があるため、先行有利、内有利。ただし最内は詰まるので1頭分外を回せる馬がいちばん有利。芝が軟らかめで従来の京都と比べるとスタミナを要する。中段馬のチョイ差しを警戒すべき状況。
【京都ダート】
■乾いたダートでパワー型の先行馬が有利
JRA・HPの「馬場情報」の記述を見る限り今週の京都は凍結防止剤はまいていない。そういえば京都の担当者が昨年の夏「凍結防止剤はできるだけ使わない方針」だと言っていた。
凍結防止剤が入ってない冬の乾いたダート。昨年秋の京都は毎週それなりに雨が降って、ずっと含水量の多い速いダートでばかり競馬していた。パワーのあるダート馬の出番がやっとやってきた。0.5秒遅い~1秒遅い程度か。
逃げ・先行有利。内枠有利。パワー型が有利。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰める業界屈指の取材力を持ち、 JRA馬場造園課など独自のコネクションも数多く築いている。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。