アイルランドTは、斤量不利を跳ね返したセキトバイースト!

アイルランドTは、斤量不利を跳ね返したセキトバイースト!

10/09 (木) 美浦追い切りレポート #アイルランドT

10/12(日)東京11R アイルランドT(GⅡ)

3日開催の中日、牝馬の新設重賞がメインになるが、エリザベス女王杯への優先を賭けるといった立ち位置の別定戦。昨年までの府中牝馬Sを参考にすべき分、やはり実績が優先される。

柴田卓哉
柴田卓哉

その中、一番の注目はボンドガール

未だデビュー戦の1勝ながら堂々とOPを張っているのは、GⅠ2着を始め、積み重ねた賞金加算ゆえ。実際、牝馬の56キロと斤量面のビハインドがあった直近では馬群を縫う形での2着同着と、折り合いを欠いたのが全てだった5月からの巻き返しが。

また、水曜追いが僚馬との馬場入りでもそれとは大きく離れたままで道中はリズム良く進めた単走だったし、それまでの負荷が実になったような造りで7月からの斤量減を生かせるデキに。

けれども、溜めに溜めれば届かず、早目スパートなら最後の最後に甘くなるデリケートなタイプなのは変わらない。思えば、キャリアのハイライトが秋華賞での大外一気。直線の短い設定での切れが身上では。
柴田卓哉
柴田卓哉

それならばカナテープをより上位に。

確かに、対ボンドガールであれば関屋記念ではハンデ差を生かしたと総括できそう。

しかし、3勝クラスに1年以上もとどまっていた時期、フラつく面があって、それが為に馬具に頼っていたのとは対照的に、体幹がシッカリした今季からは日進月歩。それまでなら決め手比べで負けそうなマイルでの初重賞ゲットがそれを物語っている。

しかも、真夏で調整が難しかった前回時と異なり、靄の中、上がり35秒台での併せ馬を消化できた1週前を経て、張り詰めた馬体での単走だった直前には風格さえ漂わせていたのだ。1F延長を含め、上積みしかない。
柴田卓哉
柴田卓哉

唯、カナテープ以上に評価しなければならないのがセキトバイースト

何故なら、6月の当舞台では55.5キロと分が悪いハンデを背負いながらも勝ち切ったから。

しかも、淀みのない中、坂下スパートからラスト1F地点で先頭に立って押し切った強い競馬だったから、そこより軽くなる別定戦なら更に。

問題はそれ以来ということになろうが、1週前に長目からの併せ馬を経ての直前がしまい重点の4F追い。これは、抑える形をマスターして開眼した2走前と同じパターンだけに心配は無用なのと共に、DWでの1F10秒台まである過程を踏めたのだ。瑕疵はない。
柴田卓哉
柴田卓哉

6月・府中牝馬Sをサンプルにするならばラヴァンダのマークも不可欠とすべき。

3勝クラス突破が先月と意外にも歩みが遅かった反面、遡れば府中でのオークスTR2着があって、格上挑戦の2走前には0.3秒差にまで迫った。

とはいえ、理想的なレース運びでそのまま差し切れそうな勢いだったラスト1F地点から前と脚色が同じになった。これまでの2勝がマイル以下といった事実が物語る通り、別定戦になっての1800mではひと押しが利かぬ恐れが。
柴田卓哉
柴田卓哉

同じようなことがサフィラにも言える。

1800m実績の【2-0-1-0/3】と適性はあるように映る一方、マイルの阪神牝馬S制覇が前後半差2秒以上のスローに乗じた形だし、それより格段に厳しい流れだったヴィクトリアマイルではあえなく退いたのが示す通り、現状では経験値で劣っている。

しかも、今春のGⅡゲットがもたらしたのが56キロの別定重量。より分が悪くなる。
柴田卓哉
柴田卓哉

ヴィクトリアマイルからの巻き返しということならアドマイヤマツリの他にない。

何故なら、福島でのGⅢ勝ちがあったとはいえ、初GⅠが初マイルだったから。

確かに、逃げ馬を交わせずに後ろから呑まれた結果だったが、0.3秒差に過ぎなかったように、その距離での決め手比べで劣っただけ。対して、1800mならキャリア2戦目の1分46秒台がある上に、2月・初音Sが目標になった分の差だっただけに、そこでの相手カナテープを物差しにすればチャンスは自然と広がるわけ。

