【東京芝】
■先週より多少速くなる。内外互角、先行差し互角。
Aコース3週目。
Aコースを使用した昨年4回東京開催は最後の1週が台風に当たったが、東京コースならではの、水はけのよさが効を奏して、意外なほど芝が傷まずに済んだ。また今年2月の競馬で東京は大雪に降られたが、このときはDコースを使用していたため、今回の競馬にはあまり影響がない。したがって現在の芝の状態は上々といえる。
一昨年から「軟らかい」「重い」化に着手した中山と比べると、東京はすでに相当程度「軟らかい」「重い」化を達成している。馬場硬度測定のデータではすでに欧州の芝にかなり近づいた軟らかさになっていて、時計的にも安定している。
先週は水曜日に22ミリ、木曜日に9ミリ降ったが、それ以降は雨がほとんど降っていない。先週と比べると今週のほうが少し乾いているはずだが、先々週もほとんど雨が降ってなかったが、週4回散水していたため、先週とほぼ同じ程度の時計だった。今週も週日の連続散水の効果が多少見込める。
だが今週は先々週よりもさらに降ってないし、散水も週3回だったことを考慮して、先週よりは多少速くなっても不思議ではない。先週がタイム差なしだったので、今週は0.5秒程度速くなると考える。内外互角、先行差し互角。
【東京ダート】
■乾燥しているが速め、先行差し互角。やや内有利
芝と違ってダートは年度末が近付くにつれて速くなる傾向がある。夏に補充した砂が流れて全体薄目になるため、寄せて集めて砂厚は同じにしていても、よりふっくら掻き起す感じになってくる。また芝と違って年間を通じてコース替わりがないダートでは同じ砂を使い続けることにより、年度末になるほど砂粒が細かくなる。それらの相乗効果により多少速くなる。
現在の東京ダートにも多少その傾向が見られる。また先週は週日に多少雨が降ったので土曜日が0.8秒前後速く、日曜日が0.3秒前後速かった。今週は先週より砂が乾いているはずなので、0.2秒前後速い時計になると考える。先行差し互角、やや内有利。
【京都芝】
■速い芝だが、差し有利。外有利
Cコース3週目。
京都の1週目は1~1.5秒速かった。土日の間にマイラーズCなどで2つもレコードが出たことなどもあって、「超高速芝」かと世間は色めきたったみたいだったが、週日にある程度まとまった雨が降って、先週の時計は「ちょっと速めの芝」程度に落ち着いた。
今週は月曜日に0.5ミリ降り、その後は降っていない。その代り週2回散水している。京都のほうが東京よりも水はけが悪いので、この散水の効果はある程度見込める。散水の主目的は芝への水やりだが、副次的に路盤を緩めて多少時計を遅くする効果もある。また、速すぎる時計は馬場造園課がもっとも嫌うところなので、金曜日の午後または土曜日の競馬終了後に散水する可能性がある。
ただし京都はこれが夏前の最後の開催なので、馬や整備車両に踏まれることで自然と路盤が締まっている。
それに対してどれくらい散水の効果があるか、ということだが、先週よりは速くなりそうだが、先々週ほどは速くならないと考えて、1秒前後速い芝になるのではないか。そうなると「超高速芝」とまではいかなくとも「高速芝」程度になる可能性はある。
とはいえ先週の競馬を見るとかなり差し馬が来ていた。芝の具合はよいが、やや内外で差があり、前が止まらない芝ではない。差し有利。外有利。
【京都ダート】
■軽めのダートで先行差し互角。やや外有利。
京都は夏前の最後の開催で、使い込まれてやや砂が細かくなりダートが軽く、速くなっている可能性がある。
先週は土曜日が0.9秒前後遅く、日曜日は0.3秒程度遅かった。今週は先週よりも雨が少なかったので、カラカラのダートになる可能性があるが、同じようにカラカラのダートになった先々週がそれほど遅くならなかったことから、タイム差なし~0.5秒ほど遅い範囲の時計になると予想する。差しやや有利。外やや有利。
【新潟芝】
■芝の状態上々だが先行差し互角。やや外有利。
Bコース2週目。
新潟芝コースが使われるのは前年の10月以来で、しかも今回は初めてのBコース。また新潟といえば野芝100%で「速い」という印象があり、今回もいかにも速くなりそうだが、昨年の春から新潟の芝はかなり遅めにシフトしてきている。今回も中間にエアレーション作業が入ったことがJRA・HPに明記されている。従来の新潟のイメージは多少修正して臨む必要がある。
開幕週の先週の時計はタイム差なしだった。だが先週は週日に雨が降ってないのに対して今週は月曜日に2.5ミリ、火曜日に1.5ミリ、木曜日に2ミリと、少しずつ降って、芝のためには理想的な降水になっている。さらに新潟は金曜の夜から土曜朝にかけて雨が降る予報が出ている。
土曜日以降は晴れるとしても、芝はちょっと軟らかめで先週より遅く、タイム差なし~0.5秒遅い範囲の時計になると考える。先行差し互角。やや外有利。
【新潟ダート】
■多少締まったダート、先行差し互角、やや外有利
「新潟ダートは昨年の秋から目立って速くなっている。ローカルダートの新砂の補充は2年置きのことが多く、今年の夏前に補充されると思う。とりあえずJRA・HPには何も書いてないが、中間に補充された可能性もあるので午前中の時計には要注意だ」と先週書いたが、先週の時計は土日とも0.7秒程度遅く、これまでの経緯からするとかなり遅くなっていた。たぶん砂の補充があったたのだと思う。
ただ先週は土日ともカラカラのダートだったが、今週は週日に雨が降っているので、先週と比べれば速く、タイム差なし~0.5秒程度速い範囲になると予想する。先行差し互角、やや外有利。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。