生死の問題になるほど暑い夏でも、行ってしまうとなると何がしかの感慨はある。今週の中間もあちこちで大荒れの天気だったが、週末の小倉と新潟は高気圧に覆われて晴れる可能性が高い。土曜の札幌には低気圧と前線の影響が残り曇りがちな天気で風が強そう。日曜の札幌は晴れそう。
【新潟芝】
■やや外差し傾向が出てきた芝、先行差し互角、やや外有利
《Aコース4週目》
先週は日曜に2.5ミリ、月曜に12.5ミリ降り、さらに金曜の朝方に3.5ミリ降ったが、週末の含水量はそれまでとほぼ同じだった。土曜は乾いた良で0.6秒前後速く、日曜も良で0.3秒前後速い時計だった。
スローペースが多かったことの影響もあるかもしれないが、先週の日曜は時計がやや遅くなり、大き目の馬番の活躍が目立った。写真からはわからないが、多少芝が傷んできた可能性もある。
今週の中間は水曜に6.5ミリ、木曜に77.5ミリ、金曜の午後にも数ミリ降った。この先は晴れるので、土曜の朝の散水を控えるだけで、これまでとほぼ同じ含水レベルに持っていけるハズ。多少芝が傷んできたことを考慮して、土・日とも0.4秒前後速い時計を想定する。先行差し互角、やや外有利。
【新潟ダート】
■やや含水高めの良で少し重いダート、やや外有利、やや先行有利
先週は日曜に2.5ミリ、月曜に12.5ミリ降り、さらに金曜の朝方に3.5ミリ降った。時計は土・日とも0.4秒前後遅かった。
先々週までのダートは含水1%少々でカラカラだったが、先週の含水は土・日を通じて5~6%で、同じ良でもかなり含水率は高めだった。含水率が高めにもかかわらず、時計が遅くなっている。これは、締まるよりも水分を含んで砂が重くなる効果のほうが大きかったからだろう。単純な線形の変化でないので考えづらいが、現実がそうなんだから対応していくしかない。
中間は水曜に6.5ミリ、木曜に77.5ミリ、金曜の午後にも数ミリ降った。金曜正午時点での馬場発表は重だが、含水は12%前後で、この先晴れると想定し、土曜は稍重スタートを想定する。土・日のいずれかの時点で良まで回復すると考え、先週並の含水を想定して、
0.4秒前後遅い時計を想定する。やや外有利、やや先行有利。
【小倉芝】
■やや外差し傾向が出つつある速い芝、やや内有利、やや先行有利
《Aコース4週目》
先週は週末まで2週間雨が降ってない状態だった。その分週末も含めて毎日散水していた。土・日とも晴れ、土・日とも良で0.8秒前後速い時計だった。
JRA_HPには「全周内柵沿いが傷んできた」と書いてあり、コース写真を見ても内がやや芝禿げしている様子が見える。10年前だったら、まだこれくらい傷んでいるうちに入らない、というべきところだが、今は馬場全体が著しくレベルアップしているので、これくらいの傷みと片付けられなくなっているのかもしれない。
たしかに先週土曜の競馬は先行馬が優勢だったのに対して、日曜になると先行差し互角の様相を呈していた。今週は内を避けるほどではないにしても、やや外差し傾向が現れて内の馬と差し馬が拮抗する感じになりそうだ。
今週は水曜に14ミリ、木曜に0.5ミリ降ったが、両日も含めて連日散水している。また金曜正午の時点の馬場発表は良で、含水率も先々週・先週とほぼ変わらない。土・日とも良の速い芝を想定し、0.8秒前後速い時計を想定する。やや内有利、やや先行有利。
【小倉ダート】
■乾き気味だが標準的な速さのダート。やや内有利、やや先行有利
先週は2週間雨が降らない状態で、土曜は乾いた良で0.7秒前後速かった。日曜は同じく乾いた良で0.8秒前後速かった。
