【朝日杯FS】レコード決着には脱帽する他なし!/衝撃のデビュー戦から更に上昇!【ひいらぎ賞】

【朝日杯FS】レコード決着には脱帽する他なし!/衝撃のデビュー戦から更に上昇!【ひいらぎ賞】

12/18 (木) 美浦追い切りレポート

12/21(日)阪神11R 朝日杯FS(GⅠ)

無傷で臨む馬が6頭とキャリア的にも底知れずとして良い面々が顔を揃えた朝日杯FSで、やはり重視しなければならないのがデイリー杯2歳Sでのワンツー。

確かに、2歳未勝利でも1.33.9秒が出た週だったし、前半と上がりの3Fが同じ34.5秒と速い決着を生むラップバランス。しかし、その両馬はいずれも当時が2戦目に過ぎなかったのだから、レコード決着には脱帽するしかなかったわけ。
柴田卓哉
柴田卓哉

まずは、そこを制したアドマイヤクワッズ

そもそも、流れとしては前目が断然有利な中、自身のスイッチONまでに時間を要した10月・府中の1.34.1秒が凄いし、それを経た直後などは、スパートを促されてからの反応に格段の進歩を感じたし、コーナーワークといった点にもそれが。

無論、体つきからすればまだ途上といった面は否めない反面、シッカリと間隔を開けての3戦目で、前回時同様に1週前のDWラストが11.2秒だったのに加え、コース追いが2本多い。更なるステップUPに向けて寸分の狂いなし。
柴田卓哉
柴田卓哉

デイリー杯で最後は首の上げ下げだった2着カヴァレリッツォは、その差が示す通りのポテンシャル。

しかも、矯めて弾けた初戦と異なり、外に張り気味だったと共に、坂の下りで少し持って行かれるようなシーンがあって前目の競馬。つまり、対アドマイヤクワッズとであれば、早目に先頭に立ったことを含め、格好の目標になったわけで、アドバンテージはあちらに。

2度目の右回りとあればスムーズさが増しそうだし、土曜のCWが実質の追い切りで直前の坂路が軽目(直近が56.8秒で今回が58.0秒)といったパターンが確立されていることでも高いレベルで安定している。
柴田卓哉
柴田卓哉

関東馬でまず取り上げなければならないのが、リアライズシリウス

何せ、これまでの2戦でトータルの着差が1.9秒といずれもワンサイド。特に、新潟2歳Sで4馬身引き離されたタイセイボーグは先週の阪神JFで際どい2着争いに食い込んだのだから、価値は更に高まっている。

加えて、追い日でのDW2本の併せ馬から締めが坂路といったパターンも夏場同様だし、アバラが浮き上がった見た目共々、プラン通りと言えよう。唯、その当時と比べるとラストの反応が劣った分、1週前が同じ5F66秒台だったにしても結局は1馬身の遅れ。前目で自在に動ける強味とは別の部分、新陳代謝が活発になりにくい冬場がネックになる恐れも。
柴田卓哉
柴田卓哉

それならばエコロアルバ

内回りだったにも関わらず、次元の違う脚で抜け出したデビュー戦からして非凡さを見せつけていたが、それがより露わになったのがマイルに延びたサウジアラビアRC。

前後半差が1.4秒といったスローの中でも前半は進みが悪かったが為、4角でも内を通る最短距離だった一 方、外に持ち出してからは弾けに弾けて前を呑み込んだ挙句、1馬身半差の完勝にスケールの大きさが表れている。

鋼のような体つきながら柔軟性を兼ね備えて実にパワフルだからこそ。それに拍車がかかったのがここに至る過程で、大きく前を行く2頭を並ぶ間もなく交わしたのが1週前だった上に、リズム重視の追い切りでもゴール板を承知しているかのようにストライドに力が籠っての先着。より張り詰めた体を駆使したフォームは豪快そのもので、府中同様の長い直線が如何にも似合う。
柴田卓哉
柴田卓哉

