【東京芝】
■春東京の最終週。外有利、差し有利
2週目のDコース。春東京の最終週。
東京は安田記念があった週日に連日大雨が降り、土日続けて超不良馬場になった。強靭な東京の芝もこの週の競馬で一気に傷みが進んだ。その翌週も週日に雨が降り、傷みが定着した。
先週からDコース替わりしたが、Dコースは2月の1回東京で8日間使われた上に、大雪を経験しているので、もともとそれほど状態はよくなかった。土曜日はコース替わりの効果に加えて、芝が乾いていたことで、1.2秒前後速くなったが、日曜日になると正午までに10ミリの降雨があり、含水して路盤が緩んだことで、逆に1秒前後遅くなった。
今週の府中の天候が微妙だ。予報によると本日以降、土、日とも降水確率60%以上なのだが、週日の25日、26日、27日に降らなかったし、28日も午後4時の時点でまだ降っていない。だから怪しい天候のままこのまま降らずに競馬すればタイム差なし程度の速めの馬場になる可能性もあるが、5~10ミリ程度でも降れば、すでに芝は相当傷んでいるので、1~2秒程度時計がかかる芝になる可能性もある。さらに20ミリ以上降れば4~5秒遅くなるだろう。
いずれにせよ先週日曜日の稍重の競馬で急速に内の芝が傷んだはず。画面で見ても直線の内8m程度の幅で芝がかなり傷んでいるように見える。そのため大きく外に持ち出しても間に合うようになっている。降雨なしでも外有利、差し有利。内の馬、先行馬が来ないとはいえないが、差しを得意とする馬が外に持ち出してもっとも能力を発揮しやすい馬場であることは間違いない。雨量が多くなった場合は、外有利は同じだが、差し馬が切れ味を発揮しづらくなるため先行差し互角になる。
【東京ダート】
■もっとも差しやすいレンジで、やや外有利、差し有利
春のダートは前年の夏に補充した砂が流れて全体薄目になるため、時計が速めになる。先週は土曜日が乾いた状態で1.3秒前後速く、日曜日が稍重程度に含水して1秒前後速かった。要するに1秒速いのがベースで、そこから雨の降り方、雨量によってどれくらい速くなるか、という話になる。
先週の競馬は、砂が乾いていた土曜日は先行有利だったが、降水があった日曜日は一転して差し馬有利になった。今週は天候が微妙だが、まったく降らなかった場合も1秒程度速くなるはず。雨が降ったとしても不良にはならないと思うので、1.5秒速い~2.5秒速いあたりに収まるはず。もっとも差しやすいレンジで、やや外有利、差し有利。
【阪神芝】
■内回りはやや内有利、やや先行有利、外回りは内外互角、先行差し互角で大外一気注意。
Bコース2週目。3回阪神の最終日。
A、Bの2つしかコース設定がない阪神のシーズン最終週の芝、ということで、通常ならかなり内が傷んで外差しになっていても不思議ではないところ、今期の阪神は昨年夏以来天候的なめぐりあわせがよく、芝の傷みが未だそれほど進んでいない。また3~4コーナーが2つある有利さも大きく、芝の傷みが最低限に抑えられている。洋芝を長く伸ばしているため傷みが目立たないということもあるが、先週の競馬を見る限り最後の直線でも依然として内の馬が優勢を保っていた。
先週も同じことを書いたが、コーナリングは内ピッタリを回りたいが、直線部分は外に行くに従って芝がよくなる。これまでは大外まで持ち出すより内目で勝負するメリットが大きかったが、今週は外に持ち出すメリットと内を回る距離得が拮抗し、とくに外回りは大外一気が十分ありうるはず。
先週の芝は乾いていたが、今週は週日の火曜日に5ミリ、木曜日に6ミリ、金曜日に4ミリ降り、芝はそれなりに含水がある。梅雨の最中なので週末に降る可能性もあり、予報によれば土曜の夜に降る可能性が高い。だが低気圧に挟まれた関東に比べて阪神は高気圧に押される形なので、降ったとしてもそれほど降らない可能性が高い。
先週の土曜日は乾いた芝で0.5秒前後速く、日曜日は朝に9ミリ降り稍重になって0.7秒遅くなった。今週は週日に雨が降っているため、先週の日曜日とほぼ同じ程度と見込んで、タイム差なしから0.7秒遅い範囲の時計になると考える。内回りはやや内有利、やや先行有利だが、外回りは内外互角、先行差し互角で大外一気注意。
【阪神ダート】
■軽めのダートで先行差し互角。やや外有利。
6月の阪神ダートは砂が細かくなることと、雨に降られることの相乗効果で速くなることが多い。先週の土曜日は乾いてパサパサのダートだったが、春のダートにつき時計的にはそれほど遅くなく、0.5秒程度速かった。日曜日は稍重のダートになり、1秒少々速くなった。
今週のダートは先週日曜日のダートに近くなるはずで、1秒少々速くなると思う。ただし土日にまったく雨が降らなかった場合、日曜日には砂が乾いて「0.5秒速い」程度にまで遅くなるかもしれない。差しの効くレンジで先行差し互角。やや外有利。
【函館芝】
■洋芝のびっしり生えた重い馬場、内有利、先行有利
開幕3週目のAコース。
今年は5年ぶりに発生するというエルニーニョ現象の影響で、6、7月の北海道が多雨、低温になるのでは?という予測があったが、先日気象庁が「そうならない」と中期予報を修正した。週末ごとに雨に直撃されるような事態になりさえしなければ、今どきの洋芝馬場は2開催12日間程度の競馬ではそう簡単には傷まない。
先々週は木曜日に25ミリ、金曜日に36ミリ降ったが週末は晴れ、土曜日が0.7秒速く、日曜日は0.3秒速い時計になった。平年なら開幕当初は1.5~2秒も速くなるのが普通なので、平年と比べると開幕週としてはほぼ1秒遅い馬場だった。週日の雨で含水があったことに加えて、昨年のロング開催で芝が傷んだため、例年よりも大面積を張り替えたため、その分今期は芝が軟らかめなのかもしれない。先週も週日の降水で多少含水した馬場で土日とも0.5秒前後速かった。
今週は週日に雨が降っていないが、週4日も散水している。中央場の芝コースのように広くないので水撒きの効果はかなりあるはずで、今週も芝の軟らかさは先週並み、洋芝の傷んだ分を考慮してタイム差なし前後の時計になると予想する。コース形態から内有利、先行有利。
【函館ダート】
■小回り&力を要する馬場、さらに先行有利、内有利
今年の昨年の函館ダートも昨年並みにかなり速め。砂を足している感じはないが、先週は週日に多少雨が降って土曜日は良ながら1秒前後速かった。日曜日は乾いた良でタイム差なしだった。
今週は先週の金曜日以来雨が降っていないので乾いた馬場スタートになる。日曜日に雨が降る可能性はあるが、少々の雨ならそれほど速くならない。0.5秒遅い~タイム差なしの時計になると予想する。小回り函館の砂が乾くと、いっそう先行有利。内有利。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。