秋華賞は、底知れぬ魅力秘めるセナスタイル!

秋華賞は、底知れぬ魅力秘めるセナスタイル!

10/16 (木) 美浦追い切りレポート

10/19(日)京都11R 秋華賞(GⅠ)

柴田卓哉
柴田卓哉

秋華賞のポイントは、カムニャックが連勝を伸ばして2度目のGⅠをゲットするか否か。

何故なら、1000m通過56.8秒とタイトな流れだったローズSは、直線の攻防も含め、申し分ないレベルだったから。その中、4角で外に張られる不利を撥ね返したし、最後の伸びには既にビッグタイトルを得ている貫禄さえ感じさせた。

確かに、少しでも油断するといつ引っ掛かるか分からぬ危うさがある上に、直線の短い設定はキャリア初と隙が生じそうではある。

唯、少々緩かった前哨戦が格好の叩き台となった分、余裕を持ちつつの長目追いを消化できた1週前があって、直前の坂路は前回時を2秒近く上回る時計。二冠獲得に待ったなし。
柴田卓哉
柴田卓哉

やはりライバルは同じ組からで、まずはテレサ

出負けがあった5月・府中の上がり最速が物語るように、もはやハナには拘らぬタイプとして良いし、実際に先月のTRでは好位置に収まる味な競馬だったと同時に、ラップバランスを考えれば、上位陣の中では最も厳しい競馬をしたことに。

けれども、ひと夏を超えてもまだ440キロに満たないといった華奢な面は消えていないのに加え、木曜の最終追いがやはり坂路55秒台。立ち回りの上手さでどこまで。
柴田卓哉
柴田卓哉

ローズSで最も驚かされたのは、3着セナスタイル

ハイPに乗じることができる位置取りだったし、その決め打ちが嵌る展開の綾はあった。

けれども、骨折によるブランクゆえ、8月に漸く2勝目マークと完全に経験値で大きく劣った状況。また、コースロスがなかったとはいえ、進路を切り替えながら伸びたのは脚力のなせる業で、類稀なポテンシャルが露わになったわけ。

何より、体質と相談しつつの仕上げだった先月と異なり、今回は直前でもコースでの6F追いを敢行して、それがCWでの自己ベスト。ヒロインの座を射止めて不思議なし。
柴田卓哉
柴田卓哉

問題は、桜花賞馬エンブロイダリーの取り扱い。

4月以上の強度に応じて臨んだオークスでピークを迎えた反面、レースで力んだ分、最後には全く弾けず。

つまり、1.32.2秒だったクイーンCからの連勝で一冠目をゲットしたマイルがピンポイントだということ。ダイナミック過ぎるフォームが両刃の剣になるわけで、京都内回りには一抹の不安を感じる。

少々重目が残りながら身体能力を見せつけた1週前から栗東入厩と、2走前の成功体験をなぞったとしても押さえの評価にならざるを得ぬ。
柴田卓哉
柴田卓哉

賞金的に出走が確定しているグループの中、美浦で調整を進めたのがマピュース

成長した馬体を駆使した滑らかなフォームで、状態には太鼓判を捺せる。要は、暑さ対策で直前が軽目だった8月とは対照的に、中間にはDWでの5F64秒台まであって、その後も全てコース追い。背水の陣といった形容が当て嵌まるわけ。

が、年長馬は封じた中京記念は、前半3F35.4秒の超スローの番手と如何にも恵まれた。

2月の2着から桜花賞4着といった一連で見せた、長く脚を使えぬ弱味共々、2000mでは俎上に載せられない。
柴田卓哉
柴田卓哉

最後に是非取り上げたいのがパラディレーヌ

春から馬体が増えていなかったのが前走。直線で包まれたアクシデントがあった一方、そこからの脚に迫力がなかった憾みが。

また、リフレッシュしたにも関わらず、帰厩後の追い日1本目を含め、春同様のしまい重点。対して、今回は坂路主体とパターンを変えて、自身にとっては速い53秒台突入があるのだ。