スプリント戦では詰めが甘かったのとは対照的に1400mに転じてからは1、2、1着とステップUPしたのがダイヤモンドノット

確かに、GⅡとは看板ばかりの京王杯2歳Sは相手に恵まれた。とはいえ、盤石の道中番手から坂下では持ったままとスパートのタイミングを図れるほどの余裕があって、その印象通り突き抜けた。全身バネといった感じで実に小気味良いフットワークがアピールポイント。

勿論、もう少しユッタリとした胴構えであれば距離に対する融通性も生まれそうだが、センスに裏打ちされた完成度でカバーできそう。マークは不可欠だということ。
柴田卓哉
柴田卓哉

あとはスペルーチェ

油断するとすぐにテンションが上がりそうな現状で調整に難しさが伴うし、現にオール単走と大一番に臨むには少々物足りぬ。けれども、シャープな捌きで余裕綽々なまま糸を引くような伸びを見せている分、調子には太鼓判を捺せる。

何より、デビュー戦でアドマイヤクワッズとの0.1秒差が。勿論、前半3F36秒に近かった自身のラップで、番手と絶好のポジションだったわりに、結局は捻じ伏せられた。が、2戦目には上手く壁を使って押さえる形を即マスターと、変り身を見せつけた。待機策では底知れずといった見立てが妥当に。

12/20(土)中山9R ひいらぎ賞

柴田卓哉
柴田卓哉

中山でも取り上げるのは2歳戦で、土曜・ひいらぎ賞のクレパスキュラー

衝撃的だった札幌でのデビュー戦以来。確かに、その時期は洋芝らしからぬ高速設定だったが、前進気勢が強すぎるゆえ、制御を利かせにくいまま進んだ。にも関わらず、直線の入り口では後続を置き去りにする態勢からのレコード勝ちだったから凄い。

さすが、2歳の早い時期にDWでの1F11.1秒があっただけのことはある。その8月以降、成長を待ちつつの復帰が大きな期待の表れだし、それに見合った豪快な動きと共に、以前より腹目がスッキリしてよりスムーズに体を運べるように。

そもそも、初戦では見せた稚拙なコーナーワークに由来するスムーズでない手前換えが目についたのだ。従って、小回りコーナー4回からの中山マイル替わりで更に。
柴田卓哉
柴田卓哉

同じ札幌勝ち上がり組のマイネルシンベリンにも注目できる。

離し逃げだったわりに1000m通過60秒を超えるラップと決して辛い流れではなかったのが10月には、1F地点でアッサリ捕まった。しかし、決してバテたわけではなく、ラスト1Fが11.2秒と速くなった中、決め手不足に泣いたとの総括で良いのでは。

しかも、ビシビシ追ったわりに、ズブさが消えぬままの臨戦だったのに対し、身のこなしが軽くなっての先着がラスト2本と全く違う。思えば、強い競馬だったのがデビューを経た2戦目。使ってスイッチが入るタイプと決めつけて良い上に、府中より短い直線。ピッチを落とさずに後続に脚を使わせる形なら一変できる。

12/20(土)中山5R 2歳新馬

柴田卓哉
柴田卓哉

最後に触れたいのが今週にデビューする新馬。土曜5Rのプラウディッツだ。

同じ芝中距離の牝馬限定があるのに、牡馬が混じった鞍を選択したことからして相手云々ではないレベルが窺い知れる。実際、バランスに秀でた上に、シッカリが体を伸ばし切れるのは良質な筋肉を纏っているからだし、それがダイレクトに伝わってくる動きが再三。

しかも、一気の負荷UPに応えた1週前に5F64秒台に突入したとは対照的に、4本目の3頭併せだった直前はしまい重点とソフト。けれども、ポテンシャル間違いなしの同世代サレジオを先行させながら結局はそれを凌ぐ動きでの先着が驚異的。能力と共に、持久力と切れを既に証し立 てている。

柴田卓哉
清水成駿の直弟子

柴田卓哉

調教 新馬

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙「1馬」在籍時には、「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。長年に渡ってトレセンに通い、今でも美浦スタンドで眼を光らせている。仕上がりを的確にジャッジする腕に、亡き清水成駿も厚い信頼を寄せていた調教の鬼。データが最も少なく難解な新馬戦を己の庭としており、世間が驚く穴の激走を仕留める。