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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2019年06月22日(土)更新

先週の雨でどこまで摩耗したか?

梅雨前線が南の海上に停滞している。これが列島の位置まで上がってくれば雨になるが、たぶん北の高気圧の勢力が強いせいで今週末もまだ北上する気配がない。とはいえ列島が複数の低気圧に挟まれた形で、北からは寒気が、西からは湿った空気が流れ込んでいる。3場ともいつ雨が降ってもおかしくない不安定な状況。

函館は前線からはいちばん遠いが、気圧の谷の中にあって上空には寒気も流入している。土曜は昼前から雨で、雷を伴う可能性も。この雨は降り続いて日曜の昼頃止む見込み。

東京は土曜の午後に太平洋側の低気圧が接近する。この低気圧はほぼ前線上にあり、湿気を多く含んでいるので、気温が上昇する土曜の午後から夜にかけて雨が降る可能性が高い。日曜は小康状態で曇りになりそう。

阪神は六甲山地と四国に前後をガードされる形で、湿気や寒気から一時的に隔てられている。土曜は曇りのち晴れで雨は降らなさそう、日曜はほぼ曇りで、夕方から雨が降り出しそうだが、ぎりぎり持ちこたえるか。


【東京芝】


■標準的含水で標準的速さの芝、やや内有利、やや先行有利


《Dコース2週目》

先週の土曜は一日中雨で、強い雨の中での競馬だった。土曜は最初から不良で4秒近く遅い時計だった。土曜の降水量は51ミリで、日曜は早朝に2.5ミリ降って以降は晴れ、水引けは早く4~8Rが重、10Rの時点で稍重にまで回復した。日曜は0.4秒前後遅い時計だった。

先週からDコースになったこともあり、芝の状態がいいので、不良になって時計が遅くなっても内が悪くならず、むしろ内有利、先行有利になる可能性がある、と指摘したが、まさしくその通りの結果になった。また土曜の後半戦はやや馬群が外に展開気味だったが、日曜になると馬群は内に戻っていた。

今週はずっと梅雨前線が南に控えている状態のまま、月曜から雨が降っていない。土曜の昼過ぎから雨になり、数ミリ程度降ると考えて、土曜は標準的含水の範囲内の良→稍重でタイム差なし秒前後の時計を想定する。日曜は曇りの良で0.3秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、やや内有利。



【東京ダート】


■標準的含水の標準的なダート、やや先行有利、内外互角


先週の土曜は一日中雨で、51ミリ降った。土曜は朝から不良で1.2秒前後速かった。もう少し速い時計だったとしても不思議はないが、強めの雨中で競馬したのが影響したのか。日曜は晴れて1~3Rが不良、7R以降が重で、1.7秒前後速い時計になった。

今週は月曜から雨が降っていない。土曜の午後に数ミリ程度の雨が降ると考えて、土曜は良→稍重を想定し、0.8秒前後速い時計を想定する。日曜は曇りの良で0.5秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、内外互角。



【阪神芝】


■2週連続稍重の競馬を経てやや時計がかかる馬場に、やや内有利、先行差し互角


《Bコース2週目》

先週は土曜の早朝に5ミリほど降り稍重でスタートした。11時頃さらに数ミリ降ったが馬場発表は据え置きだった。土曜は7・8・10Rがスローペースで、11Rが例外的に速かった。そのため日曜に合わせる形で1.5秒前後遅い時計とする。この日は強風と言っていいような東北東の風(ゴール前直線で追い風に相当)が吹いていて、とくに10・11Rは風が強まった。

土曜の競馬終了後に再度雨が降り始め、8ミリほど降り、日曜も一日中稍重になった。1.5秒前後遅い時計だった。

時計は遅かったが、土が掘れている様子もなかったし、馬群も普通に内めを回っていた。ただ2週連続の稍重の競馬で多少凹凸はできてきたハズ。もともと阪神は時計が遅かったが、さらに上積みする形で遅い時計が受け継がれそうだ。

今週は1週間雨が降らなかった。その分火曜から連日散水していた。曇りの日が多かった東京に比べて阪神は晴れの日が続いたので、その分散水が必要だったということもあるが、どうも今年は関西のほうが積極的に馬場を軟らかくしているような印象がある。それも、今週の時計が遅くなりそうだ、という理由の1つだ。