これが刺激になるとの予感があり、TRからの1F延長も。状況が好転している分、巻き返す余地十分としたい。



10/18(土)東京11R 富士S(GⅡ)

3週目を迎える府中は、土曜メインの富士Sに注目が集まる。

同じGⅠへのステップレースで、既存勢力にひと押しがなかった先週のスワンSとは逆に、こちらは春の安田記念で鍔迫り合いを演じたグループが参戦するのだから、そのレベルを根拠に大きな波乱なしと捉えることができる。
柴田卓哉
柴田卓哉

その中、主役はジャンタルマンタルをおいて他なし。

何故なら、3歳暮れの香港を除けば、マイルは5戦4勝で、うちGⅠが三度。特に、立て直した6月は追い出しを待つ余裕があった坂下から、残り1F地点で大勢が決するほどのワンサイド。

確かに、淡々と流れた中、前目で捌く戦法に利はあったが、上手く収まりをつけた道中からして盤石。

加えて、外厩から帰って追い日3本、1週前が最も負荷をかけるパターンが前回同様なら青写真通りと決めつけられる。初の59キロでも。
柴田卓哉
柴田卓哉

その安田記念で復活を遂げたのがガイアフォース

3歳秋のセントライト記念以降、勝ち星から見放されているし、路線を模索していたことを含め、頭打ちだったのは確か。

しかし、ブリンカー着用で最後の最後でひと脚使えるように。とはいえ、道中で上手くセーブできた上に、直線での誘導がパーフェクトで嵌った感否めず。

しかも、渾身の追い切りを経た直近と異なり、追い切りの54.8秒が物足りぬ。少々疑いを挟むのが妥当に。
柴田卓哉
柴田卓哉

それならばソウルラッシュ

昨秋のスタートも当レースで、直後には実に強い競馬でのマイルCS制覇があったように、ノウハウが確立しているのは心強い。

だけなく、中山記念での1.45.0秒からドバイでの強敵撃破と更に幅を広げている。休養前の一戦で思いのほか、伸び切れなかった反面、結局は2着争いに加わったのだから掛け値なし。

府中より、京都でこそといった面が致命的になるとは思えない。
柴田卓哉
柴田卓哉

昨年の覇者ジュンブロッサムは本来なら見限れぬ筈。

直近のGⅠにしてもユッタリした流れに泣いたとすることもできなくはない。けれども、格好の展開だった東京新聞杯でも振るわなかったのを含め、5歳時の勢いは失せたのではないか。

現に、去年は夏・新潟で目途を立てて臨んだのとは違い、4カ月以上開けたにも関わらず、当時よりコース追いが1本足りない。
柴田卓哉
柴田卓哉

分の悪い関東勢の中、唯一絡む可能性にあるのがシャンパンカラーだ。

GⅠ勝ちの余勢を駆って年長馬に挑戦した3歳春の安田記念を境に、極端なスランプに陥った。

唯、4月からは直線に賭ける戦法でバージョンUP。特に、大きく出遅れたことで負担なく追走できた前走が上がり最速と手応えを得たのだ。

加えて、一杯に追っても11.7秒のラストと、重目を感じさせた1週前を経て絞れた上に、ハリだけが目立つ造りに。坂路での入りが13秒台と、前回時より強度を上げた最終追いも根拠として挙げておきたい。
柴田卓哉
柴田卓哉

あとは3歳、マジックサンズ

骨折を経ての復帰戦が1.57.0秒で決する中、脚を使えたこと自体がポテンシャルの証しになっているし、直後はタイム差なしの惜敗。そこでは、最短距離を上手く突けたことが大きなフォローになった一方、初マイルだったから適性面でも信頼に値するわけ。

そして、今回は成長を促す休養から在厩期間もタップリと陣営の期待のほどが知れる。

何故なら、直前が坂路54秒台と軽くできるほどそれまでのコースが実にハード。中でも、長目から行って最後までビッシリだったCWでの5F63.6秒は出色で、勢力図を覆すまである。