今週末は東西に長い帯状高気圧に覆われた、いわゆる"五月晴れ"。土・日とも雨が降る心配はまずない。また風も強くなさそう。
【東京芝】
■乾き気味の張り詰めた速い芝、Cコース替わりでさらに内有利に。先行差し互角
《Cコース1週目》
先週はほぼ2週間雨が降らない状況で週末を迎えた。土・日とも乾き気味の良で、0.6秒前後速かった。
先週秋競馬での消耗が少ないので春の東京のBコースは内有利になりやすい、と書いたが、春のCコースはさらに内有利になりやすい。というのはCコースは秋競馬で2週間しか使っていない上に、内から3m外に出たDコースが真冬の競馬で使い倒されているからだ。Dコース部分も今は葉が伸びて外見からはわからないが、たぶん内より少しデコボコが多いハズ、ダービー週の東京のCコースには内に隠れグリーンベルトがあるというくらいに考えたほうがいい。
ただしそれは騎手もわかっているので、内はいつも以上にゴチャつく。内から馬群を抜けるのは難しい(もちろんそれができればいちばんいいのだが…)ので、小さな馬番が有利、というよりも内を走れる先行馬が有利になる感じだ。
今週は月曜から火曜にかけて82ミリもの大雨が降った。だが芝の含水から見てもうすっかり乾いていると考えてよさそう。水曜からは晴れて気温も上がっている。土・日とも1秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、やや内有利。
今週のG1はダービー。1着賞金2億円で、3歳クラシックの中では別格の値段だ。もちろん1番人気は皐月賞馬サートゥルナーリア◎。
デムーロ騎手が乗っていた皐月賞までのサートゥルナーリアは、内をついて最後ぴゅっと伸びる経済的なレースをしていた。そのため時計の裏付けがなかった。皐月賞では外を回さざるを得なくなるので、もしスタミナに自信がないために内を回していたのだとしたら、皐月賞では人気を裏切る可能性があるのではないか、と考えた。
だが皐月賞は外を回って勝ち切った。時計的にも十分で、死角はいちおう消えたが、一方2着馬ヴェロックスとは同タイムで、突き離せなかった。両馬はほぼ同じだけ外を回っていて、レースぶりもほぼ互角だった。一瞬サートゥルナーリアがピュッと前に出たが、最後はヴェロックスが差し返しているようにも見えた。
問題はコースが変わってどうなるかだ。ダービーは坂上から一瞬の脚で突き放すサートゥルナーリアに対して、ヴェロックス○が少しずつ差を詰めていく競馬になるのではないか。そう考えれば逆転の可能性もあるが、ただしダービーのCコースは前述したように内が伸びる。先に出たサートゥルナーリアを捕まえるのは容易ではないハズ。
以下サトノルークス、ダノンキングリー、ニシノデイジー、レッドジュニアル、ランフォザローゼス、リオンリオン。
【東京ダート】
■カラカラだがシーズン末期の軽いダート、やや外有利、先行差し互角
先週までほぼ2週間雨が降ってなかった。土・日ともカラカラに近い乾いた良で、タイム差なし前後の時計だった。
東京は凍結防止剤を使う真冬の開催があるので、それ以外の開催はどうしても速い評価になる。先週の時計は真冬の開催を除けば、多少遅め、くらいか。またシーズン末期で砂も多少細かくなっているハズ。
今週は月曜から火曜にかけて82ミリもの大雨が降った。芝と違ってダートはまだある程度影響が残っているハズ。だが競馬が始まるとレースがある度にハローをかけるので、とくに今週のように気温が高いと急速に乾いていく。土曜はやや含水多めの良で、0.4秒前後速い時計を想定する。日曜は標準的な良で0.2秒前後0速い時計を想定する。やや外有利、先行差し互角。
【京都芝】
■今週も乾いた状態のいい速い芝、やや内有利、先行差し互角
《Dコース3週目》
先週は10日程度雨が降らないで週末を迎え、土日も晴れた。ややスローペースのレースが多かったが、土・日とも0.6秒前後速い時計だった。
芝の状態はよく見える。小さい馬番の活躍が目出ち、馬群は内めを回っているが、直線は外に出したほうが伸びるようだ。多少傷みが蓄積してきたかもしれない。馬番は小さい馬番が活躍しているが、差しが届く状態になっている。
今週は前線の通過に伴い月曜から火曜にかけて31.5ミリ降り、その後は晴れた。東京に比べると降水量が少ないし、芝はすでに乾いているハズ。土・日とも乾き気味の良で、0.5秒前後速い時計を想定する。やや内有利、先行差し互角。
【京都ダート】
■カラカラに近いシーズン末期の軽いダート、内外互角、やや逃げ・先行有利
先週は10日程度雨が降らないで週末を迎え、土日も晴れた。土・日ともカラカラに近い良で0.4秒前後遅かった。
今週は月曜から火曜にかけて31.5ミリ降り、その後は晴れた。土曜は標準的な含水の良で0.2秒前後速い時計を想定する。日曜には砂が乾くので0.2秒前後遅い時計を想定する。内外互角、やや逃げ・先行有利。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。