台風18号から変わった温帯低気圧が寒冷前線をぶら下げて日本海を東北上し、列島を掃くようにして金曜に雨を降らせた。土曜の朝にはこの低気圧は太平洋側へ抜けてしまっているため開催中の三場への影響はないが、別の低気圧が北陸地方で発生し、土曜の新潟がその影響を受けそう。
新潟は土曜は曇り、低気圧の影響を受けて土曜の夜から日曜の早朝にかけて小雨が降りそう。日曜の開催中は曇り。北風がやや強そう。
東京は土曜は曇り、日曜もほぼ曇りで開催中の雨は降らなそう。土・日とも風は弱そう。
京都は土・日とも晴れ。
【東京芝】
■10月になっても気温が下がらず芝の状態は絶好、先行差し互角、やや内有利
《開幕週 Aコース1週目》
3回東京開催以降の芝の張り替え面積は、29000㎡(16年)→29000㎡(17年)→31000㎡(18年)→36000㎡(19年)で、今年もまた少し増えた。近年はシャタリングやエアレーションによって芝を軟らかく維持していることで芝が傷みやすくなっている様子。また今年の春、雨の開催が多かったことも、芝の張り替え面積を増やした要因だろう。
今年の7月は日照が少ないことが話題になった。また気温もなかなか上がらなかった。そのため夏休みに入るのが遅い東京と阪神は作業日程的にどうかと思われたが、7月の後半から日照不足が解消し、8月以降は例年以上に暑い日が続いた。7月時点での心配が杞憂だっただけでなく、それどころか10月になっても一向に気温が下がらない。野芝がまだ生長期なのではないかと疑いたくなるような、まさに異常な気候。
今週は木曜の深夜から金曜の朝にかけて29.5ミリ降った。雨は昼前に上がった。実は昨年の10月の開幕週もほとんど同じパターンだった。昨年のほうが雨量が少ないが、そのぶん昨年は雨の上がりが後ろにズレ込んだ。
土曜は朝から晴れそう。やや含水ある良を想定し、0.8秒前後速い時計を想定する。日曜は曇りを想定するが、さらに水はけして含水少なめの良で、1.2秒前後速い時計を想定する。風は土・日ともあまりなさそう。先行差し互角、やや内有利。
【東京ダート】
■ほぼ標準の含水率で、標準的な速さのダート、内外互角、先行差し互角
東京は厳冬期の開催で凍結防止剤を使うため、1・2開催の時計が遅く、3・4・5開催の時計が速い傾向があるようだ。今の時期ではだいたい0.5秒速い程度の時計が東京ダートの標準時計になると考えている。
今週は木曜の深夜から金曜の朝にかけて29.5ミリ降った。土曜は重→稍重という推移を想定し、1秒前後速い時計を想定する。日曜は曇りで標準的含水の良を想定し、0.5秒前後速い時計を想定する。風は土・日ともあまりなさそう。内外互角、先行差し互角。
【京都芝】
■状態絶好でもきちんと軟らかくした芝、やや逃げ・先行有利、内有利
《開幕週 Aコース1週目》
芝の張り替え面積は11000㎡(17年)→15000㎡(18年)→17000㎡(19年)で、東京同様に年を追うごとに増えている。8~9年前から張り替えと同時にシャタリング、エアレーションをして芝を軟らかくしているため、芝が傷みやすくなった影響が大きいようだ。
近年秋の台風が多いので、先々の心配はもちろんあるが、その一方急速な温暖化で、現在の気温はまだ芝が生長期にあると疑わせるくらい。そのため芝自体の強度は増しているハズだし、現在の芝はもちろん絶好。
その反面、メンテナンス期間中にシャタリング、エアレーション作業をガッチリやっているからか、秋の京都芝は意外と時計がかかる傾向がある。
今週は火曜に3ミリ、水曜に0.5ミリ、木曜の夜に5.5ミリ、金曜の早朝に12ミリ降った。その後は晴れて、土・日も雨が降る心配はなさそう。土曜は晴れ、標準的含水の良で、タイム差なし前後の時計を想定する。日曜は晴れの良で、0.2秒前後速い時計を想定する。やや逃げ・先行有利、内有利。
【京都ダート】
■標準的含水で標準的な速さのダート、内外互角、やや逃げ・先行有利
京都も東京と同様に凍結防止剤を使う真冬の開催があり、その時期の時計は目いっぱい遅くなり、4月の開催の半ばあたりまで時計的な影響が残ると考えている。逆に秋は台風シーズンでシャブシャブになることがあり、目いっぱい速い時計も出現しやすい。
今週は火曜に3ミリ、水曜に0.5ミリ、木曜の夜に5.5ミリ、金曜の早朝に12ミリ降った。気温が高いので土曜の開催開始までにある程度水はけすると考えて、土曜は晴れ、稍重→良という推移を想定し、0.3秒前後速い時計を想定する。日曜も晴れ、良を想定し、タイム差なし前後の時計を想定する。内外互角、やや逃げ・先行有利。
【新潟芝】
■夏に12日間使われたAコースだが気温が高く状態の回復急、先行差し互角、内外互角
《Aコース1週目》
3回新潟はこれまで秋華賞の週から始まるのが通例だったが、今年は1週間前倒しして3回東京・3回京都と同時スタートになった。新潟の開催日数が増えたからではなく、秋華賞の週に盛岡で交流重賞のマイルCS南部杯が行われるため前倒しになったようだ。
3回新潟で使われる芝コースは夏に12日間使われたAコースであり、また新潟は10月になるとぐっと平均気温が下がるため、夏の芝に比べて芝がかなり軟らかく、傷みやすい印象がある。この先遅かれ早かれ涼しくなるのは今年も間違いないが、インターバル期間の気温が高かったため、ある程度回復して例年より芝が速いんじゃないか、と考える。
今週の中間は雨が降らなかったが、低気圧の通過とともに金曜の午後から降り始めて15ミリ程度降った。昨年の3回新潟の開幕週も金曜に10ミリ降ったが、昨年は朝の雨で今年は夜の雨だ。土曜は曇り、開催開始までにかなりの程度水はけすると考えて、やや含水多めの良を想定し、0.2秒前後速い時計を想定する。
土曜の夜から日曜の朝にかけて5ミリ前後の降水がありそう。だが開催前にやみ、日曜も曇り。含水多めの良を想定し、タイム差なし前後の時計を想定する。先行差し互角、内外互角。
【新潟ダート】
■やや含水多めだが標準的速さのダート、逃げ・先行有利、内外互角
今週の中間は雨が降らなかったが、低気圧の通過とともに金曜の午後から降り始めて15ミリ程度降った。土曜は曇り、稍重→良という推移を想定し、0.2秒前後速い時計を想定する。土曜の夜から日曜の朝にかけて5ミリ前後の降水を考える。日曜も曇り、稍重→良という推移を想定し、0.2秒前後速い時計を想定する。逃げ・先行有利、内外互角。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。