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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2015年06月26日(金)更新

今週の馬場傾向【函館も梅雨入りか?】


【東京芝】


■多少力の要る芝、内外互角、やや差し有利


《Dコース2週目。春競馬の最終週。》
 先週からDコースが使われている。今週の競馬が終われば芝のメンテナンス作業に入るので、今週がホントのどん詰まりの芝である。先週も書いたが、Dコースは真冬の開催で丸々8日間使われているから野芝のベースにはところどころ穴が空いている。きれいに見えもそれは洋芝が水玉模様みたいな野芝の穴を埋めているからで、耐久性という意味では見かけほどよくはない。

 先週は金曜日の時点で27.5ミリ以上降っていた上に、週末も雨予報だったので、馬場が渋ってグズグズになる可能性があったが、実際は金曜の夜には小雨しか降っておらず、日が変わってからは雨が上がり、土曜日もほぼ1日中晴れた。府中の水はけはすばらしく、前日に27.5ミリも降っているのに1Rが稍重だっただけで、その後はずっと良だった。芝が傷んでいる感じはまったくなかったが、先々週よりは時計がかかってタイム差なし前後だった。日曜日は曇り→小雨のはっきりしない天気で0.4秒前後遅かった。

 先週に引き続き、今週もまた週末は雨予報である。この時期の天気予報はあまりあてにならないが、日本海上にある低気圧が前線を伴って東上してくるので、今週はまったく雨が降らないことはないだろう。だがある程度降っても競馬開始前に止む可能性もある。それなら今週もそれほどグズグズにはならないハズ。土曜日は午前中の競馬が1秒前後遅く、午後は多少乾いて0.5秒遅い前後の時計を想定する。日曜は曇り一時雨の予報だが、降り続かない雨ならそれほど時計に影響しないので、0.5秒遅い前後の時計を想定する。晴れ間の出方しだいで時計はもう少し速くなるだろう。いずれにせよ多少力の要る芝になっている。先週はやや内有利だったが、今週はいくらか内の傷みの影響が出ると考えて内外互角、やや差し有利と考える。




【東京ダート】


■目いっぱい速いダートで、やや外有利、先行差し互角


 先週は金曜日に27.5ミリ降り、土曜日は重スタートで、最終レースだけ稍重に回復した。最終レース以外は1秒前後速く、最終レースは0.5秒前後速かった。日曜は曇り→小雨で1日中稍重のまま競馬が行われ、1秒前後速かった。

 今週は金曜夜から土曜の午前中にかけて雨が降る予報で、ある程度の雨量が見込まれることから1.5秒前後速い時計を想定する。日曜も曇り時々雨の予報なので乾くまでいかないはずで、やはり1.5秒前後速い時計を想定する。土日ともやや外有利、先行差し互角。




【阪神芝】


■シーズン最終日も芝の状態上々。やや先行有利、やや内有利


《Bコース2週目。春競馬の最終週。》
 Aコース最終週の先々週日曜日の阪神は1.3秒前後速かった。Bコースに比べてかなり使い込まれているAコースでもそれくらい速い。先週はBコース替わりしたが、金曜日に7.5ミリ降り、土曜日は曇って0.4秒前後遅かった。日曜日の競馬開始前にも10.5ミリ降ったが、日曜日は晴れて気温も上がり、ほぼタイム差なしだった。

 A・Bコースしかない阪神の場合、それを交互に使っていくことでBコースの内側が傷みやすい。Bコースに替わると、とくに直線の合流点過ぎは、外に行くほど芝がよくなるので、開催が後ろになるほど外伸びの傾向が出てくる。…というのがセオリーなのだが、先週の競馬を見る限り、内ぴったり回った馬がかなり活躍していたし、直線でも内を突いた馬の失速は見られなかった。

 今週はずっと降水がなかったが、金曜日の正午までに8.5ミリ降ってなお降り続いている。だが土曜の早朝には止むはずで、そこからの馬場の回復も速いハズ。金曜の雨量が先週より多そうだし、土曜はずっと曇りの予報につき、先週より時計がかかると考えて1秒前後遅い時計を想定する。日曜は曇りの予報だが、土曜よりは水はけするので、0.5秒前後遅い時計になると想定する。先週の傾向を引き継いで土日ともやや内有利でやや先行有利だが、日曜日の後半戦、直線の追い比べになったとき、外の馬のチョイ差しが決まることがありそうだ。となると宝塚記念は、今期の芝の良さからラブリーデイの前残り VS ゴールドシップのチョイ差し…という感じか。




