【中山芝】
■絶好芝でも前が止まらない芝ではない。先行・好位組が有利。内有利
《Bコース2週目》
他の競馬場と違って、秋の中山はBコースから始まる。中山の芝コースは外回りの向正面走路にくびれた部分があるため、距離によっては使われるコースによって出走可能頭数が大きく変わってくる。
幅員の一番広いAコースの出走可能頭数が当然一番多く、A→B→Cと幅員が狭くなるにつれて出走可能頭数は少なくなる。とくに有馬記念の芝2500は、Aコースで16頭のところ、Cコースでは12頭に減ってしまう。
中山が秋の開催をBコースから始めるのは、馬券の売り上げが多い暮れの開催、とくに有馬記念をAコースでやりたい、という興行的な事情によるところが大きい。
さて、次々にやってくる台風と秋雨前線のせいで、いつ雨が降ってもおかしくない状況が続いている。18日になると東シナ海に到達する台風16号が前線に湿気を送り込むため雨が降る確率がさらに高まる。とくに台風に近い阪神は日曜日の開催中に一定量の雨が降る可能性がかなりありそうだが、中山はぎりぎり踏みとどまって、まとまった雨が降るのは日曜日の競馬終了後になるものと考える。
先週の中間は水曜4ミリ、木曜2.5ミリ降っただけだった。土曜日は小雨がぱらついた程度で、0.2秒前後速い時計になった。この日は芝の5レース中4レースが牝馬限定戦だったので、その分を補正して0.7~0.8秒前後速かったものと考える。
日曜日は開催前に8ミリ降り、5Rまで稍重、それ以降が良で行われた。日曜の時計は0.5秒前後速かった。要するに先週の時計は開幕週の絶好芝だったにもかかわらずかなり遅めだった。これは開催前にかけたエアレーション、シャタリングの効果が強く出たものと考える。
今週の中間は火曜日に33.5ミリ、木曜日に18ミリ降った。金曜日は1日中空に薄い雲がかかっていて、何度かパラパラと降ったが、それ以上は降らない状況が続いていた。おそらく週末も同じような感じで、土日とも含水率高めの良で競馬することになるのではないか。先週並に0.5秒前後速い時計を想定する。
先週は直線で外に持ち出す競馬が多く見られたが、先週も書いたように、前が止まらない芝ではないのである程度差しは決まるものの、エアレーション、シャタリングは全面にかけているはずなので、外に行くほど芝が速くなるということもない。内有利、先行・好位組が有利のはず。
【中山ダート】
■雨が降らなくても速めのダート。やや先行有利、やや外有利
先週の中間は水曜4ミリ、木曜2.5ミリ降り、土曜日には小雨がぱらついた程度だった。土曜日は1.6秒前後速かった。それに対して午前中に8ミリ降って1日中稍重で行われた日曜の時計が1秒前後速かった。降水量に対してこれらの時計はかなり速い。湿気の高さが影響しているのか、あるいは夏のメンテナンス期間に入れた砂のタイプが影響しているのかもしれない。そのあたりの見極めが今後必要だが、最近のJRAのダートは以前と比べると少し速めなので、後者の可能性もかなりあると思う。
今週の中間は火曜日に33.5ミリ、木曜日に18ミリ降った。金曜日は1日中空に薄い雲がかかって何度かパラパラと降った。土曜朝の時点で"重"だが、土曜は晴れ間が出ていて湿気もあまりなさそうなので、1日かかって→稍重→良に回復するものと考える。日曜に小雨が降る可能性はあるが、まとまった雨量にはならず、良の競馬になると想定する。土日ともほぼ先週同様に1~1.5秒前後速い時計を想定する。やや先行有利、やや外有利。
【阪神芝】
■土曜芝は速いが、日曜は重以上になりそう。逃げ・先行有利、やや内有利
《開幕週。Aコース1週目》
先週は月曜日3.5ミリ、水曜日1ミリ、木曜日8ミリ降った。土日は晴れて、日曜の競馬開始前には芝への水まきもしている。2歳戦と牝馬戦が多く、時計的な評価は難しいが、土曜は0.7秒前後速く、日曜は0.4秒前後速い時計だったと考える。
阪神も中山同様開催前にシャタリング、エアレーションをしている分そんなに速い時計は出ていないが、中山よりは速い印象。阪神は宝塚記念開催から秋開催までのインターバルが短いので、シャタリング、エアレーションも中山ほど強くはかけていないと思う。
今週は月曜に3.5ミリ、火曜に5ミリ降った。金曜日の時点で馬場発表は"良"。前線が南に停滞しているので土曜の開催中にも小雨の降る可能性はあるが、まとまった雨になるのは台風16号が東シナ海に到達する土曜の競馬終了後と考える。土曜は良想定で、0.8秒前後速い時計を想定する。
土曜の競馬終了後から雨になり、それ以降雨が降り続きそう。日曜には芝が重~不良へと悪化する可能性が高いが、秋の2開催目なので芝の状態がよく、また水はけもいいので、時計は1.5秒前後遅くなる程度にとどまると想定する。逃げ・先行有利、やや内有利。
【阪神ダート】
■前が止まらない速いダート。先行有利、内外互角。日曜は逃げ馬注意
先週の阪神は月曜日3ミリ、水曜日1ミリ、木曜日8ミリ降った。土日には雨は降らなかった。それで土日とも1秒前後速い時計だった。メンテナンス期間中に砂の洗浄・補充が行われたこと、また中間の降水量も少なかったことなどから、もっと遅い時計を想定したが、やはり阪神の時計も速かった。これは中山ダートのところでも述べたように、湿気の高さ、または夏のメンテナンス期間に入れた砂のタイプのいずれか、または両方が影響して速くなっているものと考える。
今週は月曜に3.5ミリ、火曜に5ミリ降り、金曜の時点で馬場発表は"良"だった。芝のところで述べたように土曜は降っても小雨まで、だが土曜の競馬終了後から本格的に降り始めて日曜日は1日中雨になりそう。そこで土曜は良想定で、先週同様に1秒前後速い時計を想定する。日曜は重以上の想定で2秒以上速い時計を想定する。土日とも先行有利、内外互角だが、日曜はとくに逃げ馬に注意を払う必要が出てくる。

城崎哲
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

城崎哲
JOSAKI TETSU
1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。