間に四国を挟んでいるため、東京よりも南の前線の影響が及びにくい。そのため土・日とも曇り時々晴れで、雨が降る可能性は低いと考える。土・日とも0.8秒前後遅い時計を想定する。やや内有利、やや先行有利。


今週のG1は宝塚記念。1着賞金1億5000万円。国内では大阪杯、海外ではドバイや香港帰りの馬が一堂に会する。ちょうど1カ月後にキングジョージⅥ&クイーンエリザベスSがあるが、その前哨戦というよりはやはりアジア地区の春競馬のまとめ的な位置に見える。その意味ではもう少し賞金増額して自己主張してもいいんじゃないか、って感じ。

レイデオロ◎はドバイシーマクラシックで前に行って失速したが、馬のテンションが高かったためか、力の要る馬場で「らしくない」逃げ戦法、ペースもかなり速かったように見えた。ホームグランドに戻って今度は正攻法で臨めるハズ。

逆にキセキ○は前走で逃げられなかった。今回は1番枠でハナを叩きたい馬もいない。条件面で大きく好転。以下リスグラシュー、スワーヴリチャード、アルアイン、エタリオウ、クリンチャー…の順。




【阪神ダート】


■標準的含水でやや遅めのダート、やや内有利、先行差し互角


先週は土曜の早朝に5ミリほど降り2・3Rは稍重だった。11時頃さらに降って4R以降は重になった。時計は、とくに遅かった2Rの3歳牝馬未勝利戦を例外と考えて、0.6秒前後速かったものとする。土曜の競馬終了後にさらに雨が降り増しし、日曜は1~7Rが重で、9R以降が稍重になった。時計は1秒前後速かった。

土曜はかなり強い東北東の風(ゴール前直線で追い風に相当)が吹いていた。芝・ダートとも予想より時計が遅くなっていることから、風向きというより、風が強いこと自体の影響があったのかもしれない。

今週は1週間雨が降らなかった。土・日も曇り時々晴れで、雨は降らないと想定し、土・日とも良で0.5秒前後遅い時計を想定する。やや内有利、先行差し互角。



【函館芝】


■含水多めの軟らかめの芝、ゴール前で向かい風が強そう、やや先行有利、内有利


《Aコース2週目》

先週の中間は雨が降らなかった。土曜は曇りの良で0.5秒前後速かった。土曜は東南東の風(ゴール前で向い風に相当)がやや強かった。日曜は早朝に14ミリ程度降り、開催開始からは曇りになり、一日中稍重で0.8秒前後遅い時計になった。日曜も風が強かったが、風向きが逆になり、北北西(ゴール前で追い風に相当)のやや強い風が吹いた。

今週の中間は雨が降らなかったが、週末の函館は梅雨前線からは遠いものの日本海側にある低気圧に近く、土曜はずっと小雨が降りそう。また南東の風(ゴール前で向い風に相当)もやや強い。土曜は良→稍重という推移を想定し、0.5秒前後遅い時計を想定する。

土曜の雨は夕方以降に本降りになりそう。日曜の開催開始前にやみそうだが、馬場は重以上を想定する。土曜と同じく南東の風(ゴール前で向い風に相当)もやや強い。先週の重の競馬で傷んだ分も加味して1.5秒前後遅い時計を想定する。やや先行有利、内外互角。



【函館ダート】


■土曜は小雨の稍重でやや速く、日曜は重でさらに速いダート、逃げ・先行有利、やや内有利


先週の中間には雨がなく、土曜は曇りのカラカラの良で0.3秒前後速い時計だった。土曜は東南東の風(ゴール前で向い風に相当)がやや強かった。日曜は早朝に14ミリ程度降り、開催中は一日中曇りの重で0.6秒前後速い時計になった。

中間は雨は降らなかった。土曜はこの後、小雨が降りそう。また南東の風(ゴール前で向い風に相当)もやや強い。良→稍重という推移を想定し、0.3秒前後速い時計を想定する。

土曜の雨は開催終了後に強くなりそうで、やむのは日曜の朝方か。日曜は一日中重を想定し、1秒前後速い時計を想定する。日曜も土曜と同じく南東の風(ゴール前で向い風に相当)がやや強い。逃げ・先行有利、やや内有利。



城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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