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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2015年06月19日(金)更新

今週の馬場傾向【函館開幕週の馬場】


【東京芝】


■見かけほど丈夫ではないDコースが重くなり、極端に遅くなる可能性


《今週からDコース》
 安田記念の週から梅雨入りしていたようだが、春の東京のメーンイベントがダービーなので、その翌週からの梅雨入りは担当者にとって「してやったり」みたいなもの。先週のメインレース(エプソムC)のあたりでは向う正面後半~3・4コーナー内側の芝がかなり壊れ始めていたが、芝をできるだけ時計のかかる&傷みやすい&軟らかい状態に維持しつつ、ぎりぎり最後まで保たせるのが今のやり方。天候の助けもあったが今年の東京はその綱渡りに成功したわけで、実にお見事だった。

 今週からDコースになる。そこでJRA・HPの「馬場情報」欄には「移動柵によって傷みがカバーされ、全体的に良好な状態です」とあるが、実際にはこのDコースは真冬の開催で丸々日間使われているから野芝のベースにはところどころ穴が空いている。きれいに見えもそれは洋芝がその穴を埋めているからで、そんなに耐久性のある状態ではない。といっても残るはたかだか2週間なので、晴れの競馬が続けば何の問題もなく終わっていただろうところ、今週はいかにも梅雨らしい天候になりそうだ。

 先週は火曜日に24ミリ降って以降散水もしていない状態で晴れ予報が出ていたため高速馬場になるかと思ったが、曇って気温も上がらず芝の速さが控えめに抑えられたため0.5秒前後速いだけの標準的な芝になった。日曜日も同じような天気でやはり0.5秒前後速いだけだった。前述したように後半のレースではかなり芝が飛んでいて、ちょっとぎりぎり感があった。

 今週は水曜日に27.5ミリ降り、金曜日も午後8時の段階ですでに40ミリくらい降っている。金曜日正午の段階で芝はすでに重だったわけだから、今の状態は間違いなく不良。これから雨が上がっても朝までに重に回復するかどうかは微妙なところ。明日は曇り時々晴れの予報だが、気温がそれほど上がりそうもなく、馬場の回復にはそれなりに時間がかかりそうだ。冬に使われたDコースだけに重くなると一気に緩んで時計がかかるようになる可能性十分で、土曜日は朝一が不良なら4秒、重でも2秒前後遅い時計を想定する。土曜の競馬終了後あたりから再び雨が降り始め、日曜日は曇り一時雨の予報につき、これもまた3~4秒前後遅くなる可能性が十分ある。消耗度の高い馬場になってペースが速いにもかかわらず前の馬が残る展開とかダート巧者が活躍するとかいろいろ考える余地がありそうだ。コース替わり初日の土曜日は内有利、先行有利だが、日曜日になると先行有利のままやや外有利になるかもしれない。




【東京ダート】


■目いっぱい速いダートで、やや外有利、やや先行有利


 先週は金曜日に3ミリ降っただけで午前中稍重のダートになり、土曜日が稍重→良で0.8秒前後速く、日曜は良発表だったがやはり重→稍重で0.8秒前後速かった。

 今週はいかにも梅雨らしい天候で、水曜日に27.5ミリ降り、木曜日に0.5ミリ、金曜日も午後8時の段階ですでに40ミリくらい降っている。東京のダートはイマイチ水はけが悪いことから土曜は回復しても重までだろうし、2.5秒前後速くなると想定する。土曜の競馬終了後から雨が降り始め日曜も曇り一時雨の予報につきやはり2.5秒前後速いダートになると想定する。土日ともやや外有利、やや先行有利。




【阪神芝】


■コース替わりで単純に外に行くほど芝がよくなる。先行差し互角。やや外有利


《今週からBコース》
 先々週あたりからいかにも梅雨時の天気になってきたが、阪神は先週は土日とも晴れ、かなり気温も上がった。芝は秋以来24日目のAコースとは思えないくらい良好な状態で、土曜は前日の正午発表が稍重だったにもかかわらず0.3秒前後速かった。日曜は1.3秒前後速く、久々に阪神に高速芝が出現した。

