この週末は前線を伴った低気圧が列島を縦断する。それに伴って大きな雨雲が西から東へと移動していく。
土曜の阪神は早朝から雨が降り始め、一日中降り続きそう。日曜には低気圧が抜けて晴れる。低気圧が脇を抜けていく土曜は東北東の風(ゴール前で斜め追い風)が強そう。
東京も土曜の早朝から降り始め、昼過ぎから雨が強くなりそう。南の海から暖湿気が入ってくるので最終的な雨量が多くなりそう。夜には止んで、日曜は晴れる。低気圧のコースからかなり外れるので土・日とも風は強くなさそう。
函館は土曜の開催中は曇りで、南東の風(ゴール前直線で向かい風)が強く吹きそう。土曜の夜から雨が降り始め、日曜は一日中弱い雨が降り続き、東~北東の風(ゴール前直線で斜め向かい風)が強く吹きそう。
【東京芝】
■相当量の雨が降って時計がかかる重~不良、内有利、先行有利
《今週からDコース》
先週は金曜の昼過ぎから夜にかけて21.5ミリ降った。土曜は1~3Rが不良、7R以降が重で、2.5秒前後速かった。日曜は5・6Rが稍重、それ以降が良になり、0.6秒前後速かった。日曜は早朝から開催前までに4ミリ程度降った。その含水が残って一日中稍重になり、0.3秒前後速い時計になった。
土曜に低気圧が列島を縦断する。低気圧の進路からはかなりズレているが、前線からぶら下がった前線がゆっくり関東を掃いていく。同時に海側から暖湿気が吹き込むので、雨量が多くなる可能性がある。もし今週末東京が不良になるとすれば、キタサンブラックが勝った2017年の秋の天皇賞の日以来となる(ただしあの時は土・日合わせて100ミリ近く降った。今回はそこまでは降らないと思う)。
その一昨年の天皇賞の日、不良になって時計が遅くなったにもかかわらず、芝がいいので内が悪くならず、むしろ内有利、先行有利になった。今週もDコース替わりで内の芝がいいため、不良でも外差しにならない可能性が高い。
今週は月曜に74.5ミリ、火曜に8ミリ、水曜に0.5ミリ降った。木曜は晴れたが、金曜はほぼ曇り、土曜の早朝から降り始め、開催開始までにすでに25ミリ程度降って朝の馬場発表は不良。最終的に50ミリ超の雨量を想定し、2.8秒前後遅い時計を想定する。
日曜早朝に雨はやみ、日曜の開催は晴れを想定するが、もし土曜に50ミリ超降るとすればそう簡単には水はけしないハズ。日曜は重→稍重という推移を想定し、1.3秒前後遅い時計を想定する。内有利、先行有利。
【東京ダート】
■シャブシャブの目一杯速いダート、やや外有利、やや先行有利
先週は金曜の昼過ぎから夜にかけて21.5ミリ降り、1・2・3Rが不良で、7R以降が重になった。2.5秒前後速かった。日曜は早朝から開催前までに4ミリ程度降り、1日中重で、2.3秒前後速かった。
今週は月曜に74.5ミリ、火曜に8ミリ、水曜に0.5ミリ降った。土曜は早朝から降り始め、開催開始時点の馬場発表は不良、この先も降り続き、最終的に50ミリ超の降水を想定する。土曜は水が浮いた不良を想定し、2.8秒前後速い時計を想定する。日曜は重を想定し、2.5秒前後速い時計を想定する。やや外有利、やや先行有利。
【阪神芝】
■渋って時計遅めでもBコース替わり、やや内有利、先行差し互角
《今週からBコース》
先週は金曜に31.5ミリ降った。土曜は曇りの稍重で1.2秒前後遅かった。日曜は晴れの良で0.5秒前後遅かった。
エアレーション等で路盤を軟らかくしてあるので、前日に30ミリ超も雨が降ればもう少し遅くなると思ったが、そこまでは遅くならなかった。耕している分軟らかくなっていると同時に、地下茎の張りもかなりよくなっているのだろう。今週はとくにBコース替わりで内がよくなるので、馬場が渋ったとしても極端な差し馬場にはなりそうもない。
