【東京芝】
■春開幕週の前が止まらない芝で、内有利、先行有利
10月20日以来のAコース戻り初日。
他の競馬場の場合、外側のコースからAコースに戻るときは、程度の差はあれグリーンベルト傾向が生じることが多いのだが、今回の東京はDコースからの戻しになり、まるまる9m戻るわけなので、グリーンベルトができた(=内だけがいい)という状況ではなく、コース全体がよくなった、というとらえ方がふさわしい。
Aコースを使用した昨年4回東京開催は最後の1週が台風に当たったが、東京コースならではの水はけのよさが効を奏して、意外なほど芝が傷まずに済んだ。
また今年2月の競馬で東京は大雪に降られたが、このときはDコースを使用していたため、今回の競馬にはあまり影響がない。
今週の週日には月に1.5ミリ、火に3ミリ雨が降っている上、JRA・HPの「馬場情報」を見ると、今週の週日に4回も散水している。これを見て芝が含水している、と考えるのは逆で、それくらい水をまかねばならないほど気温が上がって乾燥しがちである、と考えるのが正しい。
一昨年から「軟らかい」「重い」化に着手した中山と比べると、東京はすでに相当程度「軟らかい」「重い」化を達成している。馬場硬度測定のデータではすでに欧州の芝にかなり近づいた軟らかさになっていて、時計的にも安定している。
ある程度乾燥した芝であり、また気温が上がって野芝、洋芝の根の張りも冬とは段違いに張っているはず。したがって「軟らかい」「重い」芝という範疇において、やや速めの時計が出ることが予想される。0.5秒程度速い芝になると予想する。定石通り前が止まらない芝で内有利、先行有利。
【東京ダート】
■乾燥した力の要るダート、逃げ、先行有利。内有利
芝と違ってダートは年度末が近付くにつれて速くなる傾向がある。夏に補充した砂が流れて全体薄目になるため、寄せて集めて砂厚は同じにしていても、よりふっくら掻き起す感じになってくる。また芝と違って年間を通じてコース替わりがないダートでは同じ砂を使い続けることにより、年度末になるほど砂粒が細かくなる。それらの相乗効果により多少速くなる。先週中山の最終週、砂が乾いていたのに多少速かったのは、それらの効果があったからだと思われる。
だが先週の中山ダートは、昨年夏から数えて5開催を消化した最終局面だったのに対して、今週の東京はまだ4開催目につき、その効果はまだ目に見えるほどではない。
乾燥したやや重めのダートで0.5秒くらい遅く、逃げ、先行有利。内有利。
【京都芝】
■速い芝で、逃げ、先行有利。内有利
昨年4日間使われただけのCコースに戻って開幕週。
Cコースは昨年の11月16日~24日にかけて2週4日間使われた。2週とも雨は降っていない。その前のBコースの時に2週続けて雨が降っていたときに、やや馬群がCコースのほうに逃れる傾向があった。だがそれは逆にCコースをそれだけ馬が走っていないということであり、今のCコースの状態の良さを疑う材料にはならない。
0.5~1秒程度速い芝になりそう。逃げ・先行有利。内有利。
【京都ダート】
■カラカラに近い重いダート、逃げ、先行有利。内有利。人気馬特注
水やりが必要な芝に対しては今週3回も散水していた。それだけ馬場が乾きやすい気候になっている。ダートのほうが構造的に乾きづらいとはいえ、植物に水やりする必要もなく中間に散水していないダートはかなりカラカラに近い状態のはず。
乾燥したやや重めのダートで0.5秒くらい遅く、逃げ、先行有利。内有利。人気馬が特注。
【福島芝】
■芝の状態上々で逃げ・先行有利。内外互角
今週からBコース。
福島は秋以降10日間開催があったが、ずっとAコースが使われてきた。Bコースは今季初のお披露目になる。
福島といえばかつては芝が傷むことで有名な競馬場だったが、優先的にエクイターフへの張り替えを進めた結果、芝自体も相当丈夫になっているし、今期は天候にも恵まれた。Aコース使用10日目最終週の先週に日曜日、逃げ馬が6戦2勝2着3回なのだから、芝のよさは推して知るべしだ。しかも今週からBコースへのコース替わり。
芝自体は昨年よりも4月の芝のほうが遅くなっている。中間にエアレーション等のメンテナンスが入ったと考えられるが、あまり気にしないほうがよさそう。
今週は0.5秒程度速い芝で、逃げ・先行有利。同時に振り回す乗り方も有効で内外互角。
【福島ダート】
■乾いていてもやや速いダート やや外有利、やや差し有利
夏以降の福島は時計がずっと速めだった。先々週多少時計がかかったように見えたが、先週になるとまた時計が速くなった。土日ともカラカラのダートになるはずだが、ほぼタイム差なしの時計と予想できる。内外互角、先行・差し有利。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。