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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2015年02月20日(金)更新

今週の馬場傾向【東京・京都最終週】


【東京芝】


■向う正面の内が傷み気味でやや外有利、やや差し有利      


《Dコースの4週目。1回東京の最終週》
 Dコースは冬の1回東京開催で8日間こっきり使われる。とはいえ真冬の開催で野芝が冬眠状態なので、他の開催のときに比べると芝の傷みが進みやすい(地下茎が千切れたり、擦り切れたりしやすい)。先々週あたりから向う正面の内側を中心に傷みが進行している。週日のメンテ作業で掘れた部分に土を戻すので、1週間たつと外見上は落ち着いて傷みは目立たなくなるが、切れた地下茎が戻るわけではない。路盤が乾いていればある程度保持力は戻るが、蹄が当たれば掘れやすい状態になっている。

 先週は週日の雨がなく、路盤が乾いて土曜日は0.5秒前後速かったが、日曜日になると0.5秒前後遅くなった。雨が降ったわけでもないのに日曜日に時計がかかるようになるのは芝の傷みが進んでいるシルシと考えられる。

 今週は火曜日に2.5ミリ、水曜日に5ミリ降って先週より路盤の含水が多少多いが、一日中晴れの予報の土曜日はタイム差なしと考えるのが妥当だと思う。翌日曜日は雨が降らなくても0.5秒程度遅くなる。ただし予報は曇り一時雨。何時ごろどれくらい降るかがわからないが、今の東京だと数ミリの雨でも影響は大きいハズ。数ミリ以上雨が降った場合はそれ以降1秒以上遅くなると考える。その場合ある程度力の要る馬場で差し有利。ただし東京は競馬が終わってから雨が降る可能性のほうが高いと思う。先週の共同通信杯で内めのリアルスティールがドゥラメンテに結果的に差し比べで勝ったように直線は内からでも差せる状態だが、向う正面の内が傷み気味なので先行馬と内の馬は有利ではない。やや外有利。




【東京ダート】


■乾き気味の標準的なダートでやや外有利、やや差し有利。


 先週は雨が降らず、もうもう埃が上がるほど乾いたダートで、土曜日が0.3秒前後遅く、日曜日は0.5秒前後遅かった。今週は火曜日に2.5ミリ、水曜日に5ミリ降って先週よりは含水が多いが、土曜日が1日中晴れる予報なので早めに乾くはずで、土曜日はタイム差なし前後になるだろう。日曜日は曇り一時雨の予報だが、数ミリの雨ですぐに速くなることはないはず。それに競馬が終わってから雨が降る可能性のほうが高いと思う。やや外有利、やや差し有利。




【京都芝】


■雨が降らなければ依然として先行有利、やや内有利


《Bコースの4週目》
 昨年秋からここまでの京都は、Aコース9日間→Bコース4日間→Cコース7日間→Aコース9日間→Bコース6日間というコース・ローテーションだった。今年はどの競馬場もそうだが、京都はとくに天候に恵まれてこれまで芝が稍重になった日が5日しかなく、重以上にはなっていない。また現行のBコースは昨年と今年の開催を合わせて10日間使われたが、とくに今年に入ってからは1日4レースと極端に芝のレース数が抑えられている(たぶん2回京都の天皇賞への配慮のため)。そのため芝の傷みが進行しづらい。

 JRA・HPの「馬場情報」の記述は先週同様に「向正面直線、外回り3~4コーナー及び正面直線に部分的な傷みがあります」だった。「部分的な傷みがあります」を言い直すと、集中的に傷んでいる箇所がないということで、先々週から芝の状態に大きな変化がないことを示している。京都記念は逃げ馬のスズカデヴィアスと2番手から行ったラブリーデイのワンツーで、キズナとハーブスターに追いつかせなかったのは展開の助け以上に芝の助けがあったからだ。