今週は雨が降っていなかったが、土曜の早朝に数ミリ降って稍重発表に。午後からあらためて雨が降り出しそうだが、雨量面では東京ほど降らなそう。土曜は稍重を想定して1.5秒前後遅い時計を想定する。強い東北東の風(ゴール前で斜め追い風)が一日中吹く。
日曜には低気圧が遠ざかって晴れ、稍重→良という推移を想定し、1秒前後遅い時計を想定する。風も強くなさそう。やや内有利、先行差し互角。
【阪神ダート】
■含水多めで目一杯速いダート、やや外有利、先行差し互角
今週は金曜に31.5ミリ降った。土曜は1・2・3Rが不良、7R以降が重で、1.8秒前後速かった。日曜は晴れの稍重で0.6秒前後速い時計になった。
土曜は稍重から始まった。一日中弱い雨が降り続く感じで、トータル20~30ミリの降水を想定する。重~不良の想定で、2秒前後速い時計を想定する。また、とくに土曜の午前中は東北東の風(ゴール前で追い風)が強そう。
日曜は晴れ、重~稍重を想定し、1.5秒前後速い時計を想定する。風はそれほど強くないハズ。やや外有利、先行差し互角。
【函館芝】
■軟らかめの芝、土・日ともゴール前で向かい風が強そう、やや先行有利、内有利
《Aコース1週目》
函館は一昨年までは開催前にエアレーションをするだけだったが、昨年からエアレーションに加えてシャタリングもやるようになった。路盤をさらに軟らかくしてクッション性を上げようという意図だと思う。
野芝の場合はシャタリングで根切りすることによって、路盤が軟らかくなると同時に地下茎の伸びも促され、むしろ芝が丈夫になる効用がある。だが横の地下茎が弱い洋芝の場合、軟らかくなる効果は間違いなくあるが、耐久性という点ではどうなのだろう?実際昨年はAコース開催の後半に雨が多く降って芝が相当傷んでしまった。昨年の雨量は例外的かもしれないが、今年はしょっぱなから一定量の雨が降りそうなのが気がかりだ。
今週末の函館はほぼ低気圧の通り道に当たっていて、日曜の早朝にまず前線が通過し、日曜の昼頃に低気圧が通過する感じになる。雨は日曜の開催中ずっと降り続きそう。風は向きを変えながら強く吹くが、日曜の午後には弱まる。
中間は1週間雨が降らなかった分、毎日散水していた。土曜はまだ低気圧が遠く、曇りの良を想定して0.5秒前後速い時計を想定する。南東の風(ゴール前直線で向かい風)が一日中強そう。
土曜の開催終了後から日曜の朝にかけて相当量雨が降り、日曜の開催中も弱い雨が降り続きそう。重~不良を想定し、1.5秒前後遅い時計を想定する。日曜も昼過ぎまで東北東の風(ゴール前直線で斜め向かい風)が強めに吹きそう。やや先行有利、内有利。
【函館ダート】
■土曜はカラカラの遅いダート、日曜は目いっぱい速いダート、逃げ・先行有利、内外互角
小回りコースのほうが時計が遅くなるのが普通だが、函館ダートの時計は比較的速め。夏の函館開催はほんの6週間しかないのに、毎年砂を洗浄し、路盤の補修もちょこちょこやっている。コースの負担が大きいとは思えないし、路盤の状態が非常によいハズ。
中間はほぼ1週間雨が降っていない。したがって土曜はカラカラな状態、ところが土曜の夜から雨が降って日曜も降り続きそう。今週は土曜と日曜でガラッと状態が変わることに注意しなければならない。
土曜は曇りのカラカラの良を想定し、0.3秒前後遅い時計を想定する。日曜は雨で水の浮いたシャブシャブの不良を想定し、1.5秒前後速い時計を想定する。また土・日ともゴール前直線で向かい風になる風が強そう。逃げ・先行有利、内外互角。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。