台風14号が紀伊半島の南をゆっくり東に進んでいる。北海道の東に高気圧がある。台風は進路を高気圧にブロックされて進路を失い、勢力も弱めているが、前線に暖湿気が供給されるため幅広い範囲で雨が降りそう。また、とくに土曜は3場とも風が強く吹きそう。
土曜の東京は一日中雨が降りそう。北風(ゴール前直線でスタンドから向こう正面に向かう横風)がやや強そう。京都は午前中雨、その後曇りそう。また北風(ゴール前直線で斜め向かい風)がやや強そう。新潟は曇り。東風(ゴール前直線で斜め追い風)または東南東の風(向こう正面からスタンド側へ吹く横風)が強そう。
日曜の東京は曇り時々小雨。京都は曇り時々晴れ、新潟は曇り。
【東京芝】
■開幕週も雨の競馬で目いっぱい時計がかかる、逃げ馬注意!先行差し互角、やや内有利
《開幕週Aコース1週目》
3回東京開催以降の芝の張り替え面積は、29000㎡(16年)→29000㎡(17年)→31000㎡(18年)→36000㎡(19年)→39000㎡(20年)で、増える一方。近年はシャタリングやエアレーションによって芝を軟らかく維持していることで芝が傷みやすくなっているが、天候不順の影響も大きそう。昨年もそうだったが、今年の春も週末雨に降られることが多かった。
また昨年に続き今年も7月は気温がなかなか上がらず、夏になったのは8月に入ってからだった。ただ昨年と違って今年は9月になると不思議と暑さが引いた。個人的にはコロナの影響で飛行機が飛ばず、陸上交通量も減ったからだと思っているが、単にそういう年だったというだけかもしれない。
一昨年、昨年の4回東京開幕週は雨とニアミスだったが、今年は直前に台風の進路がそれて直撃はまぬがれたものの、とくに土曜の雨量はかなり多そう。ちょっと前までは開幕週の芝だと雨が降ってもある程度持っていたのだが、最近はめいっぱい軟らかくしているので、それがどう出るか。
今週は水曜に6ミリ、金曜以降60ミリ以上降り続いている。土曜はこのまま雨、不良を想定し、2.5秒前後遅い時計を想定する。北風(ゴール前直線でスタンドから向こう正面に向かう横風)がやや強いかも。日曜も小雨が残って不良と想定し、1.5秒前後遅い時計を想定する。逃げ馬注意!先行差し互角、やや内有利。
【東京ダート】
■底付きする状態で目いっぱい速いダート、やや外有利、やや先行有利
ダートは10年位前に砂を洗う際に細かい成分を残すようになってから、少しずつ時計が速くなっている感じ。今年の春は雨が多かったのでとくに速かった。以前は夏のインターバル期間に砂を洗って粒が大きくなっていたため、秋のほうが時計が遅くなりやすかったが、もうその傾向はほとんどない。
今週は水曜に6ミリ、金曜以降60ミリ以上降っている。土曜はこのまま雨、不良を想定し、2.5秒前後速い時計を想定する。土曜は北風(ゴール前直線でスタンドから向こう正面に向かう横風)がやや強そう。日曜は曇り時々小雨、不良を想定し、1.5秒前後速い時計を想定する。やや外有利、やや先行有利。
【京都芝】
■状態絶好でも含水多めで時計がかかる軟らかい芝、やや逃げ・先行有利、やや内有利
《開幕週Aコース1週目》
芝の張り替え面積は11000㎡(17年)→15000㎡(18年)→17000㎡(19年)→8000㎡(20年)。ここまでずっと増えていたが、東京とは逆に今年はここ5年間で一番少なかった。昨年秋から今年の春にかけての京都は、A・Bコースのときに雨が多く、C・Dコースの時は雨にあまり当たってなかった。そのため内目を集中的に張り替えるだけですんだのだろう。
とはいえ秋の京都芝は意外と時計がかかる傾向がある。今年はとくに馬場硬度公開元年に当たるため、馬場の軟らかさ最優先で、シャタリング、エアレーション作業をガッチリやっていると思う。しかも雨が金曜から降り続いている。
今週は水曜に4.5ミリ、木曜に31.5ミリ、金曜にも45ミリ程度、さらに土曜の午前中までに追加で30ミリ程度降りそうだ。
土曜は雨→曇り、不良→重という推移を想定し、2秒前後遅い→1秒前後遅い、という推移を想定する。また北風(ゴール前直線で斜め向かい風)がやや強そう。日曜は晴れ、稍重→含水多めの良を想定し、0.5秒前後速い時計を想定する。やや逃げ・先行有利、やや内有利。
【京都ダート】
■開催前にたっぷり雨が降って速いダート、やや内有利、逃げ・先行有利
今週は水曜に4.5ミリ、木曜に31.5ミリ、金曜にも45ミリ程度、さらに土曜の午前中までに追加で30ミリ程度降りそうだ。
といってもダートは簡単に水はけしないので、土曜は雨→昼頃から曇り、不良を想定し、2秒前後速い時計を想定する。土曜は北風(ゴール前直線で斜め向かい風)がやや強いかも。日曜は晴れ、重→稍重という推移を想定し、1秒前後速い時計を想定する。やや内有利、逃げ・先行有利。
【新潟芝】
■夏に14日間使われたAコースで内に傷み残るハズ、やや先行有利、内外互角
《Aコース1週目》
今年の夏の新潟は開催数が例年より2日多い14日間だった。今開催も引き続きAコースが使われる。写真では夏の傷みはあまり残ってないように見えるが、そうはいっても3回新潟の終わりごろは典型的な外差しになっていた。
また新潟は10月になるとぐっと平均気温が下がるため、夏の芝に比べて芝がかなり軟らかく、傷みやすくなる印象。しかも今年は例年より秋の到来が早かった。
今週は月曜に2.5ミリ、火曜に0.5ミリ、木曜に4.5ミリ降った。台風が遠いため新潟には雨は降らなそう。土曜は曇り、良を想定し、0.5秒前後速い時計を想定する。土曜は東の風(ゴール前直線で斜め追い風)または南東の風(向こう正面からスタンド側へ吹く横風)が強いかもしれない。日曜は曇り、良を想定し、0.2秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、内外互角。
【新潟ダート】
■やや含水多めだが標準的速さのダート、逃げ・先行有利、内外互角
今週は月曜に2.5ミリ、火曜に0.5ミリ、木曜に4.5ミリ降った。台風から遠いので新潟には雨は降らなそう。土曜は曇り、含水多めの良を想定し、0.8秒前後速い時計を想定する。土曜は東の風(ゴール前直線で斜め追い風)または東南東の風(向こう正面からスタンド側へ吹く横風)が強いかもしれない。日曜は曇り、標準的含水の良を想定し、0.5秒前後速い時計を想定する。逃げ・先行有利、内外互角。
城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。