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競馬コラム

2014年06月18日(水)更新

夏の芝コースのほうが軟らかくなりやすい!?


 友人がいかにもなフェミニスト気取りで「休みの日の料理はオレが担当なんだ、お前、奥さんの料理を時々替わってやってるか?」などというのを聞くと、ムカっとする。「そんなこと言うなら、お前、毎回食後に食器洗ってるか?」と言い返したくなるのである。だが、最近は自動食器洗い機が普及しているようだし、そんなこと言っても不思議そうな顔されるだけかもしれない。

 うちにはまだ自動食器洗い機は導入されていない。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(フィリップ・ディック 早川文庫)の登場人物たちとは違って、自動食器洗い機を導入すること自体考えたことがない。なぜかというとうちでは食器洗いは最初からぼくの担当だからである。だから自動食器洗い機が彼女の問題意識に上がることはないし、そもそもうちの狭い台所に自動食器洗い機を置けるようなスペースもないのである。

 彼女が料理し、ぼくが食器洗いと後片づけをする。これがもう20年来続いている我が家の役割分担である。

 どうでもいい話だが、最初の頃は冬になると手がひび割れてつらかった。だが20年続けているうちに、不思議なことぼくの手は寒中でも割れなくなった。いつの間にか立派な主婦の手になっていたのである。

 さて、ここからが本題である。四季折々、365日、毎食後に食器洗ってない人間にはまず分からないことだと思うが、あったかいと食器の汚れ、こびりつきが実によく落ちるのである。とくに台所用洗剤などを使わなくても、温水で洗えばほとんどの油汚れなんてきれいさっぱり落ちてしまう。温水だけで落ちないのは、プラスチック等の親油性の素材にこびりついた油汚れに限られるのである。

 また、夏場は汚れた食器をほっておいてもそれほど苦労はないが、冬場はそういうわけにはいかない。食器に汚れがこびりつきやすいのである。汚れがカチカチになってしまって、たわしでごしごしこすらないと落ちなくなってしまう。

 冬場と夏場で違うのは温度だけである。だが冷水では落ちないモノが、温水だと簡単に溶けてよく落ちるのは何故か?こびりついた汚れも、寒ければ硬くて容易に溶けないが、あたたかいとそもそも硬くなりにくい。あるとき、あ、これは馬場と同じじゃないか、と気が付いたのだった。

 そこで、はるか昔に受けた高校教育の記憶を呼び戻す。温度とはエネルギーの状態である。固体の砂や土、液体の水の状態は常温では不変であり、気体の場合のように絶対温度と体積が比例関係にある…みたいなわかりやすい関係はないが、熱力学を持ち出すまでもなく、高い温度にあるときのほうが、低い温度にあるときよりも高いエネルギーを持っていることは明らかである。

 要するに、10度しかない真冬の芝コースの路盤よりも、40度近い真夏の芝コースの路盤のほうがエネルギーをたくさん持っている、ということである。そこからちょっと論理的には飛躍があると思うが、これは単純に、熱いほうが軟らかくなりやすいということだと思ってもいいのではないかと思う。

 含水量、芝の状態、馬の脚による踏み固め圧力と並んで、気温もまたコースの硬さ、軟らかさを左右する重大な要素だとぼくは思っている。



「コースの鬼!コースの読み方&全GⅠ解析編」
の増補改訂版発売のお知らせ




▲増補改訂版 コースの鬼! コースの読み方&全G1レース解析編 (競馬王新書EX004)


(株)ガイドワークスから「コースの鬼!コースの読み方&全GⅠ解析編」の増補改訂版を、11月22日に発売いたしましたので、この場をお借りしてお知らせします。

 同書籍は2007年に初版を出したのですが、それから6年の間に馬場作りが大きく変わりました。そこで今回の改訂版出版に当たり、最新の馬場を理解する上で必要なところ、不足なところを書き足し、大幅に改稿することにしました。

 6年前と現在の馬場の違いは、当時はまだ試験的に使われ始めた段階だったエクイターフが本格的に導入され、芝のレベルがエクイターフ品質に変わったこと。またシャタリングマシンが導入されて芝の路盤が軟らかくなったこと、ダートの粒度分布が研究されて、砂厚の割に速い組成に調節されるようになったこと…などです。

 それらには、このコーナーで何回か触れた事項もあるし、ダートの粒度分布の解説など単行本で初出のものもあります。そうしたアップトゥデートな事項については可能な限り取材し直して書き足しただけでなく、6年たって多少は進歩した(と思われる)現在の自分のレベルに照らし合わせて全事項を吟味し直し、書き直しました。

 自画自賛ですが、初版を読んだ方にも再読可能な内容になったと思いますし、わかりやすい馬場の入門書に仕上がったとも思っています。本コラムを通じて馬場に関心をお持ちになった方は、この機会にぜひ単行本も読んでみてください。






プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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