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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2015年02月06日(金)更新

今週の馬場傾向【凍結防止剤の影響は?】


【東京芝】


■やや力の要る芝で、やや内有利、やや差し有利


《Dコースの2週目》
Dコースは昨年の秋は使わなかったので、先週が使い出しになる。昨年のCコース使用の時にDコース側にもはみ出して走っていたことはたしかだが、Cコースの芝の状態がよかったので、Dコースの側にはみ出して走っている馬はそれほどいなかった。したがってDコースの状態はピカピカに近かった。だが先週の金曜日に雨量換算で11.5ミリの雪が降り、土曜日の朝から数百人体制で雪かきが行われた。もともとの芝にダメージがあると雪かきで一気に芝が傷んでしまうこともあるが、今回はもともとの芝の状態がよかったので、表面が荒らされただけで、芝自体(芝の保持力を担っている地下茎のマット)の傷みはあまり進まなかったはずだ。

 今週は木曜日に6ミリ雨が降り、金曜日正午の馬場発表は「稍重」。金曜日は晴れ、週末は土曜日は晴れて日曜日は曇り時々雨の予報だ。気温もある程度上がっているし湿度も低いので、土曜日の芝のレース開始までには良馬場になるだろう。日曜日に雨がどれくらい降るかわからないが、最後まで良馬場のまま推移すると考える。先週は土曜日が稍重、日曜日には良に回復したが、土日とも0.5秒前後遅かった。今週はそれよりは速くなり、0.3秒遅い~タイム差なし前後の時計になるはず。

 真冬は明け方に霜の形で降りてきた空気中の水分を地面が吸い込むため、雨量は少なくても他の季節のように乾いた良にならず、ある程度軟らかい状態を保ちやすい。先週はコース替わり初週ということもあってハイペースになることが多かったが、芝が力を要求する状態だったため、差し・追込み馬の台頭が多かった。今週も同様にやや力の要る芝で、やや内有利、やや差し有利。




【東京ダート】


■多少力の要るダートで、やや差し有利、やや外有利


 先週は金曜日に雪が積もり、徹夜でハロー車を走らせて土曜日の競馬を迎えた。土曜日は一日中不良で1.5秒前後速く、日曜日は一日中重で約1秒前後速かった。

 先週も書いたが、この時期話題になるのが凍結防止剤の使用である。先週の土曜日は不良で1.5秒速かったものの、他の時期の不良なら2.5~3秒近く速くなることもある。また日曜日が重で1秒前後速かったものの、これも他の時期の重ならやはり1.5~2秒近く速くなることが多い。その約1秒の差が凍結防止剤が入っているか入っていないかの差なのかもしれない。先週のこのコーナーで「凍結防止剤の影響を考えるとすれば、日曜日のゴール前で多少先行馬の脚を鈍らせるように働くかもしれない」と書いたが、おおむねその通りになり、土曜日は前が止まらない状態、日曜日は外差しの競馬になった。

 今週は木曜日に6ミリ降り、金曜日正午の馬場発表が重だったが、土曜日の午前中が稍重で、午後には乾いて良になるのではないか。カラカラの良なら凍結防止剤が入っている・いないはほとんど関係ないはずだが、冬のダートは良といっても一定の水分は含む。それでどっちに転ぶかというと、コンマ数秒遅くなると思う。土曜日は晴れて0.5秒くらい遅くなる。日曜日は曇り時々雨の予報だが、時計は土曜日とそれほど変わらないだろう。やや差し有利、やや外有利。




【京都芝】


■含水少なく前が止まらない芝で、先行馬有利、やや内有利


《Bコースの2週目》
昨年秋からここまでの京都は、Aコース9日間→Bコース4日間→Cコース7日間→Aコース9日間→Bコース2日間というコース・ローテーションだった。今年はどの競馬場もそうだが、京都はとくに天候に恵まれてこれまで芝が稍重になった日が5日しかなく(先週の土曜日の午前中のレースが久々に稍重になった)、重以上にはなっていない。

 先週から使われているBコースは昨年4日間、先週2日間使われただけで、Aコースと比べればその負担は全然軽い。先週からBコース替わりして内がほぼ一新し、全体としても相当状態がよくなった。先週は金曜日に6ミリ雨が降り、土曜日が稍重から良で0.6秒前後遅く、日曜日が良で0.4秒前後遅かった。

 今週は金曜日に2.5ミリ降ったがこれは散水程度の量で、金曜日正午の馬場発表も「良」だった。明日は曇り一時晴れの予報で、若干乾き目で0.3秒速い~タイム差なし前後、日曜日は曇り時々雨の予報だが、馬場状態を変えるほどの降水はないと考えて、タイム差なし~0.5秒遅い前後の時計になるだろう。先週の競馬で正面と向う正面の直線の内側の傷みは多少進んだにしても、コーナーの傷みがまだ少ないので、先週同様にまだある程度先行馬有利と考えていいはず。やや内有利。




【京都ダート】


■乾いて力が要る状態、先行差し互角、内外互角


 ここ数週間京都のダートはずっと重以上で、ずっと時計が速かった。だが今週は金曜日に2.5ミリ降って、金曜日正午の馬場発表が「稍重」だった。先々々週→先々週→先週→今週と含水量が減っていて、今週のダートは冬のダートにしてはかなり乾いているほうと考えられる。また今週の金曜日には凍結防止剤をまいている。凍結防止剤の影響をどれくらい見積もるべきかははっきりしないが、いずれにしても今週のダートは少なくとも土曜日は良になり、ある程度時計もかかり、力も要るはず。0.5秒前後遅いダートになりそう。日曜日は曇り時々雨の予報だが、馬場状態を変えるほど降らないと考える。タイム差なし~0.5秒速いダートか。

 先週は内有利でやや先行有利だった。今週はいくらか力が要る状態になる分、先行差し互角、内外互角になる。




【小倉芝】


■Aコース初日も含水あり、先行馬と差し馬の組み合わせがありがち


《昨年夏以来の開催のAコース》
小倉は8月いっぱい競馬をした後に、芝の張替え等の作業をするので、この開催の芝はまっさらで、間違いなく年間でもっとも状態がいい。中央場と違って1日の芝のレース数が7~8レースと多いが、それでも他の本州のローカル場と違って障害戦をやらなくていいのは大きい。芝は内側から少しずつ擦り減っていくように傷んでいくが、そう簡単に時計のかかる状態にはならない。  ただし水曜日に2.5ミリ、木曜日に15ミリ、金曜日に2.5ミリ降り、金曜日正午の馬場発表が「稍重」だった。口開けのまっさらの芝であることはたしかだし、土曜日の開始早々には良になるはずだが、路盤はやや軟らかめで、土曜日が0.5~1秒遅い芝、日曜日は0.5秒遅い~タイム差なしの芝になると考えられる。前が止まらない芝の範疇で先行馬が勝つことが多いが、ペースが速くなりすぎて相手は差し馬になることが多い。やや内有利、やや先行有利。




【小倉ダート】


■速いダートで、逃げ先行有利、やや外有利


 今週は水曜日に2.5ミリ、木曜日に15ミリ、金曜日に2.5ミリ降り、金曜日正午の馬場発表が「不良」だった。ローカルのダートは休みを挟んで砂を補充するとまったく傾向が変わってしまうこともありうるが、小倉のダートは水はけがとくに悪いようで、昨年同時期のダートと同じと考えていいなら土曜が不良、日曜日が重になり、いずれも2秒弱速いダートになりそう。逃げ先行有利。やや外有利。



プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。


城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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