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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2014年02月07日(金)更新

今週の馬場傾向【天気と馬場に要注意】


【東京芝】


■Dコース2週目、芝の状態は抜群だが


 木曜日に『競馬王』の取材で東京競馬場の芝を見てきた。詳しいことは『競馬王』の4月号で書くし、来週の『馬場の真実』コラムでも多少触れるつもりだが、正直言ってビックリした。『コースの鬼!』という看板を掲げていながら、いつもびっくりしていて申し訳ないが、でもビックリしたんだから仕方がない。

 何にビックリしたか、というと、Aコースに芝禿げがないことにビックリした。台風に直撃されていちばん傷んだはずのAコースの、それもいちばん芝が傷みやすい3~4コーナーにまで芝がちゃんと生えていた。

 もう少し詳しく言うと、馬が走ると野芝の表面は傷んで葉がなくなる。もっと傷むと地下茎までなくなる。ある程度野芝がなくなると、そこに砂を入れて平坦にする。このとき完全に芝の地下茎までなくなっていると、根がかりがなくなるので、その後いくら追い蒔きしても洋芝も生えない。以前の冬の芝コースには、馬が集中する内柵に近い部分に小さな砂場みたいな部分が点々と残っていたが、現在の東京のAコースにはそういう傷痕がない。競馬で芝が傷んで目砂を入れた跡はあるが、そこから洋芝が生えていた、ということは、野芝の地下茎がほとんどまだ残っているというに他ならない。

 それだけ丈夫になっている。しかも、全周に渡って硬度も軟らかい。これはもう、5~6年前までの芝とは別次元の芝といえる。これを見ると「内が傷んできたから外が伸びる」というような評価は、今後よほどのことがない限りできないことがわかる。

 今週はDコースの2週目。前段の記述からもわかるように、Aコースの芝ですら状態がいいのだから、まだ2日しか使われれていないこのDコースの状態がすばらしいことは言うまでもない。

 中間にバーチドレンなどによる穴あけ作業は行ってないが、ほとんど馬が走ってない部分なので、夏にシャタリングマシンを入れた効果がまだ残っている。また保温シートをかけて養生したことで芝に湿度と温度が保たれ、土がフカフカになっている。秋の芝よりもむしろ軟らかいと考えていい。

 先週はほぼ馬場差なしだった。今週は水曜日(5日)に5.5ミリ雨が降ったが、ちょうどいいお湿りで、このままなら素直な良馬場になるはずだったが、今週は土日とも雪予報が出ている。

 実は木曜日の時点ですでに雪予報が出ていて現場は大わらわだった。芝コースに作業車は入れられないので、雪が降ったら人手で雪かきをしなければならない。それに備えて数百人単位で雪かきの作業員をそろえる手配とか…。そういう現場のご苦労を考えれば、これは競馬ができるだけでありがたいと思わないと。

 もし大雪で競馬が順延になった場合は、路盤がぐっしょり濡れるので、重く、力が要る芝になることはほぼ間違いない。それにしても今期の東京は何かと試練が多い。




【東京ダート】


■雪の翌日は速くなる


 先週は乾いて0.5秒程度遅いダートだったが、今週は雪の予報が出ている。そもそも開催可能かどうかが微妙だが、降雪最中のレースなら、中まで濡れるのに間があるので、やや速い程度。

 雪または雨が止んだ翌日は、雪混じりの砂をハロー車でかき混ぜる感じになるため、隅々までぐっしょり濡れて速いダートになる。

 その翌日は凍結防止剤が入った乾きかけのダートになるので、速いことは速いが多少力が要り、逃げ馬の信頼性が多少落ちる。




【京都芝】


■時計がかかり、外のほうが伸びる芝


 Bコース2週目。

 京都の芝コースは従来型の野芝が使われている上、Bコースは昨年雨にけっこう降られたため、Bコースへの移動でむしろ時計がかかるようになった。先週のBコースの時計は土曜日がタイム差なし、日曜日は0.5~1秒前後遅かった。またコース替わりで内伸びの馬場になったというほどではなく、内外互角だった。

 土曜日より日曜日のほうがガクッと時計がかかるようになるのは、従来型の野芝の特徴で、芝自体の傷みやすさを示している。

 京都は土曜日が雪になり、日曜日にやむ公算。東京よりも降り始めが速いため、止むのも早く、日曜日に開催できるとすると、この日曜日は路盤が濡れて軟らかくなる可能性が強い。月曜日に開催スライドした場合、さらに時計がかかる芝になるだろう。

 高いところから乾いていくので、久しぶりに外に馬群が展開する競馬になるかもしれない。その場合ある程度外のほうが有利だろう。




【京都ダート】


■雪の翌日は速くなる


 先々週ほどではないが、先週もややスローめのレースが多かった。それがあって内枠有利、先行有利だった。時計は0.3秒前後速かった。

 今週は雪の予報が出ていて開催可能かどうかが微妙。

 雪または雨が止んだ翌日は、雪混じりの砂をハロー車でかき混ぜる感じになるため、隅々までぐっしょり濡れて速いダートになる。

 その翌日は凍結防止剤が入った乾きかけのダートになるので、速いことは速いが多少力が要り、逃げ馬の信頼性が多少落ちる。




【小倉芝】


■乾いた芝でやや内有利、先行有利


 小倉は夏開催の最後に2週続けて大雨に降られ大いに傷んだが、その後の更新作業で芝は一新されたわけで、今開催が年間でベストの芝になる。

 問題は夏以降の更新のため、芝の根付きと成長がどれくらいかだが、少なくとも今週はベストの状態であることは疑う余地がないわけだ。

 小倉の予報は土曜日が雨。もしかすると土曜日の競馬はここだけになる? だがそれも午前中まででやむ可能性が高い。雨がやめば芝は内もよいので、素直に先行有利、内有利と考えていいはず。路盤が軟らかい分多少力はいるが、それほど重馬場適性を考慮する必要はないだろう。日曜日はほぼ普通の良馬場と考えていいはず。




【小倉ダート】


■クッション砂を洗浄し、重ながらやや力の要る状態


 雨の翌日で"帰りの重"となるため、一見速くなりそうだが、夏にクッション砂の洗浄を行っているため、クッション砂がかなり足されているはずで、それらが相殺し合って土曜日はタイム差なし~0.5秒程度速いと予想する。内枠有利。先行有利。

 日曜日は凍結防止剤入りの乾きかけのダートにつき、かなり遅くなる可能性がある。これも内枠有利、チョイ差し馬を重く見るべき。




プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰める業界屈指の取材力を持ち、 JRA馬場造園課など独自のコネクションも数多く築いている。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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