【中山芝】
■2カ月ぶりにAコースに戻って速い芝。やや先行有利、内外互角
《Aコース1日目》
昨年の8月の日照不足が尾を引いて、今年は野芝の生育がイマイチよくない競馬場が多い中、芝の張り替えが早い中山だけは芝の状態が文句なくいい。秋以降開催日が雨に当たってないという点でもツイている。とくにAコースは昨年の暮れの開催で8日間使われているが、そのうち2週目は金曜日の朝までに34.5ミリ雨が降ったが、当日雨で競馬した日はなかった。それによって暮れの開催は最終日までそれほど芝が傷まずにすんだ。芝の状態の良さを示すように、中山はまたしても中間にバーチドレンを使ったエアレーション作業をしている。要するに芝がきっちり生えていて、路盤も軟らかい、いわゆる「クッション性のいい」馬場になっている。
今回は2回目のAコースとはいえ、中間の整備で路面状態は平らになっているし、2カ月休んでいる間に土も多少締まっているはず。今週の中間は1ミリ前後の雨がちらほら降ったが、週末は雨の心配もなく、土日とも晴れで競馬できる見通し。パンパンではないがほぼ乾いた状態で0.5秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、内外互角。
【中山ダート】
■カラカラの一歩手前で標準的なダート、やや先行有利、やや外有利
ここ数日中山近辺は寒さが戻っていて、25日の最低気温は0℃だった。だが明日以降気温が上がると予想され、今週の中山ダートには凍結防止剤がまかれていない。金曜日正午の馬場発表は「稍重」だったが、土日とも晴れて気温も上がりそうだし、土曜日の朝から良で競馬できるハズ。カラカラのダートの一歩手前くらいと考えて、タイム差なし前後の時計を想定する。やや先行有利、やや外有利。
【阪神芝】
■乾いた開幕週の速い芝。やや内有利。やや先行有利
《Aコース1週目》
阪神にはAコースとBコースしかないので、両方均等に使っていくとどちらでも走るBコースの傷みが先に進んでしまう。そこでマメにローテーションしつつ2対1くらいの比率でAコースを多く使う。だが阪神には内外回りがあるので、それで芝の傷みがかなり抑えられる面もあり、ここ数年はそんなにAコースとBコースで傷み方の差は出ていない。
Aコースはこれまで11日間使われているが、暮れの競馬を見てもまだ芝のヘタリは感じさせない。また中山と違って阪神は暮れの開催の後、2カ月休んで今回が今年の初開催になる。真冬の1~2月に競馬するのと、もう3月も近い今の時期から競馬が始まるのでは大違いで、JRA-HPの写真を見ても阪神の現在の芝は洋芝がよく伸びていい感じになっている。
今週の阪神は1週間雨がない状態で中間の散水もなく、土日ともよく晴れる見込み。また阪神には昨年の秋以来バーチドレンが入っていない。そのため洋芝がよく茂った見かけとは裏腹に、中山ほど軟らかい状態ではないかもしれない。だとすればある程度前が止まらない状態で、開幕週である今週は内伸び傾向がありそうだ。0.5秒前後速い芝を想定する。やや内有利。やや先行有利。
【阪神ダート】
■散水できずカラカラで時計がかかるダート。やや内有利、やや先行有利
阪神には1週間雨が降っていない。凍結防止剤をまいていない上に、冷え込みは中山よりもきつく、0℃を下回る日が続いている。この状態では散水もできないはず。今週は土日ともよく晴れそうで、目いっぱいカラカラのダートになって不思議ではない。秋以降の阪神ダートはある程度含水があっても時計がかかっているので、カラカラの今週はもっと遅くなるハズ。1~1.5秒遅い時計を想定する。やや内有利、やや先行有利。
【小倉芝】
■Bコース替わりで芝は上々も含水多く遅め。やや差し有利。やや内有利
《今週からBコース》
先週の週末は前線が日本を西から東へ縦断していったため、日本中が雨になった中、小倉は土曜の未明から降り始めて2時ごろまでに計36ミリ降り、その後晴れた。土曜は1日中重だったが、日曜は稍重から始まり、特別戦開始までに良に回復した。さすがに時計はかかり、土曜日が1.5秒前後遅く、日曜は0.8秒前後遅かった。
先週と違って今週は本州はおおむね晴れる中、気圧の谷が小倉周辺に居座った状態になっている。中間も本州はほぼ晴れたのに小倉は少量の雨がほぼ毎日降り続いていた。週末も小雨になる予報である。ただし雨量は少なそうで、悪化しても稍重までと見る。
先週の小倉は雨の競馬で芝にそれなりのダメージはあったが、それにしても京都や東京と比べればそのダメージは軽い。今週からBコース替わりすることもあり、先週の競馬の影響はあまり過大に考えなくていい。だが中間から降り続き、開催中も細かい雨が降り続く状態でどれくらい路盤が緩むかが問題。良だが時計がかかった先週日曜日程度の遅さは見込んでおく必要があると思う。0.7~1秒遅い時計を見込む。芝が遅くなっても小倉はテンが速いのでやや差し有利。やや内有利。
【小倉ダート】
■ずっと湿った状態で速いダート。やや先行有利、やや内有利
先週の小倉は土曜日の昼過ぎまで36.5ミリ降り、1日中不良の競馬になった。日曜は晴れたが午前中のレースは不良で、午後になって重になった。時計的には先々週とほぼ同じく土日とも0.6~0.8秒前後速かった。また土日ともやや内有利で、やや先行有利だった。
今週も小倉だけは含水量高い速いダートになりそうだ。金曜日正午の時点で重ならば土日のどこかの時点で稍重になり、最後までそのままの可能性が高い。降水量自体は少ないので0.5秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、やや内有利。
城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。
城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。