 東京がすでに3週前にメーンイベントのダービーを終えているのに対して、阪神のメーンイベントは来週の宝塚記念。阪神の芝の年間計画は宝塚記念をいかに良好な状態でやれるかを考えて逆算しているわけだから、現在の状態に限れば阪神の芝のほうが断然よくなければならない。そのためここまでBコースは大切に、大切に使われてきた。先週まで使われたAコースが秋以降24日間も使われてきた(その割には状態は先週の時点でも非常によく見えた)のに対して、今週から使われるBコースは秋以来まだ12日しか使われていない。芝の状態は間違いなく上々だ。

 先週も木金に少量ずつ雨が降り週末晴れたのだったが、今週も木曜に4ミリ、金曜に7ミリ降ったものの、夕方には雨が上がっている。天気が不安定なので予報の信頼性自体が怪しいものの、このまま雨が降らず明日晴れればある程度芝も乾くはずで、土日とも0.5~1秒速い芝になると想定する。先週は見た目はともかくさすがに最内よりやや外めが伸びる傾向が出ていた。さらにコース替わりした今週は単純に外に行くほど芝がよくなるから、今週は先行差し互角。やや外有利になるはず。




【阪神ダート】


■水分を含んだ速いダート。逃げ・先行有利、やや外有利


 先週土曜のダートは午後には良に回復したが、時計的には速いままで1.5秒前後速く、日曜は良に回復したがやはり1秒前後速かった。

 今週は金曜日正午の段階でダートは重だったが、その後雨は止んでいるし、阪神のダートは水はけがいいので、土曜の午後には良に回復する可能性が高い。とはいえ先週ほど気温が上がらない可能性が強い。であれば先週並かそれよりも速いダートになると考えるのが自然なはず。先週同様土曜は稍重スタートで昼過ぎに良になる可能性が高いが、先週並の1秒前後速いダートを想定する。土曜の午後から小雨になり、日曜もはっきりしない天気であればダートの状態も土曜の状態からそれほど変わらないはずで、やはり1秒前後速いダートと想定する。逃げ・先行有利、やや外有利。




【函館芝】


■まだ野芝並に速い。先行有利、断然内有利


《今週からAコース》
 今週からAコース。JRA・HPの「馬場情報」欄に、現在の函館の芝の状態のサービス・ショットが掲載してある。ぜひご参考に。

 2011年まで夏の函館は2開催16日間行われていたが、2012年以降は開催規模を縮小して2開催12日間が標準になった。ただし2013年はスタンド工事中だった札幌の代替開催で6日×4開催やり、途中から雨にたたられたこともあり最後の頃は芝がボロボロになっていたが、通常通りの2開催12日間なら、よほど雨にたたられない限り芝が傷むまもなく全日程を終了してしまうと考えたほうがいい。今年は例年より春の気温が高く、芝の生育がいいそうだからなおさらだ。

 函館は先週の日曜日以来雨が降っていない。その分連日散水して補っているが、洋芝は以前から散水量多めの管理なので、従来並みの洋芝と考えれば十分だろう。当然内の状態はいいし、開幕週なら洋芝といってもそれほど軟らかくない(軟らかくなっている今の野芝とならほぼ同じように考えて差し支えないだろう)。土日とも0.5秒前後速い芝を想定する。先行有利、断然内有利。




【函館ダート】


■乾き気味で遅めのダート。内有利、逃げ・先行有利


 本州の場だと夏場は前日にダートに水まきしても気温が上がるとどんどん乾燥してカラカラのダートが出現することがあるが、函館は気温が低いのでカラカラのダートにはなかなかなりづらい。先週の日曜日以来雨が降っていない上に晴れそうなので、今週の函館ダートはかなり乾き気味のはずだが、目いっぱい遅くなったとして、土日とも0.5秒前後遅い程度だろう。馬場状態がどうこうよりももともとのゴール前直線が短いので、芝同様に内有利になる。またダートは芝に比べてダッシュが効きづらいので、芝以上に逃げ・先行有利になる。



プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。


城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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