【朝日杯FS】レコード決着には脱帽する他なし!/衝撃のデビュー戦から更に上昇!【ひいらぎ賞】
12/21(日)阪神11R 朝日杯FS(GⅠ)
無傷で臨む馬が6頭とキャリア的にも底知れずとして良い面々が顔を揃えた朝日杯FSで、やはり重視しなければならないのがデイリー杯2歳Sでのワンツー。確かに、2歳未勝利でも1.33.9秒が出た週だったし、前半と上がりの3Fが同じ34.5秒と速い決着を生むラップバランス。しかし、その両馬はいずれも当時が2戦目に過ぎなかったのだから、レコード決着には脱帽するしかなかったわけ。
まずは、そこを制したアドマイヤクワッズ。
無論、体つきからすればまだ途上といった面は否めない反面、シッカリと間隔を開けての3戦目で、前回時同様に1週前のDWラストが11.2秒だったのに加え、コース追いが2本多い。更なるステップUPに向けて寸分の狂いなし。
デイリー杯で最後は首の上げ下げだった2着カヴァレリッツォは、その差が示す通りのポテンシャル。
2度目の右回りとあればスムーズさが増しそうだし、土曜のCWが実質の追い切りで直前の坂路が軽目(直近が56.8秒で今回が58.0秒)といったパターンが確立されていることでも高いレベルで安定している。
関東馬でまず取り上げなければならないのが、リアライズシリウス。
加えて、追い日でのDW2本の併せ馬から締めが坂路といったパターンも夏場同様だし、アバラが浮き上がった見た目共々、プラン通りと言えよう。唯、その当時と比べるとラストの反応が劣った分、1週前が同じ5F66秒台だったにしても結局は1馬身の遅れ。前目で自在に動ける強味とは別の部分、新陳代謝が活発になりにくい冬場がネックになる恐れも。
それならばエコロアルバ。
前後半差が1.4秒といったスローの中でも前半は進みが悪かったが為、4角でも内を通る最短距離だった一 方、外に持ち出してからは弾けに弾けて前を呑み込んだ挙句、1馬身半差の完勝にスケールの大きさが表れている。
鋼のような体つきながら柔軟性を兼ね備えて実にパワフルだからこそ。それに拍車がかかったのがここに至る過程で、大きく前を行く2頭を並ぶ間もなく交わしたのが1週前だった上に、リズム重視の追い切りでもゴール板を承知しているかのようにストライドに力が籠っての先着。より張り詰めた体を駆使したフォームは豪快そのもので、府中同様の長い直線が如何にも似合う。
スプリント戦では詰めが甘かったのとは対照的に1400mに転じてからは1、2、1着とステップUPしたのがダイヤモンドノット。
勿論、もう少しユッタリとした胴構えであれば距離に対する融通性も生まれそうだが、センスに裏打ちされた完成度でカバーできそう。マークは不可欠だということ。
あとはスペルーチェ。
何より、デビュー戦でアドマイヤクワッズとの0.1秒差が。勿論、前半3F36秒に近かった自身のラップで、番手と絶好のポジションだったわりに、結局は捻じ伏せられた。が、2戦目には上手く壁を使って押さえる形を即マスターと、変り身を見せつけた。待機策では底知れずといった見立てが妥当に。
12/20(土)中山9R ひいらぎ賞
中山でも取り上げるのは2歳戦で、土曜・ひいらぎ賞のクレパスキュラー。
さすが、2歳の早い時期にDWでの1F11.1秒があっただけのことはある。その8月以降、成長を待ちつつの復帰が大きな期待の表れだし、それに見合った豪快な動きと共に、以前より腹目がスッキリしてよりスムーズに体を運べるように。
そもそも、初戦では見せた稚拙なコーナーワークに由来するスムーズでない手前換えが目についたのだ。従って、小回りコーナー4回からの中山マイル替わりで更に。
同じ札幌勝ち上がり組のマイネルシンベリンにも注目できる。
しかも、ビシビシ追ったわりに、ズブさが消えぬままの臨戦だったのに対し、身のこなしが軽くなっての先着がラスト2本と全く違う。思えば、強い競馬だったのがデビューを経た2戦目。使ってスイッチが入るタイプと決めつけて良い上に、府中より短い直線。ピッチを落とさずに後続に脚を使わせる形なら一変できる。
12/20(土)中山5R 2歳新馬
最後に触れたいのが今週にデビューする新馬。土曜5Rのプラウディッツだ。
しかも、一気の負荷UPに応えた1週前に5F64秒台に突入したとは対照的に、4本目の3頭併せだった直前はしまい重点とソフト。けれども、ポテンシャル間違いなしの同世代サレジオを先行させながら結局はそれを凌ぐ動きでの先着が驚異的。能力と共に、持久力と切れを既に証し立 てている。
清水成駿の直弟子
柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙「1馬」在籍時には、「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。長年に渡ってトレセンに通い、今でも美浦スタンドで眼を光らせている。仕上がりを的確にジャッジする腕に、亡き清水成駿も厚い信頼を寄せていた調教の鬼。データが最も少なく難解な新馬戦を己の庭としており、世間が驚く穴の激走を仕留める。


