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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2019年09月07日(土)更新

【馬場予報】開幕週を読み取れ!

台風15号の動きが気になるが、日曜から月曜にかけて関東地方を直撃するルートに乗っているものの、小ぶりな台風で動きも遅く、本格的な雨風は日曜の競馬終了後になりそう。

土曜の中山は一日中晴れ。台風の接近に伴い日曜は朝から曇りで、午後から小雨が降り出しそうだが、馬場状態を変えるまでは至らなそう。日曜の午後に東風(ゴール前直線で横風)がやや強く吹きそう。

阪神は土・日ともおおむね晴れ。土曜の夜に小雨が降る可能性があるが、雨量は少なそう。日曜の午後に東風(ゴール前直線で追い風)がやや強そう。


【中山芝】


■乾き気味で速い、状態絶好の開幕芝、内外互角、先行差し互角


《Bコース1週目》

中山は真冬の開催が多いため、春競馬終了時点での芝の傷みは4大場の中でもキビしいほうだが、その分春競馬が終わるのが早い。4か月半のインターバルを使ってじっくり整備できるので、秋しょっぱなの芝のデキは4大場の中でも断トツにいいことが多い。とくに今年のような冷夏は、早め早めに作業できるメリットが大きい。

芝の張り替え面積は、前々々年1万7000㎡、前々年1万5000㎡、前年1万4500㎡ときて、今年は約1万9000㎡とやや増し程度。暮れの競馬でAコースの内がけっこう傷んでいたので、その影響があるかもしれない。いずれにせよしっかり定着した野芝にシャタリング、エアレーションを入れて軟らかく絶好の状態に仕上がっているハズ。

ちなみに今開催の中山はBコースから使い始めているが、これは出走ラッシュになる有馬記念の開催でAコースを使用するためで、20年近く前からこのローテーションが採用されている。

ここ7日間雨が降っていない。金曜の午後に追加で散水する前提でも、土曜は晴れで芝は乾き気味の状態のハズ。いくらシャタリングとエアレーションを併用して軟らかくしているといっても、開幕日は目一杯速いと考えたほうがいい。良で1.5秒前後速い時計を想定する。

日曜は台風の接近で昼過ぎまで曇り、午後から小雨が降り出しそう。だが本降りになる前に番組を終えられると考えて、良で1秒前後速い時計を想定する。日曜は東風(ゴール前直線で横風)がやや強く吹く可能性もある。内外互角、先行差し互角。



【中山ダート】


■凍結防止剤不使用な状態では目一杯遅いカラカラ・ダート、内外互角、先行差し互角


例年4回中山のダートは時計が速め、というのにはいくつも理由がある。まず中山は凍結防止剤を使う真冬の開催が多い。そのためそっちに引っ張られて平均時計が遅めで、かつ凍結防止剤を使う開催とそうでない開催の間で時計の差が大きい。9月は雨が多い季節なので、含水高めの状態になることが多く、時計が平均速めになる。さらに昨年は、インターバルの間に路盤改修した効果もあって時計がさらに速くなっていた。

ただしここ7日間雨が降っていない。土曜~日曜に雨が降り始めるまではカラカラのダートになりそう。凍結防止剤を使っていない状態としては目いっぱい遅いダートと考えて、0.5秒前後遅い時計を想定する。日曜の午後は雨が降りそうだが、カラカラの状態から速くなるにはそれなりに時間がかかる。タイム差なし前後の時計を想定する。内外互角、先行差し互角。




【阪神芝】


■乾き気味で速い、状態絶好の開幕芝、内有利、やや先行有利


《Aコース1週目》

阪神と中山は、内・外回りがある、開催時期の一部が重なっている…などから性格的に近い印象があるが、実はまったく正反対の競馬場だ。たとえばどちらにも内・外回りがあるといっても、中山はもっとも傷む3~4コーナーが共通なのに対して、阪神は3・4コーナーが別々だ。また中山は夏のメンテナンス期間が4カ月と長いのに対して、阪神のそれは2カ月しかない。しかも中山は真冬の開催が2カ月続くのに対して、阪神にはホントの真冬の開催はない。

2017年から阪神は夏の張り替え面積を大幅に増やした。2016年14000㎡→2017年26000㎡→2018年21000㎡ときて、今年は20000㎡を張り替えた。張り替え面積を増やしたことで芝が傷みやすくなったということはなく、ここ数年の阪神は最後まで芝の状態がいい。

ただし今年は夏が冷夏だったことで、とくにこの4回開催の芝の定着にはやや不安がある。というのも例年阪神でいちばん芝が傷むのが秋しょっぱなの開催だからだ。阪神の短い夏のインターバルは大面積の芝が定着するには少し時間的に足りないようで、むしろ5回開催のほうが芝の状態がよくなるようだ。

また2016年まではシャタリングとエアレーションを両方していたが、2017年と2018年は張り替え面積を増やしたこともあってエアレーションのみのメンテナンスだった。今年はエアレーションをやめて、代わりにシャタリングのみ行うようにした。これは一昨年・昨年と芝の状態が最後までよかったのを見て、芝への負担はやや大きいが、芝を軟らかくする効果がより大きいシャタリングを選択したのだと思う。

今週は水曜に4ミリ降っただけ。散水代わりとしても少し足りなそうな雨量。土曜はよく晴れて気温も上がりそうで、乾いた芝の良を想定し、1.2秒前後速い時計を想定する。日曜には台風14号が近づくが、紀伊半島にブロックされるので雨は降らなそう。晴れまたは曇りの良を想定し0.8秒前後速い時計を想定する。内有利、やや先行有利。




【阪神ダート】


■カラカラでやや遅いダート、内外互角、やや先行有利


阪神と中山の違いはダートにもある。阪神には凍結防止剤を使う真冬の開催がない。そのため平均時計が速めで、かつ時計の速い・遅いの幅が狭い。不良に近い含水量になるとかなり速くなるが、そうでなければ時計が比較的安定している。

今週は水曜に4ミリ降っただけ。週末は晴れて気温も上がりそうで、ダートはカラカラに近いハズ。土・日とも晴れの良、0.6秒前後遅い時計を想定する。内外互角、やや先行有利。




城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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