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競馬特集

【JC直前企画】清水成駿伝説のジャパンC

2021年11月25日(木)更新

【88年】「芦毛の頂上決戦」よりも大統領選? 競馬は時代を映す鏡


2016年8月にこの世を去った清水成駿。ファンの皆様から追悼メッセージをいただいた中で、「清水といえばジャパンC、ジャパンCといえば清水」というお声を本当に多数頂戴いたしました。

そこで、今年のジャパンC開催を目前に控えたこの季節に、清水成駿が「1馬」在籍時に綴ったジャパンCの予想を、当時の新聞のまま復刻公開!今もなお色褪せない“孤独の◎”の数々をどうぞご賞味ください。(協力:優馬)


第8回ジャパンC

(クリックして画像を拡大)
タマモクロスにオグリキャップ…鬼アツの紙面をそのままに!
(清水の予想は予想印の最上段)


【1988年:第8回ジャパンC】
極論すれば国が決つてその後に馬がノコノコ…それだ

この年の秋古馬戦線の話題のひとつは「芦毛の頂上決戦」

前年10月、400万下クラス戦から年をまたぎ、天皇賞(春)、宝塚記念と一気の7連勝で上半期のグランプリホースとなった5歳牡馬タマモクロスに、地方・笠松から鳴り物入りで移籍した4歳牡馬オグリキャップ。この両馬が天皇賞(秋)で初対戦を迎えていた。(※年齢は旧表記)

その天皇賞(秋)、オグリキャップは前哨戦・毎日王冠の快勝ぶりが評価され、またタマモクロスは宝塚記念からのぶっつけ本番、2000mへの対応が疑問視されたこともあり人気はオグリが優勢。

しかし、レースでは先行したタマモクロスが優勝で史上初の天皇賞・春秋連覇を達成。一方、追い込んだオグリキャップは2着に敗れ、中央移籍後初の黒星となった。

この激戦を経て、二度目の対戦となったジャパンCではタマモクロスが1番人気、オグリキャップが3番人気。その間に割って入ったのが、この年の凱旋門賞を制したイタリアの6歳牡馬トニービン。ファンの焦点はこの3頭の争いに絞られていたのだが……。

清水の視点は全く異なっていた。競馬は時代を映す鏡と言わんばかりに綴ったこの年の「スーパーショット」がコチラになる。


第8回ジャパンC

(クリックして画像を拡大)

【今日のスーパーショット】

ジャパンCの招待馬にどのレースの何着以内といつた明確な選定基準がない以上、馬と馬との比較は二の次。

最も大切な要素は、わが日本を含め今年はどの国に勝つてもらいたいかという意向。極論すれば国が決つてその後に馬がノコノコ…それだ。

オセアニアのラブコールも嬉しいが、やつぱりアメリカ。新大統領が誕生(※1)というのに1ドル一時120円台の円高ドル安、それに牛肉とオレンジ。アメリカは心から怒つているのだ。

まあまあ経済はともかく、お馬さんではまだまだ強いアメリカ、JCでも…それも需要と供給のバランスか。

富士Sのセーラムドライブ(※2)以上の逸材がペイザバトラーとマイビックボーイの両馬。(清水 成駿)

(※1)新大統領が誕生……この年のジャパンC直前の11月上旬にアメリカ合衆国大統領選挙が行われ、ジョージ・H・W・ブッシュ氏が第41代大統領に当選していた。

(※2)セーラムドライブ……ジャパンCの2週前に行われた前哨戦・富士ステークス(当時OP特別)を制していたアメリカからの招待馬。ただしG1勝ちの実績はなかった。結果本番では9着敗退。


まず第一にどの国が制するか……という大胆な筋書きも然ることながら、◎本命に抜擢したのは、地元アメリカでもGI・2着が最高着順だったペイザバトラー。来日前の2戦が惨敗に終わっていたこともあり9番人気と低評価に甘んじていたが、これがまんまと国内のNo.1・No.2を下して勝利するのだから、その慧眼には恐れ入る。

直線では大外から堂々と先頭に立ったタマモクロスとは正反対で、内に大きく切れ込みながら末脚を伸ばしたペイザバトラーがタマモを差し切り勝利。タマモが最も力を発揮する、“鼻面を併せての叩き合い”を避けた鞍上・マッキャロン騎手の手腕が光った。一方で、この斜行によって戒告処分も受けている。

ちなみに、ペイザバトラー自身は翌年もジャパンCに出走し、ホーリックス・オグリキャップの激闘から遅れを取るも3着と健闘した。


なお、タマモクロス・オグリキャップの決戦はこの年の有馬記念が最後となり、これまで主戦を務めた河内洋騎手に代わり、岡部幸雄騎手を起用したオグリキャップが好位から抜け出す競馬で直線へ。出遅れもあって後方から一気の進出を図ったタマモクロスが懸命に迫るも、最後はオグリに軍配。溜飲を下げた。

タマモクロスはこのレースを最後に引退。オグリとは同期にあたり、この年の菊花賞馬スーパークリークは3位に入線するも、直線での斜行で他馬を妨害したとして失格処分に。この有馬記念は昭和最後のGI競走ともなった。

5着に敗れたトニービンはレース中に骨折しており力を出しきれず。その後、日本で種牡馬入りし、ベガ、エアグルーヴ、ジャングルポケットらを輩出し、産駒が東京競馬場で部類の強さを発揮したことはファンの方にはお馴染みであろう。

当時の競馬のみならず、時代の趨勢にも思いを馳せてしまうような、そんな清水成駿・乾坤一擲の一作である。(文:編集部・山本)


1988年11月27日(日)
第8回 ジャパンC(G1)

1着◎⑯[米]ペイザバトラー(9人気) 2:25.5
2着注⑤[日]タマモクロス(1人気)  1/2馬身
3着△⑧[日]オグリキャップ(3人気) 1馬身1/4
4着▲⑦[米]マイビッグボーイ(4人気) アタマ
5着◯⑥[伊]トニービン(2人気) クビ

単勝 ⑯ 1,490円
複勝
⑯ 380円
⑤ 140円
⑧ 220円
枠連 3-8 980円
(※当時、馬連の発売はありませんでした)