【中山芝】
■5年前の水準なら全然傷んでないに等しいが
Cコースの4週目。1回中山の最終週。
先週の中山芝は3連続開催の翌週だったが、降雨もなく、時計は横ばいか、むしろ速くなった。0.8秒前後遅い馬場だった。
先週は騎手のブログ、およびJRA・HPの「馬場情報欄」のコメントなどを見て、そろそろ内が傷んできたか、と思って外枠有利と書いた。ありがたいことに結果的には外の馬番が健闘してくれて、信じてくれた皆さんを裏切らずに済んだが、現実的にはかなり見誤っていた感じがする。
今週のJRA・HPの「馬場情報欄」のコメントは「3~4コーナー及び正面直線の内側に傷みがあります」だが、先週のレースを見る限り、先週もコーナーで内ぴたりを回っている馬がほとんどだし、直線も内ラチを避けていないし、直線の追い比べで内の伸びが見劣る感じもない。
これが5年前なら、この芝は全く傷んでないと書いたとしても不思議ではないところ、今の水準でいうなら、これはやはり傷んでいるということになるのかも。たしかに内の洋芝は飛んでいるので、直線は内側が傷んだ、と書いても間違っていないが、その下の野芝はまだ残っている様子だし、内が傷んで外有利の芝、とまではいえず、馬券の参考として評価するなら、内外互角の芝、と見るのが正しいと思う。ただしCコースは少し外に持ち出せばまっさらに近い外の芝に届くため、一瞬の脚がある馬が強く、極端な脚質の馬に対して普段以上のマークが必要ということは忘れずに。
今週も雨はほとんど降っていない。ペースが速くなると思えば内外互角で好位差しが有利。ペースが遅くなりそうなら先行馬と外の馬を重く見る必要がある。
【中山ダート】
■ごく普通の乾いて力の要る馬場
先週は冬のダートとしてはカラカラの部類で時計は0.3秒程度遅い感じだった。今週もほとんど雨が降ってないから、時計は同程度か、もう少し遅くなると予想される。
その前週の3連続開催は相当程度外の馬ばかり来ていた。冬でダートのレース数が多かったせいで、それが目立ったが、念入りな砂厚調整の結果、外枠有利の傾向は先週にはすっかり消えていた。
今週も週日に3日間かけて砂厚調整しているから、先週同様にやや内有利の、普通の傾向と考えていいはず。先行差し互角。パワー型、大型馬が有利。
【京都芝】
■乾いた芝でやや内有利、先行有利
Aコース4週目で、1回京都最終週。
京都の芝はB、Cコースのときにかなり雨で傷んだが、Aコースは1回目も2回目もほとんど雨に降られていない。そのアドバンテージがまだ残っているのか、先週に至っても内有利の傾向が継続していた。
今週も週日にほとんど雨が降ってないので、その傾向がいきなり変わるとは想像しづらい。今週もやや内有利。先行有利。
先週の時計は0.5秒くらい遅かったが、芝も乾いているし、すでに時計的には底付きしている感じなので、今週も同程度のタイムが期待できる。冬の芝らしく薄く広く傷んでいるものの、かなり状態を保っていて、これも今どきの芝としてはかなりよい状態といえるのではないか。
【京都ダート】
■乾いた力の要るダート
先週の京都ダートはスローのレースが比較的多かった。先々週にはハイペースのレースが多かったのだが、そういうのは交互にくるようだ。そのため先週は逃げ・先行有利だったし、比較的内有利だった。
順番でいうなら今週はハイペースが多くなり、外枠有利になりそうなものだが、今週は週日に3日かけて砂厚調整している。ごく普通にやや内有利だろう。
今週も週日に雨がほとんど降っていない。先週同様0.5秒遅い~タイム差なし程度の範囲だろう。
【中京芝】
■馬場が落ち着いてやや内有利、先行有利
今期の初Bコースの2週目。
改修後の中京はひたすら外枠有利の競馬場という印象で、なんでそうなるの?(やっぱりスケジュール的に芝が傷みやすいからなのかな?)とずっと考えてきたのだが、昨年の夏開催頃から少し傾向が落ち着いてきたようだ。要するに外ばっかりくる傾向ではなくなってきたようだ。
それは、やはりある程度馬場が締まってきた効果だろう。改修といっても中京の場合はほとんど全部作り替えたわけだから、作ってからしばらくはどうしても緩い部分が残っていた(芝が軟らかすぎた)のだろう。
また中京は7月いっぱい開催があるので、芝の張替えが8月からになる。しかも開催が冬場に集中していて、芝にとってはかなりきついスケジュールになる。そこで、1開催分の開催日数を減らし、中間にシート養生するなどして芝の傷みを蓄積しないような対策をいろいろ取っている。
そのせいか開幕週だった先週は見違えるほど内の馬が来ていた。また逃げ切った馬も3頭いて、先行馬有利でもあった。その後雨も降ってないので、2週目に入って本性を現して外有利になる、とも思えない。せいぜい内外互角。
先週は0.5秒前後速い馬場だった。今週も同程度の時計が期待できる。
【中京ダート】
■力の要る馬場でやや先行有利
中京のダートは外有利だと思い込んでいたが、見直してみるとどうもそれは間違った思い込みだったと気づいた、と先週書いた。まさしく先週は内外互角だった。
先週は乾いたダートで、0.5~1秒程度遅かった。今週も雨がほとんど降っていないから同程度の時計だろう。力のある馬が強い馬場でやや先行有利。内外互角。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰める業界屈指の取材力を持ち、 JRA馬場造園課など独自のコネクションも数多く築いている。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。