【福島芝】
■内外とも上々の状態、内有利、先行有利。
開幕週のAコース。
かつての福島の芝は3回福島の前半戦を除きだいたい傷んでいたが、今の福島の芝はそこまで傷まなくなった。それは芝の傷みやすさ解消のため優先的に"エクイターフ"への張り替えを進めたこともあるが、それ以上に大きいのは芝のレース数の激減だ。
かつては2回降級する仕組みだったため、降級馬と3歳馬の同時参入で夏から秋にかけて500万条件馬があふれ、3回福島開催がその受け皿になっていたが、2006年夏季開催以降のクラス分け方式の改訂で降級が1回だけになったため、500万条件の在籍馬が年を追って減った。そのためかつては5週10日も競馬していた3回福島が、現在は3週6日間しか開催しないで済むようになった。それが福島の芝へ与えた影響は大きい。もはや福島は“芝が傷みやすい競馬場”ではない。そのことは肝に銘じておく必要がある。
さて現在の福島芝は、というと、昨年の秋以来12日間(Aコース10日間、Bコース2日間)しか競馬していないのに加えて、昨年の秋以来ほとんど開催が雨らしい雨に降られたことがない。もちろん芝はそれなりに傷んでいるが、3~4コーナーの内側約500mの芝を張り替える等中間にメンテナンスしていることもあるし、少なくとも今週来週は内外とも上々の状態と期待できる。
昨年3回福島の芝が速かったのに対して、今年1回福島の芝は2秒ほども遅くなっていた。徐々に時計がかかるようになっていったのではないので、1回福島の芝が遅かったのは芝が傷んだためではなく、芝を積極的に軟らかく管理しているせいだろう。おそらく今回(2回福島)の芝も1回福島並みの時計になると考えられる。
福島は先週の土曜日に22ミリ、日曜日に55ミリ、月曜日に7ミリ降り、水、木と散水した。金曜日に数ミリ降り、土曜日も多少降りそうだ。開幕週の馬場なので、おそらく良判定で、なったとしても稍重だろう。ふっくらした感じの、0.3秒前後遅い中速の芝になると考えられる。内有利、先行有利。
【福島ダート】
■含水高くやや速め。先行有利、内外互角
1回福島終了後クッション砂を足した、とは書いてないが、全面的に洗浄した、とある。クッション砂を洗浄すると細かい成分が洗い流されてある程度砂が粗めになるため、馬場状態を度外視しても時計がかかり気味になる。
また福島は先週の土曜日に22ミリ、日曜日に55ミリ、月曜日に7ミリ降り、金曜日に数ミリ降り、土曜日も多少降りそうだ。気温は高いが湿気も高いのでカラカラのダートにはならないはず。それらを勘案してタイム差なし~0.5秒速い程度の時計と予想する。先行有利。同じ小回りダートでも函館などと違って福島ダートは外枠の馬が比較的好走する傾向がある。内外互角。
【中京芝】
■含水あり内が軟らかめ、先行差し互角、内外互角。
中京は芝の張替えが8月と遅く、冬の開催が続くため、他の競馬場よりも芝が傷みやすい条件が揃っている。そのため他の競馬場に比べて外差しの馬場になりやすいという特徴がある。
昨年の秋以来Aコースは12日間も使われている。しかも2回中京の最終日には当日に48ミリも雨が降ってドボドボの馬場になっていた。JRA・HPの『馬場情報』には「競走で傷んだ内柵沿いを中心に洋芝の追加播種を実施するとともに、コース全面に更新作業を施しベース野芝の生育促進を図りました。その後も施肥や散水等の生育管理に努め、全体的に芝の状態は良好です」とある。洋芝を多めに伸ばして初日は芝が回復しているように見えるはずだが、内が軟らかめであることは間違いない。
しかも今週は木曜日に19ミリ雨が降ったし、金曜日の夜半から土曜日朝にかけても多少雨が降りそうだ。開幕週といっても力の要る馬場で、前が止まらない馬場ではない。0.3秒前後遅くなると予想する。先行差し互角、内外互角。
【中京ダート】
■含水ありやや速め、先行差し互角。内外互角。
中京は昨年の秋競馬前に砂を足した感じで、基本的にはやや重めのダートになっている。だが今週は木曜日に19ミリ降り、金曜日の夜半から土曜日朝にかけても多少降りそうなムード。このまま降らなかったとしてもカラカラの馬場にはならない。したがって0.5秒程度速い馬場になると予想する。先行差し互角。内外互角。
【函館芝】
■依然として良好な芝。内有利、先行有利。
2回函館初日。1回函館から通算して4週目のAコース。
洋芝の特徴は徐々に傷みが蓄積することで、それはタイムに如実に現れる。だが今年の函館は1週目こそ多少含水のある芝だったが、それ以降は雨という雨には当たっていない。その分週日に積極的に散水しているが、これは洋芝が維持管理するのに野芝以上に水を必要とするためで、こうした散水が原因で芝が軟らかくなることはない。
平年よりも開幕当初の時計は遅めだった。これは昨年のロング開催を受けて張り替え面積が平年より多めだったため、平年よりやや路盤が軟らかめであることを示している。だがそこから先週までほとんどタイム的な変化がないということは、今の芝の状態が非常によいことを示している。
先週は0.3~0.6秒速い馬場だった。今週はもう少し遅くなって、タイム差なし~0.3秒速い範囲の時計になると予想する。芝の傷みが進んでいない以上、コース形態から内有利、先行有利。
【函館ダート】
■小回り&力を要する馬場、さらに先行有利、内有利
函館は昨年以降砂を足している感じはなく、もともとの時計がかなり速め。だが今週は気温も上がっているし、雨も降りそうもない。先週以上に乾いたダートになると予想される。
先週は10日ほど雨が降っていない乾いた馬場で、0.5秒遅い~タイム差なしの時計になった。今週はさらに乾くため0.5秒遅い前後の時計になると予想できる。小回り函館の砂が乾くといっそう先行有利。内有利。ただし土曜日が典型的にそういう競馬になった場合、日曜日はその反動がある場合があるので差しと外の馬にも気を配ること。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。