 先週の京都には降雪の予報があったが、結局雪は降らず、芝は土日ともずっと良のままだった。京都の芝はレース数が少ない上にスローペースが多く判断は難しいが、土日ともほぼタイム差なし前後だったと見る。今週も火曜日に2.5ミリ降っただけで、少なくとも土曜日の芝はかなり乾き気味で先週並にタイム差なし前後の時計になりそう。したがって土曜日は先行有利、やや内有利。それに対して日曜日は曇り時々雨の予報で、どれくらい降るかが問題だが、東京ほど降水に敏感な芝にはなっておらず、数ミリ程度の降水なら影響はあまり気にならない。だが降るとすれば開催中の雨になる可能性が高く、降ればそれなりに時計がかかるようになる。日曜日も雨が降らなければ土曜日同様先行有利、やや内有利だが、雨の降り方次第で外差し傾向が出てくる。




【京都ダート】


■多少力を要する重で、先行差し互角、内外互角


 先週の京都は1週間雨が降らず、雪予報が出ていた土曜日も雪が降らなかった。カラカラではないが乾き気味のダートで、土日とも0.3秒前後遅かった。とくに土曜日はそれなりに晴れていたし、もっと遅くなっても不思議ではないところ、この程度の遅さだったのは、凍結防止剤の影響で時計の出方がマイルドになっていた可能性がある。

 今週も週日には雨は降らなかった。金曜日正午の馬場発表が「良」で、土曜日はかなり乾き気味になるとすると、0.5秒前後遅くなるはず。ある程度力の要るダートでやや内有利、先行差し互角。日曜日は曇り時々雨の予報で、どれくらい降るかが問題。ただ当日の雨なので凍結防止剤の影響は無視して、雨量が多ければそれだけ普通に速くなると考えていいと思う。内外互角、やや先行有利になる。




【小倉芝】


■前が止まらない芝でやや内有利、やや先行有利


《1回小倉の3週目、今週からBコース替わり》
 小倉は8月いっぱい競馬をした後に、芝の張替え等の作業をするので、1回小倉の芝は年間でもっとも状態がいい。だが中央場と違って1日の芝のレース数が7~8レースと多く、傷みの進行も早い。それでも他の本州のローカル場と違って障害戦をやらなくていいのは大きい。しかも早くも3週目でBコースにバトンタッチして、今週の芝はおおむね一新されたと考えていいはずだ。

 先週は土曜日が0.2秒前後速く、日曜日がタイム差なしだった。先週の芝は乾いた状態だったが、含水があった開幕週とほぼ同じ時計だったのは芝の傷みが進んだからだろう。今週は木曜日に10ミリ降ったが、金曜日正午の時点の発表で芝は「良」だった。今時期の小倉は本州の競馬場より3~4度気温が高いので、芝の乾きが早いようだ。土曜日は曇りの予報だが、気温が上がるし芝の内もよくなるので先週並みの0.2秒前後速い芝だろう。土曜日の夜から日曜日の朝にかけて雨が降りそうなので、日曜日は重になる可能性がある。降水量によって時計がそれなりにかかるようになる。コース替わりしたことで少なくとも土曜日は前が止まらない芝で、やや内有利、やや先行有利。だが土曜の夜から降り始めたとすると、日曜日は1レース消化する度に芝の傷みが進み、最終的にやや外差し傾向が出る可能性もある。




【小倉ダート】


■土は時計がかかるが、日は速くなる。土日を通じてやや外有利、先行差し互角


 先々週は重で速かったが、先週はカラカラに近いくらい乾いた良で土日とも0.7秒前後遅かった。先週は金曜日正午の馬場発表がすでに「良」だったが、今週は木曜日に10ミリ降った影響が残って「稍重」。土曜日は晴れそうなので昼までには良になると思う。その場合0.5秒程度遅くなる。土曜の夜から日曜の朝にかけて雨が降る予報が出ているが、夜間の気温が8度くらいありそうなので、徹夜でハローをかけたりしないだろうから、日曜日に重以上になったら普通に速くなると考えればいいと思う。降り方によって0.5~1秒速い時計で、土日を通じてやや外有利、先行差し互角になる。



プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。


城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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