関東以南は高気圧の支配下にあるため、3場とも雨の降る心配はなさそう。また風もそれほど強くない。
【中山芝】
■内に目に見えないグリーンベルトがある。内有利、先行有利
《Aコース1週目》
中山はメーンイベントの有馬記念と皐月賞の開催での出走可能頭数を最大限確保したい意図から、9月開催でB・Cコースを使い、12月開催でAコースに戻す変則的な使い方をする。今年も同様で、今開催はずっとAコースが使われる。
これはいわゆるコース戻しで、コース内に3m幅のグリーンベルトができていることは間違いない。だが2カ月のインターバルの間にオーバーシードが行われ、コース全体を洋芝が覆っているため、その境目はまったく目に見えない。
また今年の4回中山は、Cコースが使われた後半に雨が多く、それに比べればBコース使用時にはそれほど雨が降らなかった。そのため内外の差はわずかだと思うが、追い比べになれば内のほうが伸びる可能性は強い。
今週は火曜と水曜に0.5ミリずつ降ったが、散水は木曜にしただけで、芝はかなり乾き気味のハズ。4回中山開幕戦の時計に近付けて、土曜日は2秒、日曜は1.5秒前後速い時計を想定する。内有利、先行有利。
【中山ダート】
■路盤整備後の2開催目で、乾いているが速いダート、やや外有利、先行差し互角
中山ダートは夏のインターバルの間に路盤の全面改修をした。クッション砂が敷いてある下の路盤の表面を削って平らにしたことで、前開催の時計は、それ以前と比べて1秒半以上速くなった。
今週はほぼ1週間雨が降ってない状態で、ダートはかなりパサパサ。含水率の数字は9月の1週目くらいになっているが、それでもかなり速い時計が出そう。土・日とも1秒前後速い時計を想定する。やや外有利、先行差し互角。
【阪神芝】
■今秋になっていちばん速い芝、やや内有利。やや先行有利
《Aコース1週目》
4回阪神は雨に降られてばかりいた。とくに1週目(Aコース)と4週目(Bコース)が台風に直撃され、秋しょっぱなの開催らしい速い時計は最後まで出なかった。とはいえ4回阪神はここ3年続けて同じような天候具合で、その後芝の時計が持ち直しているので、芝の傷みは過大評価しすぎないほうがいいかもしれない。
芝の傷みは内外平均しているハズだし、その後オーバーシードされ、今は洋芝に全体が覆われて、野芝部分の傷みは見えなくなっている。また阪神は他場と違って、夏のメンテナンスでもシャタリング作業を入れておらず、多少硬めのセッティングになっているとも考えられる。
今週は水曜日に2ミリ降っただけで、芝は乾き気味。今秋以来最も速い状態になっていると考えて、土曜は1秒前後速い時計を想定する。日曜は0.5秒前後速い時計を想定する。やや内有利。やや先行有利。
【阪神ダート】
■カラカラに近い乾き方で多少力が要る、やや内有利、やや先行有利
4回阪神は雨ばかり降っていて、良で行われたのは9月17日の1日だけ。だから時計はかなり速かったけれども、今週は逆にカラカラに近い。
今週は水曜日に2ミリ降っただけ。土・日とも乾き気味の良で0.5秒前後遅い時計を想定する。内外互角、やや先行有利。
【中京芝】
■開幕週だが芝が軟らかめでそんなに速くない、やや外有利、先行差し互角
《Aコース1週目》
今年の夏のメンテナンスでは芝を1万6000㎡張り替えた。これは昨年と同じ面積になる。張り替えて最初の開催なので速い時計が出そうなものだが、ここ数年の中京の時計を見ると、張り替える前の7月開催の時計がいちばん速く、12月開催の時計はそこまでは速くない。そして1月、3月の開催の時計はガクッと遅くなる。
最近の中京は、夏の開催前に洋芝を積極的に減らしているハズなので、野芝が元気で、そのため夏の開催だけ速いということになっているのだろう。それ以外の中京の開催は実質的に冬の開催だから、乾き気味でも芝が軟らかめで、時計もあまり速くないし、外差し傾向が強い。
今週は水曜に2ミリ降っただけ。だが芝へ積極的に散水している。今の時期それほど水をまく必要はないハズで、昨年の同時期もそれほどまいてなかったが、これは洋芝重視のメンテナンスということなのだろうか、いずれにせよ若干軟らかめな状態と考えていいハズ。
開幕週だが、土・日とも良でタイム差なし前後の時計を想定する。やや外有利、先行差し互角。
【中京ダート】
■前開催通りのセッティングなら乾いていてもかなり速い、やや先行有利、やや外有利
中京のダートは今年の夏の開催の前後で時計が大幅に速くなっている。中京の1月開催では凍結防止剤を使うので、その分平均時計が遅いことを考慮に入れても、やはり1秒以上速くなっている。
たとえば中山のダートの場合は夏のメンテナンスで全面的に路盤整備をやった結果めっきり速くなったのだが、中京の場合は「一部の路盤点検」を行ったとしか書かれていない。だから理由は不明だが、速くなったことはたしか。
7月の競馬終了後に、担当者が「速すぎた」と思えば、砂の構成比その他で時計を調整する可能性もあるので、7月の速いままの状態が維持されているかどうかは土曜の競馬を見ないとまったくわからない。その意味でチャンピオンズCは4回中京の最終日に置いてもらったほうがいいような気がするが、そうなると東京大賞典との間隔が近くなりすぎるのだろう。
今週は水曜に2ミリ降っただけ。砂はカラカラに近いハズだが、前開催の速い状態が維持されていると考えて、土・日とも良で1秒以上速い時計を想定する。やや先行有利、やや外有利。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。