先週も書いたが、カラカラのダートで速めの時計が出る理由は、小倉のダートは凍結防止剤を使用する真冬の開催があるため平均タイムが遅い。そのため凍結防止剤を使用しない開催としては0.5秒前後速い…くらいが普通の時計に相当する、ということ。
またここ3週の時計を見ると砂自体のコンディション(密度、比重など)が多少速めの設定になっている様子もある。さらに、以前担当者から聞いた説明の中に、本当にカラカラになると砂がパラパラになって飛び散りやすくなり、蹄が底付きするようになって速くなる場合がある、という説があったことを紹介しておく。
なにしろ本当のカラカラ・ダートは年間を通じて今時分しか出現しないものなので、因果関係が見つけづらかった。それに、この説が正しいとすると含水率と速さの間に線形の関係が成り立たなくなってしまうので、ぼく自身あまりこの説に頼るのが好きではなかったのだが、先週の新潟・小倉の両場のダートの時計を見ると、やはりこの説が正解なのかもしれないと思い始めた。というわけで先週書いた、担当者が水をまきすぎたのでは?という説は撤回します。
今週は水曜に14ミリ、木曜に0.5ミリ降った。スタート時点では先週よりは若干含水は高いが、番組の進行とともに先週並に乾いてしまうハズ。土・日とも乾き気味の良を想定し、0.5秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、やや内有利。
【札幌芝】
■状態絶好も含水高めで下がやや軟らかめな洋芝。内有利、先行差し互角
《今週からCコース》
先週は金曜に17.5ミリ、土曜も早朝を中心に17.5ミリ降った。土曜は小雨まじりの曇りで、一日中稍重発表だった。土曜は1.2秒前後遅かった。日曜は晴れたが、5Rまで稍重、それ以降は良で、一日を通じて1秒前後遅かった。
前線の影響で、今週の中間は雨が降り続いた。月曜に29ミリ、火曜に5.5ミリ、水曜に29.5ミリ、木曜に38.5ミリ、金曜に6ミリ降った。だが金曜正午の時点で含水は先週より低く、金曜夜の時点で良になっている。
今週からCコースに移動する。札幌のコース刻みは1.5mずつなので、札幌のCコースは通常のコースのBコース移動とほぼ同じ。JRA_HPのコース写真を見ると、ほとんど傷んでいる感じがない。
だが雨が長く降り続くと、通常の地面と同じように路盤も緩む傾向があると思う。芝自体は絶好に近いハズで、気になるのはその下の路盤の緩みがどれくらい時計に影響するかだけ(といっても、レース結果にはあまり影響ないかな…)。
低気圧と前線が東に遠ざかるので、週末は曇または晴れで、雨は降らないハズ。芝の状態は絶好、やや含水多めの良で、かつ下が幾分緩んでいる、という考え方で、土・日とも0.8秒前後遅い時計を想定する。内有利、先行差し互角。
【札幌ダート】
■含水多めで締まって速いダート。逃げ・先行有利、内有利
先週は金曜に17.5ミリ、土曜も早朝を中心に17.5ミリ降った。土曜は小雨まじりの曇りで、ダートは一日中不良だった。日曜は一日中重だった。時計は土・日とも1.9秒前後速かった。
今週の中間は月曜に29ミリ、火曜に5.5ミリ、水曜に29.5ミリ、木曜に38.5ミリ、金曜に6ミリ降った。だがこの先は低気圧と前線が東に遠ざかるので、週末は曇または晴れを想定する。
今週金曜正午の含水率が、先週土曜の含水率とほぼ同じなので、今週土曜の含水率は先週日曜の含水率とほぼ同じくなるハズ。土曜は重を想定し、1.5秒前後速い時計を想定する。気温も下がっているので砂の乾きは遅く、日曜は稍重と想定し、1秒前後速い時計を想定する。逃げ・先行有利、内有利。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。