【中山芝】
■グリーンベルト開催だが内外の差はそれほどない。やや先行有利、やや内有利
《この開催でAコース初披露。Aコース1週目》
例年のことだが中山は4回中山でB、Cコースを使った後、暮れの開催でAコースを初披露する。こうした変則的な運用をするのは皐月賞で使うBコースを温存するためである。だから5回中山開催の芝は、最内から3mまでがバージンの芝で、内3~6mが5日間だけ使われたほぼ新品同様の芝で、6mより外は9日間使われた芝ということになる。
ところが中山の芝は4回終了後にオーバーシードするので、内も外もイタリアンライグラスの伸び方は同じだから、下に野芝があろうがなかろうがきれいに生え揃って内も外も芝の見た目ではまったく同じになっている。だからこの開催は、目に見えないグリーンベルト開催である。
したがってこの開催は内め有利、と言いたいところだが、4回中山の芝の状態は非常によく、Bコース、Cコースが傷んでいるような気配はほとんどなかった。しかも今年は8月の日照は少なかったが、9月10月は日照が多く、気温も高かったので、B、Cコースの野芝もある程度回復している可能性がある。そうなると2か月前に5日間使用した差がどれくらいあるか、ということだが、正直いって判断がむずかしい。しかもグリーンベルト開催ということで馬群が内に過剰に集中すると、逆に内の取り合いになって内が不利になる事態もありうる。
ということで、今週はいちおうグリーンベルト開催であることは頭のどこかに入れておきつつも、あまり気にしすぎないで馬券推理していくのが賢明だと思う。
また中山は4回開催と5回開催の間の2カ月の間にバーチドレンが入っている。4回中山の芝もかなり軟らかい感じだったが、5回はもっと軟らかくなる可能性がある。
4回中山は週末にこそ雨は当たってないが、中間にけっこうな量の雨がほぼ毎週降っていた。それに対して今週はAコース部分の芝がまっさらな上に、中間の雨量も木曜日に5.5ミリ降っただけで金曜日正午の馬場発表も良。また土日ともよく晴れる見通しだ。
いろんな要素があって時計がどれくらいになるか難しいが、今秋の中では路盤がもっとも乾いていると考えて1~1.5秒前後速い時計を想定する。先行激化がありうるとみて先行差し互角。やや内有利。
【中山ダート】
■含水少なめだがやや速いダート。先行差し互角、内外互角
現在の中山ダートは中間ミキシングハローで全体に転圧し、砂厚の分だけ表面を掻き起す方法で馬場整備しているらしい。昔の小倉でも同じようにやっていたことがあったと記憶している。また4回中山は毎週中間にかなりの量の雨が降っていた。それらの影響で、4回中山のダートの時計は連日かなり速かった。2カ月のインターバルを挟んではいるが、その傾向は引き継がれているものと見る。
ただし今週の中山は木曜日に5.5ミリ降っただけなので、4回中山のどの開催日よりも含水は少ないはず。4回中山のダートの良時の時計が平均して1秒前後速かったので、それよりは遅くなると考えて、0.5秒速い前後の時計を想定する。先行差し互角、内外互角。
【阪神芝】
■今秋いちばん速い芝になりそう。やや先行有利、やや内有利
《Aコース戻しで、Aコース1週目》
阪神にはAコースとBコースの2つしかないので、A→B→A→B→A→B…のように変わりばんこに使っていくことになる。だがBコースはAコース開催のときもBコース開催のときも走るので、これを繰り返していくとBコースのほうが傷みが進んでいき、Aコース開催のときは毎度多少なりともグリーンベルト傾向が生じるようになる。それをできるだけ少なくするためにAコースとBコースの使用比率を2:1くらいにしている。
だが今回はAコースを2週使って早々に休ませた後の天候がけっこうよかったので、芝の勢いの回復が見込める。まだ現時点ではこのAコースにはグリーンベルト傾向と言えるほどのものはないはずだが、それにしても内の芝がいいことはたしか。しかも今回のインターバルではエアレーション作業は行っていないようである。したがって今週はある程度内伸びを期待してよさそうだ。
今週は水曜日に1.5ミリ、木曜日に10.5ミリ降り、金曜正午の馬場発表は稍重だったが、金曜日は一日中晴れ、土曜日も晴れが見込める。土曜はアサイチから良の競馬になるはず。今秋いちばん速い芝になりそうで、0.5秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、やや内有利。
【阪神ダート】
■かなり乾き気味の時計がかかるダート。やや先行有利、内外互角
4回阪神のダートの時計は中山とはまったく逆にかなり遅かった。砂の足し方が多めで、砂の洗い方も念入りだったとしか考えられない。その影響は引き継がれるはず。
今週は水曜日に1.5ミリ、木曜日に10.5ミリ降り、金曜正午の馬場発表は重だった。だが金曜に引き続き土曜も一日中晴れそうなので、かなり乾き気味のダートになり、今週は一層遅くなるハズ。1~1.5秒遅い時計を想定する。やや先行有利、内外互角。
【中京芝】
■見た目と違って力の要る状態。内外互角、差し有利
《Aコース1週目》
中京は7月いっぱい競馬した後、芝の張り替え作業をする。したがってこの4回中京が年間でいちばん芝がいい開催になる。だが中京はもっとも芝が傷みやすい競馬場なのに時間的余裕がないため、野芝の張り替え面積も2000㎡しかできない。8月過ぎの張り替えでは野芝の定着率も悪いだろうし、コースのあちこちにメンテしきれない部分も残るはず。オーバーシードの洋芝が芝コースを覆っているので見た目はきれいだが、見た目以上に傷みやすい状態であるはず。
今週は中間に5.5ミリ降って土日は晴れ。昨年の4回中京の開幕週とほぼ同じくらいの速さになると考えて、土曜日は1秒前後速い時計、日曜日は0.5秒前後速い時計を想定する。洋芝が生え揃って見た目きれいなので先行争いきつくなるが、楽に前が残れる状態ではない。内外互角、差し有利。
【中京ダート】
■標準的な速さのダートで、やや内有利、やや先行有利
JRA-HPには路盤点検をして部分的に路盤補修したという報告はあるが、中間に砂を洗ったとは書かれていない。もし砂を洗ったら書いてあるはずだと思う。砂の状態が7月と同じだとすると、引き続きかなり速い状態と考えたほうがいいかもしれない。
ただし今週は中間に5.5ミリ降って土日は晴れなので、砂はある程度乾くはず。速めな砂の状態の中で若干乾いて標準的な速さになったわけで、0.2秒前後速い時計を想定する。やや内有利、やや先行有利。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。