【東京芝】
■内に目に見えないグリーンベルトがある。内有利。先行差し互角
《Aコースに戻り1週目》
このAコースは昨年秋しょっぱなの4回東京開催で7日間使われた。そのうち10月10日の土曜日の開催前に10ミリ降っただけで、他に雨に降られた日はない。したがってAコースの芝には傷みらしい傷みはない。Aコースが約半年休んでいる間にB~Dコースは競馬に使われてそれなりに傷んでいる。今の時期は全面的に洋芝が伸びているので見かけ上は内も外もきれいに芝が生えているが、その中でもいちばん内の状態がいいことは間違いない。
逆に寒い時期に使われたDコース(内から9m以上外側)の状態がいちばん悪い。したがって今どきの東京開催は内に目に見えないグリーンベルトがあると考えていい。
1回東京が終わってから2カ月のインターバルの間にエアレーション作業を行った。昨年の秋以来、東京でエアレーションするのはこれで2回目になる。1回東京の芝も相当軟らかそうだったが、今の時期は気温が上がって芝の根が張り詰めてくるので、エアレーションをやってなければ少し速くなる可能性があった。だが、エアレーションを実施したことで時計的な面では昨年秋程度の速さと考えてよさそうだ。
今週の中間は火、水に散水し、木曜日に2.5ミリ降った。金曜日は晴れたので、芝は土がふっくらする程度の含水があるはず。土曜日の夕方に散水するかどうかだが、日曜日に雨が降る可能性があるので散水するかどうかは微妙。いずれにせよ良で競馬できるはずで、土日とも昨年の秋並の0.5秒前後速い時計を想定する。内有利。先行差し互角。
【東京ダート】
■標準的な速さの良のダート。内外互角、先行差し互角
昨年5回東京、1回東京のダートは含水が高い日が多かったため速い日が多かったが、乾いた状態ならそれほど速くならないと考える。今週の中間は木曜日に2.5ミリ降り、金曜日正午の時点で稍重発表だった。日曜に雨が降る可能性があるが、雨量はそれほど多くないと考える。標準的な速さの良のダートで、土日ともタイム差なし前後の時計を想定する。内外互角、先行差し互角。
【京都芝】
■状態はいいが路盤が軟らかめ。内有利、先行差し互角
《Cコース1日目》
京都は昨年の秋以来A(9日)→B(4日)→C(5日)→A(8日)→B(7日)とローテーションしてきて、再びCコースに戻った。秋に良馬場で5日しか使われていないCコースのダメージはかなり小さい。また東京と違って外のコースを使ってから内に戻すのではなく、まだCコースまでしか使われてない。そのため今時期の京都は外に行くほど芝が良くなる。それによって直線に坂がない割には差しが決まる。とはいえそれほどの内外の差はないので、少なくとも今週来週のうちは内有利と考えて十分だ。
2回京都から2カ月のインターバルを利用して秋以来2回目のエアレ―ション作業を行った。京都はもともとの芝のセッティングが軟らかめなので、このエアレーションの影響はそれなりにあるはず。今週の中間は水曜日に散水し、木曜日に13ミリ、金曜日に0.5ミリ降った。土曜時点では路盤がふっくらする程度の含水があると考えられる。
土曜日は曇って日曜日は晴れそう。土曜の夕方の散水があるかどうかでかなり変わってくるが、日曜が晴れそうなので散水ありと考える。土日ともタイム差なし前後の時計を想定する。内有利、先行差し互角。
【京都ダート】
■含水あって速めのダート。やや内有利、先行有利
今週の中間は水曜日に散水し、木曜日に13ミリ、金曜日に0.5ミリ降った。金曜日正午の段階でダートの馬場発表は重だが、気温も高いので土曜は稍重スタートで、土曜中に良になると想定する。土日とも0.7秒前後速い時計を想定する。やや内有利、先行有利。
【福島芝】
■今週からBコース。今期でいちばん速い芝。内外互角、先行差し互角
《今週からBコース。1回福島の最終週》
先週、今の福島の芝は以前と違ってボロボロではない、と書いたばかりだが、先週日曜日に4ミリ雨が降っただけでかなり土が飛んでいた。福島の開催数が減ったことを味方につけているが、夏以降の養生期間が短いこともあって福島の芝は野芝より洋芝に頼っている印象で、きれいに生えていても耐久性自体はイマイチのようだ。ただし今週からBコースに変われば傷んだところはおおむねカバーされる。
先週の福島は木曜日に12ミリ降った。土曜はアサイチから晴れて良になり、タイム差なしだった。日曜日は開催前半に4ミリ降った。日曜日は芝2戦目の7Rから稍重になり、1.5秒前後遅い時計になった。
今週は月曜と水曜に散水し、木曜に3.5ミリ降った。福島は土日とも晴れる予報なので、芝は先週の土曜日以上に乾き、今開催ではいちばん速くなるだろう。0.5秒前後速くなると想定する。内外互角、先行差し互角。
【福島ダート】
■砂が乾いて時計がかかり気味。やや外有利。先行差し互角
先週の木曜日に12ミリ雨が降った。それで土曜日は1Rと3Rが稍重で、7R以降が良になった。時計は0.5秒前後遅かった。日曜は午前中に4ミリ降り、3Rのダート戦から稍重になった。だが時計は土曜日とほぼ同じだった。
今週は木曜に3.5ミリ降ったが、先週よりかなり雨量が少ないので、金曜日正午の時点ですでに良になっている。土日とも晴れの予報で、先週よりもさらに砂が乾くはずなので、土日とも1秒前後遅い時計を想定する。やや外有利。先行差し互角。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。