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競馬予想

柏木集保の週末重賞ストラテジー

2013年10月30日(水)更新

ドイツ血統の意義

今年の「キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS」を、驚異的なレコード2分24秒60で制した4歳ノヴェリストが輸入され、社台SSで種牡馬入りが発表された。

「キングジョージ…」をレコードで勝った馬というなら、2010年の勝ち馬ハービンジャー(7歳。初産駒は1歳)を導入したばかりではないか、となりそうだが、ノヴェリストはハービンジャーのレコード2分26秒78を2秒以上も更新したことに加え、ハービンジャーは必ずしも珍しくないデインヒル(祖父Nダンサー)系であるのに対し、ノヴェリストはその父モンズーンの父系が「ドイツ血脈」であるという違いがある。

マンハッタンカフェ、同牝系のブエナビスタ、父母両系にその血をもつエイシンフラッシュなどの大活躍により、日本でも10年くらい前から、伝統のドイツ血統に注目が集まっている。といって、急に評価が高まったわけではなく、多くの繁殖牝馬をかかえる社台グループにはドイツ産の牝馬が少なく見積もっても30頭前後は存在する。他の生産牧場でもいろんな地域の、異なった血脈をもつ馬が欲しいから、たとえば、今週のメインにその名が出てくるアルゼンチン共和国(現在の日本とだいたい同数の生産頭数を誇るパートⅠ国)で生産された牝馬も、日本には想像以上に多く入っている。

ドイツ血統が大きな注目を集めた理由のひとつは、「馬には国境がない」といわれるくらいでどの国に行っても同じような父系に属する馬が種牡馬として活躍し、ほとんど同じような血統背景をもつ馬の流通ビジネスが展開される中で、ちょっとだけ、かたくなに守り続けてきた伝統の父系ラインがある。それが世界中の「血」が同じようになってしまった現在、貴重な血脈として意味を持つからである。人間の男女の結婚が、同じ地域の人ばかりだと何かと好ましくなく、遠い地域の人や、あるいは他国の人間だったりすると、素晴らしい子供が多く生まれたりするのと同じ理由なのである。

ドイツの守ってきたちょっと古典的な父系のひとつは、

☆ ブランドフォード1919
    バーラム1932
      パーシャンガルフ1940
        タマレーン1952
          チンギスハーン1961
            ケーニッヒシュトール1976
              モンズーン1990
                マンデュロ2002

と連続する父系ラインである。日本では、遠い時代のプリメロとか、オールドファンの馴染みの30年くらい前だと、リマンドとか、パーシア、テッソ、ペイザバトラーなどの父系である。

で、現代の「キングジョージ…」を圧勝したノヴェリストは、別にドイツ血統ばかりを集めてきたわけではないが、ドイツだけで存続してきたに等しい古き時代のブランドフォード直系の「モンズーン」が父というあたりが最大の魅力なのである。日本でも、ヨーロッパでも、さまざまな系統が残るアメリカでも、途絶えたに等しい父系である。

ドイツの守ってきたもうひとつの主流父系は

☆ ダークロナルド1905
    へーロルト1917
      アルヒミスト1930
        ビルクハーン1945
          リテラート1965
            ズルムー1974
              アカテナンゴ1982
                ランド1990
                  パオリニ1997

と続く父系で、日本ではシーホーク(父エルバジェ)がこの父系であり、残念ながら直系ラインは消えている。エイシンフラッシュの母の父に登場する「プラティニ」は、ズルムーの直仔。むかし日本に来た種牡馬スタイヴァザントはビルクハーンの直仔だった。ランド(父アカテナンゴ)は1995年のジャパンCの勝ち馬であり、記憶違いでなければ、若い日の成駿を少し助けてくれたドイツ産馬である。

こういうドイツ血統は、輸入される「ノヴェリスト」のやがて走るだろう産駒の小さな予備知識にもならないだろうが、アルゼンチン共和国杯を検討していて、怖い関西馬エックスマーク(父ディープインパクト)は、その母の父がアカテナンゴではないか、と気づいたりするとき、少し意味が生じるかもしれない。ドイツ血統の真価は、タフなスタミナや底力の裏づけとなることが多い。だから、見直されたのである。

プロフィール
柏木集保

早稲田大学政治経済学部卒業。1973年に日刊競馬新聞社に入社し、以後競馬予想を担当。U局の「中央競馬ワイド中継」の解説者としても人気を博す。血統、過去の走破タイム、ペース配分などから多角的にレースを推理し、出走馬の前評判にとらわれない独自の予想スタイルを貫いている。

柏木集保

SHUHO KASGIWAGI

日刊競馬で40年以上にも渡って看板を務める競馬界のご意見番・柏木集保が今週末の重賞レースのポイントをイチ早くレクチャー。過去データ・ラップ・血統・馬場など縦横無尽な分析でレースの核心に迫る。ここが的中馬券への最初の一歩。

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