【新潟芝】土曜:良 日曜:良
■芝が完成しタイムも昨年並みに戻った
新潟は年間を通じて野芝だけで競馬する唯一の競馬場である。そのため他場と違ってオーバーシードのイタリアンライグラスを剥がす手間がいらない。しかも2・3回新潟は野芝の最盛期の開催になる。
ただし新潟は気候的に春は芝の成長が遅いため、1・2週目はまだ完成途上で3週目からほうがよくなることが多い。また今年は開幕前にエアレーション作業とシャッタリング作業を行ったこと、開幕週の週日にかなり大量の雨が降ったことなども影響して、1・2週目は例年より1秒少々余計に時計がかかった。
だがその後は気温も上がり、芝もほぼ完成した様子で、先週の競馬はほぼ昨年並みのタイムだった。これからずっとAコースの競馬が続くが、できあがった夏の野芝は春や秋の野芝とは比較にならないほど丈夫。土日の競馬で傷んでも平日に休んでいる間に相当戻してしまうので、内が傷んで差し馬場になる期待は当分しないほうがいい。
新潟は直線が長いので、長い直線の競り合いで内に押し込まれるのを嫌うため、現状でもやや外有利。これは内の芝が傷んでいるわけではない。競り合いになったら内ぴったりを走ってもまったく遜色ない状態だ。ただし速くなる分内が窮屈になるリスクがあり、やや外有利を見込んだほうが得策なのだ。

【新潟ダート】土曜:良 日曜:良
■速い時計が出る馬場
先週は土日ともカラカラの良馬場だったが、土曜日の時計は0.5秒ほど速く、日曜日の時計は標準だった。カラカラ天候を見込んで、土曜日の競馬開始前に大目に水をまいた可能性はある。
土曜日は6Rと8Rの時計が速かったが、いずれも逃げ馬、番手馬の行った行ったの展開。かなり軽いダートとみてよく、今後はもっと速いタイムが出そうだ。とくに土曜日は持ち時計のある先行馬に注意。
【小倉芝】土曜:良 日曜:良
■外の馬、差し馬が狙い目
小倉は通常はイタリアンライグラスのオーバーシードの芝で競馬をしているが、夏はオーバーシードなしの開催。ただし、野芝だけという点では新潟と同じだが、こちらは1回小倉まで生やしていたイタリアンライグラスを消す手間が大きく、夏の新潟の芝ほど粘っこい強靭さは期待できない。
改めて見直してみると夏の小倉は雨が少ない。夏の小倉は2010年以来の44日間開催があったが、そのうちメインレースの芝が良以外になったのはたったの3日しかない。小倉開催が始まる7月最終週には小倉はほぼ梅雨明けしているためだ。
それもあって夏の小倉の芝は最初の1~2週の時計が非常に速い。今年も先週の時計は標準より1秒少々速かった。だが小倉は芝コースの幅員が広く、フルゲート18頭立てでレース可能なコースが多い。しかも芝のレース数が非常に多い競馬場なので、1・2週のような芝が「ものすごく速い」状態はそう長くは続かない。
先週の小倉から多少時計が落ち着いてきた。Aコース7日目でかなり芝が傷んできた、といっても夏の芝だけにそう悪くなったわけではなく、依然として内も速く、ちょっとでもペースが緩めば逃げ・先行馬の行った行ったになるのが見えている。そのためペースが緩められない。Aコース最終週でもあり外の馬、差し馬を狙うには絶好のタイミング。

【小倉ダート】土曜:良 日曜:良
■カラカラ馬場だが先行有利
先週は土日ともカラカラの良馬場で、土日とも標準時計。土曜日の時計は0.5秒ほど速く、日曜日の時計は標準だった。
今週も雨は降りそうもない。相変わらずカラカラの馬場で、切れ味が期待できない分パワー型の先行馬が有利。
【函館芝】土曜:稍重 日曜:良
■Cコース替わりで先行有利のまま
開催が始まる前にいろいろシミュレートしてみて、今年の函館は雨さえ降らなければ最後まで速いまま行くんじゃないか、と思ったが、ついに先週まとまった雨が降った。開催時間にはすでに雨は止んでいたが、テレビの画面からもコースに土埃が立っているのが見えた。芝が傷んできたシルシだ。
だが運のいいことに今週からCコース替わりだ。函館はコース替わりで直線部3m、コーナー部4m柵が移動するので、傷んだ部分があらかたカバーされてしまう。外に行くに従いよくなる芝であっても、小回りでゴール前直線が短い函館の場合、コース替わりによって先行有利・内枠有利が維持されると見たほうがいい。
函館は今週も天気が怪しく、とくに日曜日は雨になる可能性が大きい。土曜日から雨が降り始めたとしても、降り始めのうちはこれまでの良好な馬場状態を引きずって先行有利。とくに逃げ馬注意だが、土日を通じて雨の競馬になれば日曜日は一気に差し馬場に傾く可能性がある。
【函館ダート】土曜:稍重 日曜:良
■今週は前崩れ期待
先週は雨が降って土曜日の時計が1秒程度速くなった。日曜日の時計は0.5秒程度速かった。
今週も雨が降れば先週並の時計になりそうだ。コース形態から先行有利なので、普段から先行争いが激しい。雨が降って速くなっても基本的に同じ流れなので、稍重以上なら前崩れが期待できそうだ。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰める業界屈指の取材力を持ち、 JRA馬場造園課など独自のコネクションも数多く築いている。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。