【カペラS】後手後手の立ち回りに/前半の位置取りに明暗がクッキリ【阪神JF】

【カペラS】後手後手の立ち回りに/前半の位置取りに明暗がクッキリ【阪神JF】

12/15 (月) 妙味解析!回顧ファイル #阪神JF

後手後手の立ち回りに

FILE:12/14(土)中山11R

カペラS(GⅢ)

半歩ほど遅れたスタートで、その後両サイドから挟まれた1番人気テーオーエルビスは後方からの競馬になったが、不利にも気持ちは萎えず、3コーナー過ぎには前の馬に乗っかからんかの行きっぷり。

その後の動きとしては、宥めつつ自身の進路を探るのみ。直線早々にスムーズに前が開いたこともあり、ラストは気持ち良いくらいに弾けてみせた。

馬場を考慮すれば3F32.9秒の通過は決して速くない流れだが、それだけに残り1F過ぎからテーオーエルビスが後続に付けた5馬身差は衝撃的な差。

レースのラスト2Fの12.1秒-11.6秒の加速ラップはテーオーエルビスの高い性能を示す数字と言えるだろう。最終的な走破時計も、不良馬場でマークされたコースレコードに0.2秒差に迫る速いもの。まだ3歳の身でのこのパフォーマンスは末恐ろしい限りで、順調ならば世界規格の馬に育つ可能性も低くはない。

2キロの斤量差と通ったコース取りを思えば、2着ヤマニンチェルキも高い評価が必要か。五分の条件なら5馬身ほどの差は付かなかっただろうし、距離全勝の勝ち馬ほどでないとはいえ、この馬もダート1200mでは6戦4勝2着2回の立派な戦歴を持ち、負けた2戦が今回とBCスプリントで4着に好走したアメリカンステージ相手の2着なのだから将来は明るい。

3着には、早目の立ち回りから一旦先頭の形を作ったエコロアゼルがそのまま流れ込んで入線し、馬券圏内の3頭が全て3歳馬ということに。世代の強さを強く印象付ける一戦となった。

─次はココに注目!─
5人気7着
ポッドベイダー

4頭出ていた3歳馬の残りの1頭。初ダートの前走ラジオ日本賞でアッサリ結果を出した馬だが、今回は初速で周りに譲った分だけ後手の立ち回りになった。

勝負所では内にいたテーオーエルビスの勢いに押されて外目へ追いやられ、行った先には惰性を付けて回ってきたヤマニンチェルキもいて、仕掛けの面でもやや後手の立ち回り。それでも渋太く脚は使って、結果、3着から0.4秒差の入線なら悪くはない。

そもそも3か月振りの一戦で馬体重プラス20キロは、時季的にもさすがに余裕残しであり、前走ほどの初速が無かったのはこの辺りの影響もありそう。

奇しくも同期のライバルが世代の強さを証明した一戦。敗因明確なこの馬もそれ相応の評価をしておく必要があるだろう。

(執筆:久光匡治)

前半の位置取りに明暗がクッキリ

FILE:12/14(日)阪神11R

阪神JF(GⅠ)

早朝の雨の量も予想より少なく、午前中にはやや重から良に馬場コンディションが回復した阪神競馬場。快晴にも恵まれ、良いコンディションで発走時刻を迎えることができた。

ゲートが開くとアルバンヌが1馬身ほど遅れてスタートし、アランカールは無理せず離された最後方からの競馬に徹した。

ハナを切ったのはヒズマスターピースだが、その外からフロムレイブンがプレッシャーをかけるように2番手。その結果前半2F目からのラップが10.5~10.8秒と、2歳馬にしては厳しい流れになってしまった。

直線に向くと外からタイセイボーグがグイグイ伸びて一瞬先頭に躍り出たが、その外からスターアニスが並び掛けこれを交わして先頭。

また内をついてギャラボーグが伸びてきたが、これも抑えてスターアニスが見事トップでゴールイン。牝馬の育成には定評のある高野厩舎の所属馬で、そのノウハウを最大限に活用し桜花賞の主役へと一気に浮上した。

2着のギャラボーグは、直線で狭いところを上手くさばける勝負根性が目についた。初めてのマイル戦でこれだけ動けたのは、この距離に適性があった証拠だろう。

馬体重がプラス16キロと、体がフックラしてきたタイセイボーグが3着に入線。輸送の短い関西圏の競馬が功を奏したことは間違いなさそう。

人気のアランカールはマイペースの競馬を重視したとは言え、位置取りが悪すぎた印象。4コーナーで絶望的な位置から、0.5秒差の5着まで追い込んできたのが正直限界といえる。色々と教えることはたくさんあるが、無事克服して来春からの再出発を期待したい。

結果的に前に行った組はそろって大敗と、序盤の速い流れがレース展開に影響を及ぼしたことは間違いなし。展開次第では今回の着順が大きく変わる可能性は十分で、冷静に分析をして次走につなげたい。

─次はココに注目!─
5人気8着
マーゴットラヴミー

道中は4番手からの競馬と、前に行った組では唯一の入着を果たし渋太さが光ったレース内容といえる。

中1週のローテーションを考慮すると、レース内容は優秀で体質の強さは大きな武器となりそう。今後の成長次第では大きな舞台でも侮れない存在で、覚えておきたい一頭。

(執筆:持木秀康)

久光匡治
二天一流ホースマン

久光匡治

調教 取材 美浦
スプSGI的中
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従来、専門家がその道一本で務めあげる取材と調教。その双方を股にかけ、場所を選ばず活躍する二天一流ホースマンとは彼のこと。馬・人の両側面からあらゆる可能性を探り、時には上位人気馬を印から切り捨てることも辞さない予想スタイルはまさに天衣無縫。優馬の産んだサムライが、今日も未踏の道を征く。 (担当厩舎:青木、奥村武、粕谷、加藤士、萱野、根本、堀内、和田郎)

関西トレ
優馬1面の名奉行 優馬

持木秀康

栗東 調教

栗東の調教班に所属。優馬の1面にてコラム「オフコース 持論(もちろん!)」を掲載、2016年天皇賞・春にてカレンミロティック(13番人気2着)に単独◎を打ったことは現在でも語り草。推し馬サロンでは関西トレセン捜査班にて予想を提供。