【阪神ダート】


■水分を含んだ速いダート。やや先行有利、やや外有利


 先週は木曜に4ミリ、金曜に7.5ミリ降り、土曜日は1日中曇ってダートも一日中稍重のままだった。土曜日は0.8秒前後速かった。日曜日は早朝に10.5ミリ降ったが開催中は晴れた。馬場発表は1日中稍重のまま、午前中は2秒近く速かったが、最終レース頃は0.5秒速い前後の時計になっていた。

 今週は金曜日の正午までに8.5ミリ降り、その段階で稍重発表だった。その後も雨は降り続き、午後9時現在で20ミリ近く降っている。土曜の午前中に雨は止むようだが、朝一のダートは不良になるだろう。1日中曇りの予報で、最終的に稍重まで回復するかどうか微妙。土曜の朝一は2.5秒前後速いダートを想定する。少しずつ水はけして最終的に1秒前後速いダートになって土曜を終了する感じか。日曜も1日中曇りの予報だが、朝一が稍重でも、ある程度気温が上がるので早々に良になると思う。0.5秒前後速いダートになると想定する。やや先行有利、やや外有利。




【函館芝】


■函館も今週から梅雨入り。重い洋芝で先行有利、内有利


《Aコース2週目。》
 2011年まで夏の函館は2開催16日間行われていたが、2012年以降は開催規模を縮小して2開催12日間が標準になった。ただし2013年はスタンド工事中だった札幌の代替開催で6日×4開催やり、途中から雨にたたられたこともあり最後の頃は芝がボロボロになっていたが、通常通りの2開催12日間なら、よほど雨にたたられない限り芝が傷むまもなく全日程を終了してしまうことのほうがありがち。

 洋芝は野芝と比べると根自体は軟らかいが、根の密度は高い。そのため開幕当初はある程度硬いが、競馬が進むと土が練れてきていかにも洋芝らしい軟らかい馬場になっていく。今年は例年より春の気温が高く、芝の生育がいいらしいので、例年より開幕週の馬場は若干固めだったと考えられる。先週の競馬を見ていたら、アナウンサーが「函館の芝が速い」を連発していた。芝2600ではレコードが塗りかえられていたし、芝1200では函館SSと500万条件の2戦がレコードと0.3秒差の1分8秒3の同タイムで走っていた。函館はそもそも開催数が少ないし、下級条件戦が多いのでレコードが出たといっても大したことはないが、そうはいっても時計の出やすい速めの芝であることはたしかだったはず。土曜日は1.5秒前後速く、日曜は1秒前後速かった。
 
 先週に引き続き今週の函館も週日にまったく雨が降っていない。その分連日散水しているが、洋芝は以前から散水量多めの管理なので、散水によって芝がイレギュラーに軟らかくなることはない。だが今週は土曜日の開催が始まる早々から雨の予報になっている。土曜日以降の函館は梅雨時期に入ったと考えてよさそうだ。北海道には梅雨はないと言われるが、最南端の函館は梅雨の影響を受ける。温暖化でもしかすると今年の函館はけっこう雨が降るかもしれない。

 先週の芝は速かったが、今週にも一気に時計がかかり始める可能性もある。芝の状態はいいので、それが1日の不良であっという間に悪くなってしまうわけではなく、芝が水を吸って膨らむのでとりあえず軟らかくなって時計がかかるようになる。すべては雨量次第だが、金曜日の昼に関東で降っていた雨がそのまま函館でも降ると考えると、それなりの雨量になっても不思議ではない。土曜日の午前中は先週の日曜日並みに1秒前後速い芝になるはずだが、メインレース前後では逆に1秒前後遅い芝になっている可能性がある。日曜日は曇り一時雨の予報だが、気温も低めだし、そう簡単に乾くとは考えられない。1.5秒前後遅い芝を想定する。芝自体はいいし、内の状態もいいので、それが重くなることで逃げ・先行有利、内有利になる。




【函館ダート】


■含水多く速いダート。内有利、逃げ・先行有利


 先週の函館はずっと雨がなかったため、よほどダートが乾いていたと見えて、金曜日に念入りに散水したらしく逆に時計が速かった。土曜日は0.6秒前後速かった。日曜日は0.4秒前後速かった。

 今週は当日雨が降る予報なので、予報通りならば当然もっと速くなる。雨量次第だが、1.5秒以上速いダートを想定する。もともとゴール前直線が短い上にダートも目いっぱい速くなるわけだから、当然のことながら内有利、逃げ・先行有利。



プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。


城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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