また、今回は変則日程ゆえ、追い切りが坂路53.0秒とこれまでと異なる過程だった反面、先週のコース追いでは3頭併せでの強度UPがあって、それに応えた1F11.2秒が春以上の迫力。この成長力にも魅力を感じる。



10/13(月)京都11R スワンS(GⅡ)

一方、西のメインはマイルCSへのステップになる月曜のスワンS。
柴田卓哉
柴田卓哉

勇躍西下する美浦組からはウインマーベルを取り上げる。

何せ先月に美浦入りすると追い切りがない日でもこの馬らしいピッチの速いキャンターで活気といった点では申し分なしなのに加え、6歳にしてまたまた厚みを増した馬体を駆使して推進力が格段に増す併せ馬が再三。

現に、輸送を控え、軽目といった意図を感じさせた木曜でさえ、力を漲らせた結果の5F67.7秒が外目のコース取りと質を落とさないままの締め。

あと1点、以前はスプリンターとしての完成形を目指していたが、今はもう1400m仕様と伸びしろ◎で、4歳時には消化し切れなかった京都の下り坂も昨秋のマイルGⅠで克服できたように、当コースへの不安が雲散霧消しているのが何より。
柴田卓哉
柴田卓哉

ライバルは無難にアドマイヤズームに落ち着きそう。

あえなく退いたNHKマイルCは落鉄に尽きるとして良いし、2歳GⅠが当舞台とコース替わりでの信頼度は大幅にUPするからだ。

14着だった5月を含め、容易く位置を取って運べるセンスが何とも心強いと同時に、実質の追い切りでビッシリだった1週前の坂路51.4秒は自己ベスト。

やり始めがコースで、レースが近づいたフェーズで坂路にチェンジするのは朝日杯同様といった点でも巻き返しは約束されている。
柴田卓哉
柴田卓哉

春の最終戦で5着だった反面、ロスのない立ち回りでも詰めが甘くなったのがランスオブカオス

朝日杯でアドマイヤズームの後塵を拝したことに引っ掛かりを覚える向きもあろうが、その暮れはキャリア2戦目だっただけに、むしろ見上げたモノだし、木曜追いでは1F11.1秒と前回時を彷彿させるフィニッシュなら態勢は整ったとして良い。

更に、阪神でのGⅢ勝ちがあるが、直線がフラットなコースでより切れが増しそうな身のこなし。2月に離された3着だったのは、あくまでも馬場と距離。今回の状況なら前進は必至。
柴田卓哉
柴田卓哉

同じ世代の牝馬ムイを侮ってはいけない。

葵Sで全く伸びなかったのは、3角での接触が痛かったのに加え、折り合い面での進境があった時点での1200は忙しかった。

対して、掛かり気味で全く弾けなかった4月・中山からの変り身が劇的だったのが2走前の当舞台で、前半3F36.0秒と流れなかった中、ラスト1Fで次元の違う脚を見せつけたように、1400mでこそマックスに。

そして、4月からの3戦が気性を考慮した単走だったのとは違い、追走先着の最終追いは坂路52.5秒。直前で負荷をかけて臨めるのが進化の証しになっている。



10/11(土)東京10R 東村山特別(2勝クラス)

柴田卓哉
柴田卓哉

府中に戻って他からの推奨は土曜の2勝クラス、10Rのプレシャスデイ

路線変更からは1勝2着1回。つまり、小回りと夏負けが応えた7月を塗り潰せば底知れずと見做して良いわけ。

特に、9月は3角過ぎから逃げ馬を潰しに行った結果、直線ではノーステッキで離す一方とスタミナの違いが露わに。これは、7月からのリセットで前躯がより充実したが為、元よりのパワフルさに加え、洗練されたフォームになって、稽古のラストでは糸を引くような伸びに様変わりしたから。

それは、1F切っての反応が実に鋭かった今回の追い切りも同様。ダートで結果を出した2走がいずれも軽い馬場だったことに特性が表れているように映るが、馬格や捌きからタフな状況になってもパフォーマンス落ちがなさそうな点も強調しておきたい。