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競馬コラム

城崎哲:馬場トレンドジャッジ

2016年09月10日(土)更新

今週の馬場傾向【開幕週でも前が止まらない馬場とは限らず】


【中山芝】


■開幕週でも前が止まらない芝ではない。先行・好位組が有利。内有利


《開幕週。Bコース1週目》

中央4場の場合は、春開催終了から秋開催の開始までが芝のメンテナンス期間にあたる。したがって秋開催の芝はバージンで、年間でもっともきれいな芝になっている。

新緑の春の芝もきれいといえばきれいだが、春の芝が少し長めに伸びた洋芝の下に歴戦の傷みを隠しているのに対して、秋の芝は完全に無傷で均一な点が違う。またオーバーシード時期が今開催終了後になるので、今開催は中山、阪神ともに野芝100%になる。

今年は芝コースの張り替え面積を中山、阪神とも大幅に増やしている。中山は11800㎡→17000㎡へ増やしている。理由はいくつか考えられるが、最近のJRAはシャタリング、エアレーションなどの操作で芝を積極的に軟らかくしているので、その分芝が傷みやすく、その代償として芝の張り替え面積が増えているのかもしれない。

また中山、阪神ともに、昨年までは3回開催終了後に「エアレーション作業をした」とは書かれていたが、「シャタリング作業」をしたことは書かれていなかった。それに対して今年の「馬場情報」にはエアレーションとシャタリング作業の両方をしたことが明記されている。昨年も夏時期にシャタリング作業はしているので、今後は両方明記する方針になった、ということで、作業内容が変わったわけではないはずだ。

昨年の秋競馬の開幕週は金曜日まで大雨が降っていた。台風と前線が日本中に大雨を降らせた先々週なみの大雨だった。金曜日に155.5ミリも降ったのに、土曜日は朝から良になった。要するに昨年の開幕週は良でもかなりの含水があった。昨年だけでなく毎年今の時期は少なからず雨が降って開幕馬場はそれなりに含水していることが多いが、今年は水曜4ミリ、木曜2.5ミリしか降ってない。それによってここ数年ではいちばん速めの芝になっていると考える。1.5秒前後速い時計を想定する。

開幕週につき先行激化することはある程度見えているが、開幕週であっても芝はシャタリング、エアレーションによってかなり軟らかくなっている。数年前までの中山と違って開幕週だからといって前が止まらない芝ではない。といって外にいっても芝の状態は同じなので外差しの馬場でもない。内有利、先行・好位組が有利。




【中山ダート】


■乾き気味で標準的なダート。やや先行有利、やや外有利


昨年の4回中山ダートはやたら速かったが、それは毎週けっこうな量の雨が降っていたため。今年も9月になっても湿気が抜けず、ちょっとしたことで大雨が降るリスクはあるが、少なくとも今週は中間の雨も少なく、週末も晴れまたは曇りで、ある程度乾いた状態のダートで競馬できそうだ。タイム差なし前後の時計を想定する。やや先行有利、やや外有利。




【阪神芝】


■速さと軟らかさが共存する芝。“やや”先行有利、やや内有利


《開幕週。Aコース1週目》

阪神も中山同様今開催は野芝100%で行われる。昨年は全国的に8月の日照が少なかったため、春競馬の終了が早く、早めに張り替えできる中山、京都の芝の出来がよく、春競馬の終了が遅く張替えが遅れる阪神と東京の芝の生育がイマイチだったようだ。今年は8月の降水量が多いことは昨年同様でも、昨年と違って日照も多かったので4場とも絶好の芝で新装開店できるはずだ。

中山同様阪神も芝の張り替え面積が大幅に増えている。昨年8000㎡だったのが今年は14000㎡だから、ほぼ倍になっている。原因はいろいろ考えられるが、やはり昨年芝の傷みが激しかったのが一番大きいだろう。芝の出来の問題に加えて、昨年の阪神はひたすら雨に降られてばかりいた。

阪神も昨年は開幕週前にかなり雨が降っていた。それと比べると今年の開幕週は月曜日3ミリ、水曜日1ミリで、乾き気味の芝になっている。今年は昨年と比べると芝の状態がいい分、ある程度強めにエアレーションをかけている可能性もあり、単純な前が止まらない芝になっているとは思えない。ただし無傷の乾いた芝である以上それなりの時計は出るはず。1秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、やや内有利。




【阪神ダート】


■乾き気味の力の要るダート。逃げ・先行有利、内外互角


今週の阪神は月曜日3ミリ、水曜日1ミリ降った。土日も雨は降りそうもない。湿度も高いが、気温の高さを考えると乾き気味のダートと考えたほうがいいはずだ。ある程度時計がかかるとみて、1秒前後遅い時計を想定する。逃げ・先行有利、内外互角。



プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。


城崎哲

JOSAKI TETSU

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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