【東京芝】
■重不良なら逃げ・先行注意 日曜日晴れれば外差し注意
秋しょっぱなの開催の最終週。今週からBコース替わりになる。
先週の日曜日は朝から夕方まで、競馬開催中ずっと強い雨が降り続いた。1日の雨量は53ミリだった。つい最近アメリカのサンタアニタ競馬場では、雨でオールウェザーの馬場に水が浮いて開催中止になり、それがオールウェザーをやめてダートに戻すきっかけになった。そのときの雨量が40ミリ程度だったというから、53ミリという雨量の中で競馬することがどれくらい馬場にとって過酷かがわかるはずだ。
先週の土曜日は0.9秒遅かった。先週の日曜日は不良の競馬になり、4.5秒遅かった。
今週からBコース替わり。「柵の移動により傷んだ箇所もカバーされ、全体的に良好な状態です」とJRA・HPの馬場情報には書いてある。たしかに先週の土曜日まではどの馬も内ぴたりを走っていた。だが日曜日は全体が内を空けてほぼBコース部分を走っていた。ということは今回のBコース替わりには「コース替わり初日」といっても、内が一新されたという感じではないはず。内にテンテンテン…と傷んだ部分がある感じ。いうならばコース替わり2週目くらいに考えればちょうどいいはず。
これで今夜雨が降らなければいいのだけれど。だが天気予報では今夜から明日の明け方にかけて「雷を伴い、非常に激しく降る」のだそうだ。夜間の雨量が40ミリを越えて降るようだと少なくとも午前中は水が抜けないから、内の傷みがいっそう進むだろう。
天気予報を信じるとすると、土曜日は午前中まで重・不良の競馬になる。内が傷んでいく過程なので、その場合逃げ・先行有利になる。
日曜日に雨が上がっていた場合、土曜日の競馬で内はすでに傷んでいるはずなので、外差しの競馬になる。したがって中~外の馬が有利になる。
【東京ダート】
■土・日とも持ち時計のある馬を警戒
先週の土曜日は標準時計だった。日曜日は不良になり1.5秒速くなった。
今週は土曜日の午前中までかなり大量の雨が降るという予想が出ている。夏にクッション砂をいくら洗浄して水はけがよくなっているといっても、しょせんダートの水はけはそんなによくない。
土曜日の午前中までが雨で、日曜日に晴れるとした場合、土曜日の時点ですでに砂が全体濡れてしまうため、土曜日は1日中速い競馬になるだろう。土曜日は2秒程度速くなると予想する。持ち時計のある馬に注意。
日曜日は晴れたとしても砂が乾いていく過程の競馬になるため、時計的には速いままだろう。1~1.5秒程度速いはず。差し馬に注意。
【京都芝】
■重い芝で持続型が有利 外差し警戒
秋しょっぱなの開催の最終週。並走開催する東京は今週からBコース替わりしたが、京都は今秋までAコースを引っ張って使う。これはエリ女とマイルに備えてB、Cコースを温存しようという意図による。
先週の日曜日、東京は強い雨が降ったが、京都は弱い雨が1日中降り続いてトータル21ミリ降った。最終的には不良になったが、菊花賞はごちゃつくくらい内ぴたりを回る競馬だったし、最終レースも内を回った馬が勝った。時計的にも、4.5秒遅くなった東京は完全に底が抜けてしまった感じだが、京都は土曜日が0.4秒遅く、最終的に不良になった日曜日でも0.8秒程度しか遅くなっていなかった。
JRA・HPの馬場情報には「向正面に加えて、内・外回り3~4コーナー及び正面にも傷みが出始めました」とある。たしかに先週と同じコースを使うならこう書くことになると思うが、どっちみち京都の芝コースは薄く、広く傷むことになるわけだし、あちこち傷みが出ていること自体はそれほど気にする必要はない。
問題は直近の雨だ。金曜日の12時までにすでに38ミリ降っているし、夜にもまた降るはずだから、不良からのスタートになることはほぼ間違いない。競馬開始前に止みそうではあるが、台風一過の秋晴れは望めない。
土曜日は雨が降っていない状態で芝が重い。したがって血統的にパワー、スタミナを要求する馬場になっている。外差し有利。日曜日は多少水が抜けるだろうから先行差し互角、人気薄の外差し警戒だ。
【京都ダート】
■速い時計が求められる 芝血統に注意 追込み馬注意
先週は週日に雨が降り、さらに競馬中にも雨が降って土日を通じて速い馬場になった。土曜日が約2秒、日曜日が約3秒速い馬場だった。
今週も同様の馬場だが、雨量が先週よりも多く、もっと速くなる可能性が高い。スピードを要求する馬場で逃げ・先行有利。と同時に追込み馬に対しても警戒が必要。芝からの転戦組に注意。
【新潟芝】
■速い時計不要。パワー型を探すべき
夏競馬から約1カ月間のインターバルがあった。その間に、バーチドレンによるエアレーション作業を行った。昨年も同時期にバーチドレンを入れているが、今年はもともとの芝が昨年以上に軟らかかった上に、夏の開催日数も4日間も少なかった。そこへのダメ押しになるわけだから、芝がかなり軟らかくなっていることはたしかだろう。
Aコース3週目。夏の新潟と同様、この3回新潟でも最後までAコースが使われる。新潟は野芝100%だが、先週の競馬を見る限りまだまだ芝が緑色だ。温暖化しているなあ、という感じ。
先週は土曜日が0.3秒程度遅かった。日曜日は良から始まって重で終わった1日だったが、午前中は1秒程度遅く、最終的には4.5秒程度遅くなっていた。
今日から明日にかけてかなりの量の雨が降りそうだ。先週の時計から考えて、重・不良になった場合、間違いなく時計が相当かかる。とはいえ芝自体はそれほど傷んでいるわけではないので、土・日曜日を通じて逃げ・先行有利と考える。コース実績以上にパワー型であることを重視すべき。
【新潟ダート】
■上がりが速くなり差し馬に注意 芝血統に注意
中央4場と違って新潟のクッション砂洗浄は1年おきで、来年の春に実施される見通し。そのため水はけが多少悪くなっている。
先週は土曜日が稍重で0.5秒程度速い馬場だった。日曜日は稍重から重へと変化した。午前中の時点で0.5秒程度速く、最終的には1秒程度速くなった。
今週は最初からビショビショに濡れているので、最初から速いはず。土曜日が3秒程度、日曜日は2秒程度速い馬場か。上がりが速くなり差し馬に注意。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰める業界屈指の取材力を持ち、 JRA馬場造園課など独自のコネクションも数多く築いている。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。